キャラクター紹介3 エミリア前編
久々のキャラクター紹介です。今回は大魔導師エミリア。
夏美さんを異世界に誘ったあの占い師さんです。本編でも異彩を放っていますよね。
この方は自由都市イーリン出身です。イーリンは東の大陸にある商業都市で、日本で言えば戦国時代の堺のような都市です。王権の及ばない土地であり、十二人の有力な商人の自治によって治められています。
エミリアさんはその十二人の商人の筆頭であるローゼンハイム家の当主の娘として生を受けました。ローゼンハイム家は各国の王家と姻戚関係にあり、財力だけでなく名声もある家柄です。彼女もゆくゆくは王家に嫁ぐべく、淑女が身につける教養を家庭教師について幼少の頃から学びました。
エミリアさんは楽器であれ、語学であれ、どんなことでもすぐにコツをつかんでしまうという、うらやましい才能の持ち主でした。そしてすぐに飽きて放り出すという困った性癖の人でもありました。その頃の彼女はいつも退屈していたようです。
しかしやがて彼女は夢中になれるものに出会います。
彼女が十四才のとき、エルフの大魔導師ソロンがイーリンのメイジサークルに招かれました。エルフが人間に魔術を教えることは滅多にないことなので、大きな話題になりました。
イーリンは開明的な土地柄で、才能さえあれば亜人であっても成功をつかめる世界でも希な場所です。ソロンは閉鎖的なノーラスを嫌ってイーリンに来たのでした。
因みにウルスラ王女もイーリンの大学に短期間留学していました。彼女が亜人に偏見がないのもその経験が影響しているのかもしれません。
エミリアさんはソロンの噂を耳にして興味をひかれ、メイジサークルにソロンの講義を聴きに行きました。そこで彼女は知的ショックを受けたのです。講義が終わるや否や、彼女は大魔導師を質問攻めにしたそうです。
それからは毎日サークルに通い、聴講を続けました。
最初は金持ちのお嬢様の気まぐれと、適当にあしらっていたソロンも次第に彼女の才能に気づきます。そしてエミリア十六才のときに弟子にしたのです。ソロンには弟子が一人だけ居ました。それが美月さんの父ガランドです。
偉大な師の薫陶の下、彼女は才能を開花させていきます。
そして二十二才のときに魔術の六道の印可を師から授かります。エルフの血を引くガランドですら二十年以上の歳月が掛かったことを、わずか六年で成し遂げたのです。
そしてその二年後、彼女の運命を変える出来事が起きます。そうノーラスに魔獣の王が降臨したのです。
師であるソロンは故郷を救うため、ノーラスに帰ることを決意します。エミリアさんはそこで人生の重大な選択をすることになりますが、それはまた次回に!




