表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なみだおばけ

作者: 小鳥遊浅葱

 ぼくには大好きなお兄ちゃんがいた。

 年は離れているけど、やさしくて、たのしくて、とにかく大好きだった。でも、ぼくが今よりもっと小さいときに事故で死んじゃった。

 悲しくていっぱい泣いた。おかあさんにやめなさいって言われても、ずっと泣いた。

 そしたら、来てくれた。



 ぼくはなみだおばけだよ



 お兄ちゃん(なみだおばけ)のくびにあかいあとがあったのを、その時はじめて知った。



 なみだおばけは悲しいことがあってぼくが涙を流すと、おでこにちゅーをしてぼくの代わりに泣いてくれる。

 ぼくの涙はすぐにとまって、それを見てなみだおばけはにっこり笑う。それにつられて、ぼくも笑う。


 なみだおばけはにっこりおばけ。


 なみだおばけのおかげで、ぼくは泣かなくなった。悲しくても、にっこりできるようになった。そしたら、なみだおばけは来たときとおんなじふうにパッと消えた。

 ばいばいも言えなかった。うそで泣いた。涙は出ないけど、いっぱい泣いた。

 でも、なみだおばけはもう現れない。

 だからぼくはにっこり笑った。こころのなかで、お兄ちゃんにばいばいをした。


--


 女の子が泣いている。ぐちゃぐちゃに踏み荒らされた砂の王国で、ただ一人孤独に泣いている。



 こんにちは



 女の子は真っ赤に腫らした目でこっちを見上げた。



 ぼくはなみだおばけだよ。



 女の子の額にキスをした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ひらがなで優しく言葉が書かれている中で、詩の様なファンタジックの世界が広がっている。 [気になる点] あらすじを読まないと作品の全貌が見えてこない。 [一言] 小難しい表現など一切なく、読…
2015/03/05 17:48 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ