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[春は出会いの季節]  作者: ラティオ
3/7

興味 vs. 緊張

続きまして、第2話です。

あの時の男性の事、名前こそ分からないが、なんとなくまた会えそうな気はしていた。

そんな保証もない期待を込めて今日も図書館へ行く。


今日は以前借りていた本を返却し、新しい本を借りる為に図書館を訪れた。

検索機で本の棚を検索し、すぐに移動する。


今度は低い位置の棚にあった。

心の中では自分でも取れる位置に本があった事に安堵する気持ちと、そう思いつつも、以前のような状況(※高い場所にある本を取って貰う)を期待してしまう気持ちとあった。


(いやいや、迷惑かけずに本を入手出来ることに悪いことなんかないんだから!)

↑変に頑固な性格発動中。


(こんな時、積極的な友達とかなら、迷惑かけてでも振り向いて貰おうとするのかな。)


そんなことを考えていると、隣の棚の端のあたりのあの時の男性が!

なにやら本を探している様子。


邪魔はいけない、だけど声をかけたい。

私の頑固と本心が激しくぶつかり合う。


男性の身長は推定170㎝。

年齢はどう見ても私よりも年上。


私は男性をじっと見つめる。


男性に気付かれるまでの僅か5分が1時間程の長い時間に感じられた。

頭の中で必死に奮闘していると、視線を感じ取ったのか、男性と眼が合う。


「あ。」

一気に顔が赤くなっていくのを肌で感じた。

だが、それとは関係なく、男性はただ無表情に「なんだ、また本が取れないのか?」と聞いてくる。


どうやら、前回も身長が原因で本が取れなかった事には気づいていたようだ。


私は黙って、何度か首を横に振る。

声をかけたかっただけなどと、そんな事言えるはずがない。

顔が真っ赤がなり、思わず顔をそむける。


完全に下を向いてしまって、男性の事を直視できない。

流石に違和感を覚えたのか、男性が私の方に寄ってくる。


「なに、気分でも悪い?」


首を横に振って、必死に否定する。

気分が悪いということは一切ない。

むしろ有頂天に近い気分なのである。


頭が真っ白になっているのが自分でもわかるぐらいに。

だけど負けずと言葉を振り絞る。


「…あの、大丈夫。邪魔して、ごめんなさい。」

途切れ途切れになりながらも、なんとか言葉を繋げた。


「関 春菜。」

いきなり名前を呼ばれて、一気に目が覚める。

「え、なんで名前を。」

言いかけて、男性の手元にある自分の図書カードに目を丸くする。


「コレ、君の?」

呼ばれて嬉しいけれど、その図書カードの裏面には年齢や住所も記載されている。

大事な個人情報が他人の手に!


「大丈夫なら、落とすなよ。」

「…ありがとう。」


女性の心配とは裏腹に、男性は図書カードの裏面など目もくれず私にカードを返す。




夜、家に帰ったから気がついた。

今思えば全く興味を示して貰えていなかったわけで、少し残念な気持ちになった。


まだ続きますよ!

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