第7話 決勝×強敵
~バトルクライシス決勝~
来た、ここまで来た。
もう決勝が始まる時間が迫っている。
決勝の相手は暗国覇王帝国所領[ユグドラシル]。暗国覇王帝国のナンバーワンだ、、、。
そういえば、いまさらだがひとつ気づいたことがある。どの国も最強に近い兵士が大会に出ているが、どこも本当のトップは出ていないと思う。なぜならここでトップが破れたら、確実に相手国に落とされると思う。だから我が国はトップでなくともこれだけの強さを持った兵士がいると見せつけているのだと思う。
ならナンバーワンだろうがなんだろうが負けるわけはいかない。俺と戦う相手は少なくともトップではないのだ、ならばここでは勝たなければいけない、なにがなんでも、、、。
決勝の前には魔力回復アイテム【エーテル】をもらった。もう大丈夫だ、全力で戦える。俺の本気を今こそ見せてやる。
ライラとミラは闘技場のバトル開始位置につく。
試合開始1分前
ああ、いい気分だ。ここまでも楽じゃなかった。いきなりSSランク魔法でなきゃ破れない魔法を打つ奴らから始まり、さっきは魔眼【殲滅眼】ときた。そして最後は帝国所領[ユグドラシル]のロキとフレイヤだ、この俺でさえ聞いたことのある将軍だ。
ふ、ここまで来たのならやってやる。とことん勝ちにこだわろう、、、。
すると審判の声が響く。
「これよりバトルクライシス決勝戦をはじめます!!」
あたりに緊張の渦が巻き起こるのがわかる。観客席も静まり返り、まるで荒野に一人たたずんでいるかのような静けさ。しかし、この張りつめた空気はそれだけではない、相手の殺気がこの静けさの中に緊張感を持たせている。
「それでは位置について、よーい・・・はじめ!!」
スタートの合図とともに、互いの魔力が激しく輝きを放つ。
「我、戦神となりてそれを示さん、閃雷砲撃!!」
ミラは開始とともにAランク魔法をぶっ放す。しかしフレイヤが抵抗してくる。
「求めるは炎の力、炎砲!!」
火属性Bランク魔法だ、どうやらフレイヤは名前の通り火属性魔法主体だろう、それならライラがほとんど魔法を見切ることができる。
二人の魔法が激突し爆発する。
それと同時にライラも魔法を発動する。ライラは腕に魔法陣が書かれているからいちいち宙に魔法陣を書かなくて済む分魔法の発動が速い。
「天より求めよ、火竜!!」
ライラの放ったAランク魔法は竜の形をしながらロキめがけて襲いかかる。
ロキは素早く魔本を【換装】し魔法を唱える。
「草木よともに、緑葉刃!!」
緑属性Aランク魔法のようだ、しかし属性の優劣がある。なのに緑属性ということはおそらく他の属性の魔法はつかえないのだろう。でも緑属性は貴重だ、どんな魔法があるかわからない、慎重にいかなくては。
ライラの魔法は【緑葉刃】を打ち破ると、ロキへめがけて飛んでいく。しかし、減速したライラの魔法はあっけなくよけられる。すると新たにロキが【換装】した魔本が光りだす。
「森林よ力を求めん、重植物!!」
Sランク魔法!?まずい早く迎え撃たないと!!
相手の魔法は、地面から根っこがこちらへとすごいスピードで追っかけてくる魔法だ。
ライラは後ろへ飛び退くと手を体の前にかざし、すぐに魔法を発動する。
「我、炎火と神をここに求めそれを望む、大炎王火狼!!」
直前まで相手の魔法が迫るが、ぎりぎりで火狼が根っこへと食らいつく。ライラの魔法がロキの魔法を喰らい尽くすとライラの魔法も消えてしまった。
属性の優劣で優勢の位置にあったにもかかわらずこの威力。ロキの緑魔法も侮れない。
少し隣ではミラがフレイヤへと魔法を放つ。しかしそれもフレイヤの魔法でかき消されている。
両者の力は拮抗している。
お互いの魔法・魔力・体力はおそらくほぼ互角。なら勝負のカギを握るのは何か?
それは・・・運だ!
いやいや、もちろんもっと大事なこと、それは知識、頭脳だ!
おそらくこの戦いで一番大事なこと、これが相手より上手であれば勝てる。そうだ、頭をフルにうごかすんだ。そして、かすかな勝利への光を見出さなければ!!
もちろん、その間も魔法の攻防は続いている。
「求めるは雷鳴、雷!!」
「求めるは焼炎、炎戒!!」
「飛躍せよ炎とともに、槍炎!!」
「緑の力よ我とともに、緑海星!!」
互いの魔法は激突し合い、爆発とともに消え失せる。打つ魔法の威力が同じであり、それに対抗して打ってくる魔法のランクも同じである。
戦いは始まってから1時間を経とうとしている。
そろそろ互いの魔力も尽きようとしている、ここからがラストスパートだ。ここで最後まであきらめずにいられた方が勝利を手にすることができる!!
「ミラ!!ここからが正念場だ!今こそ俺らのチームワークお真髄をみしてやろうぜ!!」
「ええ!一気にけりを付けましょう!!」
二人は互いに顔を合わせると、何かを確認するようにうなずく。
すると、ミラは三重魔法を展開する。
「雷のしもべとなりてそれを放つ、雷弾!!」
3つの【雷弾】はロキめがけて飛んでいく。ロキはとっさに魔法で防御をしようとするがミラの魔法陣でライラの姿が見えなくなっていた隙にライラはロキの背後に回っていた。
「こっちだロキ!!我、炎と神の力ここに表す、大炎火!!」
時すでに遅し
ライラ十重魔法発動。
ロキは魔法を唱える間もなくミラとライラの魔法を前に無残に散る。
ロキ撃破!!
「ミラ!次はフレイヤだ!!最大魔法を決めちゃれ!!」
ミラは魔本を【換装】すると、魔力をよりこめる。しかしフレイヤも最大魔法の攻撃準備に入っている。
「我、王となりて意味を示さん、雷帝華砲撃!!」
ミラの最大魔法は風を切るように相手へと迫る。
その時相手の魔本の輝きが最大までいった。
「我、ここに求めるは炎火、炎兎爆羅!!」
フレイヤの魔法陣から特大の火球が現れる。
でかい・・・。
まずい、魔力の差が大きい。これだとミラの魔法が破られる!?
はやく援護射撃を!!
「ライラ!私のことはいいからこの隙にとどめを!!」
「!?」
「ミラ!でもお前が・・・!!」
ライラは覚悟を決める。ミラの目からはそれが読み取れた。なら俺がここでモジモジしてる場合じゃない、進むんだ、前へ、前へ。
「フレイヤ!!覚悟しろ!これでお前も終わりだ!!」
フレイヤは魔法陣をもう一つ描くがそれで防ぎきれないのはもう目に見えている。
「我、炎火と神をここに求めそれを望む、大炎王火狼!!」
「!!」
刹那
ドカァァァーーーン!!
ミラは魔法を破られフレイヤの魔法に巻き込まれる。しかもかなりの大爆発。まずい、もしかしたら軽傷では済まない。ミラすまん、だがこれで終わる!!
「くらえぇぇぇぇぇ!!」
「!?」
「(おかしい・・・俺は確かに攻撃したはず。Sランク魔法だぞ!?相手に防げる力はなかったはず、ならなぜ・・・俺は今倒れている?地面に沈むはずだったフレイヤがなぜ立っている!?)」
ライラはそこに倒れている。フレイヤはそのライラの前に立っていた。そして、小さな声で話した。
「お前の負けだ。」
「勝者・・・チーム[ユグドラシル]!!」
勝者への軍配が上がった、ライラとミラは負けたのだ・・・。
でもなぜ??
ライラはフレイヤを見上げる。フレイヤはロキに肩を貸している、そしてこちらへ片目が見える程度に振り向いた。
「!!!」
ライラは見た。その目が何重もの魔法陣に囲まれているのを・・・。
【強魔眼】自信の魔法を異常なまでに強化する魔眼。あいつ・・・隠していやがった、最後の最後まで・・・、ロキを見捨てて。
こんな奴に、だが負けは負けだ。悔しいが上には上がいることを認めざるを得ない。次は負けない、絶対に。ミラを傷つけたやつを俺は許さない。
ライラは強い決意とともに目を閉じる。今気づいたが意外と出血がひどい。だんだんと意識が遠のいていく。
そうしてライラは気を失った。隣ではミラが担架に乗せられて運ばれている。
バトルクライシス決勝 ライラ&ミラ 敗北
第7話 完




