半年後に死ぬので、もう誰にも遠慮しません~婚約を破棄したのに王子が勝手についてくる~
「我が王子の婚約者殿。あなたの命はあと半年だ」
「じゃあ、国王陛下。王子との婚約を破棄しますわ」
「なっ!?」
◇ ◇ ◇
私は先代の王の娘、セレナ姫として生まれた。
しかし、王は呪いをかけられて殺されて、王族も次々と呪われて死んでいったの。
私も呪い殺されかけたけど、なんとか九死に一生を得た。
その結果、新しい王には先代とは血縁のほぼない公爵が即位して、王族として唯一の生き残りとなった私は、逆に公爵令嬢になった。
私はそういう複雑な経緯がある公爵令嬢なのよ。
呪われてもなぜ私だけが死ななかったのか。
不思議に思ってた国民もずいぶんと多かったようね。
中にはよからぬ噂をしてた輩もいたわ。
――セレナ姫が他の王族を全員殺したのだと。
当時一才の子供だった私に、何ができるっていうのか、笑いたくなる気持ちよ。
悪さをすると言っても、おねしょするくらいしか思いつかないわ。
結局、なぜ私だけが助かったのかは謎のまま。
不気味がられて『呪い子』と呼ばれるようになった。
幼い頃には呪い子と陰口を叩かれるのが嫌で、泣いたりしていた。
言い返す言葉も、殴りつける拳も、反撃するものを何も持たないちっぽけな子供だったのよ。
我慢をするだけの人生を送る以外に方法はなかった。
真っすぐとは程遠く、ぐにゃぐにゃとした形で私は成長していったのだと思う。
そんなある日、謎が解明された。
どうも私には聖女の適性があったみたい。
九才のときに聖女の才能に目覚めたのよ。
それからはやりたいわけでもなかったのだけど、聖女の修行を積まされて、私は聖女にならされたわ。
それから何年も経つ。
いまは十七才で王立学園に通っていて、気が進まないけど生徒会長もやらされている。
あだ名は『聖女会長』よ。
あんまり気に入ってはいないけれど、もう定着してしまって元には戻れないわ。
たぶん自分のあだ名を気に入ってる人って、世の中そんなにいないわよね。
我が国アストラの第一王子はガレスというの。
好きでもないのだけれど、私は彼の婚約者にされている。
聖女と第一王子というよくある組み合わせよ。
サラブレッドのオス一位とサラブレッドのメス一位の組み合わせみたいなものね。
データ主義者が好きそうな編成よ。
競馬のファンなら知ってると思うけれど、そうやってできた子供が必ず超優秀になるわけでもない。
期待に反して残念ながらというべきか、親を超えることはほとんどないわね。
◇ ◇ ◇
「セレナ生徒会長。いくら聖女のあなたとはいえ、学園の指示には従ってもらわないと困ります」
「じゃあ、生徒会長を辞めるわ」
「そ、そんなこと言われましても……」
学園の生徒会には長い歴史がある。
長く続くことには良い面もあれば悪い面もあって、この生徒会では予想通りというべきか悪い面が目立ったの。
そこで私は良くないところをいくつも正してきたのだけれど、世の中には悪いところを直されると都合がよろしくない人々もいるわけよ。
それが今回は学園の理事長なのね。
長年にわたって理事長の経営する店から学園へ、割高な商品を卸しているのよ。
無駄な出費になるからやめさせようとしたら、理事長から強いクレームが入ったの。
頭の固い爺さんといままで何度となく話し合ったのだけど、もう全然議論にならないわ。
バカらしいからもう私、生徒会長を辞めることにしたの。
聖女である私に生徒会長をやめられて困るのは、私じゃなくて学園側なんだけど、そんなこと知ったことではないわ。
学園の演習地の浄化も、学園の地下空間の結界張りも、私だったら無料でやれるけれど、今度からは自分たちで高い金を払ってやってもらうことね。
「私の余命は半年なんだし、他人に遠慮した人生を送りたくないのよ」
◇ ◇ ◇
長いこと一応健康に過ごしてきた私なんだけど、十七才の誕生日を迎えた頃から体調を崩すことが出てきたの。
最初はなんか調子がイマイチ良くないなぁと思う程度のことだったんだけど、王室の呪いに詳しい神官にみてもらったら、どうも呪いが関係してるってことが分かったらしいの。
それを聞いた婚約者のガレス王子は、ショックを受けながらも、私に正直に話すことを選んだ。
「セレナ嬢。あなたのあと半年という命の件だが、それは呪いによるものだ」
「はあ? どういうことよ? 呪いはとっくの昔に治ったでしょ?」
「呪いが再発したんだ。一度治ったように見えても再び呪われることもあるらしい。このままでは無事に結婚することはできなくなる」
「じゃあ、婚約を破棄するわ」
「え? 待ってくれ。それには断固反対だ」
「待たないわ。私の命は半年しかないのよ。王子に遠慮して生きたくはない。子供ができなくて残念かもしれないけれど、諦めてもらうわ」
この世界には妊婦の赤ちゃんを他の女性に移せる魔法があるのよ。
これを使えば半年でも子供は作れる計算になるのだけど、そんなの御免だわ。
◇ ◇ ◇
アストラ国は大陸の一番北側にある寒い土地よ。
呪いにも土地柄のようなものがあって、我が国では呪いの研究は遅れてると言われてるの。
念のため教会に行って訊ねてみたんだけど、やっぱり思った通りで、私の呪いの種類の見当もつかないのだって。
このまま我が国に留まってもこの呪いのことは分からない。
そんなやりとりをやっていたら、教会の若い司祭が話しかけてきた。
「聖女様、来月の仕事の予定表なんですが」
「私、聖女を辞めることにしたわ」
「そ、そう言われましても……」
「呪いで半年後に死ぬのよ? 教会に遠慮してられないわ」
◇ ◇ ◇
人間、突然自由になったら何をするかしら?
名声を利用していい思いをする?
富を使って豪遊する?
以前はそんな感じかと漠然と考えていたの。
だけれど実際に自由になってみると、案外そういう気分にもなれないわね。
何でなのかしらね。
人が思い描く理想と、現実との隔たりなのかもしれない。
ふと、私の身体をだるさが襲う。
私は両腕で自分の肩を抱く。
「そうだわ。呪いの研究が一番進んでいる国に行こう。そこならこの呪いがどんなものか、分かるかもしれない」
本棚にあった世界地図を広げて、大陸の一番端の国を探す。
ほどなく目当ての国が見つかった。
その国の名前はレオニアだったわ。
私がレオニアへ行く準備をしていると、その噂が広まったのかしら。
何人もの人が会いに来たわ。
「生徒会長、レオニアに行ったことないでしょう?」
「大陸の端と端だからね。普通は行ったことないわ、副会長。中つ国になら行ったことあるけど」
「私はレオニア出身です。会長を案内します。道中の国々の知識もあるので色々と役に立てます」
「そ、そう?」
浅黒い肌の整った顔をした副会長は、そう言ってきた。
私に旅の同行人ができたの。
それから時間を置かずに次の訪問者として王子が現れた。
金髪で端正な顔立ちの王子は、質問したわ。
「セレナ嬢、あなた、外国の食材で料理できないですよね?」
「外国どころか我が国でもできないわね」
「僕があなたの料理をしてあげます」
「え? 王子は料理できるの?」
驚いてる暇もなく、私にまた同伴者が登場した。
精悍な表情の若い司祭よ。
「聖女様、外国は危険な所です。魔法でしか倒せない魔物も出ます。攻撃魔法を使えますか?」
「聖女は防御は得意なんだけど、攻撃魔法は使えないわね」
「攻撃魔法が必要なときが必ずくるはずです。そのときは私が攻撃魔法を使いましょう」
「い、いいの? 司祭もあんまり得意ではなくない?」
「いえ、私は攻撃魔法の方が得意です」
「な、何で? 変わってるわね」
こうして私は優れた容貌の三人を引き連れて、見たこともない南の地を目指し、外国へと赴いたの。
私の寿命は残り約五カ月。
◇ ◇ ◇
それは一言では言い表せない大変な旅だった。
凍った湖の上を渡ってると氷が割れたり、水ヘビだらけの沼を泳いだり、天井から火槍が降ってくる洞窟を進んだり、大狼の群れのいる草原を通ったりしたのよ。
普通は急がば回れ、という感じで時間をかけて危険な所は避けながら行くところなんだけど、ゆっくり行ってたら私は死んじゃうのであえて危険に飛び込んでいったの。
やってる最中はやらなきゃ良かったと思ったものだけど、全部終わってみると、そんなに悪い旅でもなかったと思うわ。
私の感覚が狂っちゃったのかしら?
不思議なものね。
「大変な旅だったけど、聖女様の防御魔法は規格外過ぎますよ。一切の攻撃を寄せつけなかった。おかげでみんな傷一つ、つかずに済みましたよ」
「そ、そう? そんなにたいしたことやってないと思うんだけど」
「そんなことはない。セレナ嬢の鉄壁ぶりには開いた口が塞がらなかった。一体どうなってるのだ?」
旅には、最初の日から毎日のように違う角度からの楽しみもあった。
大雨の最中に晴れを期待しないように期待をしていなかった王子の料理よ。
てっきり王宮の中でお世辞ばっかりいう臣下に「上手い、上手い」とおだてられてただけだと思ってたの。
王子のやることに小さなことで文句を言うわけにはいかないじゃない?
料理なんて多少失敗したって死ぬわけじゃないのだから、恐らく甘やかされてるだけに違いない。
きっといつも不味いものばかり作ってるのだろうと想像してたのよ。
それがまさか本当に上手だったなんて、嬉しい誤算だわ。
「今晩の料理は月光草と火兎のローストだ」
「な、なんだこの良質な香りは……」
「い、今まで食べてきたものは何だったんだ?」
「うっまぁぁぁい!」
幼い頃から料理が趣味だったという王子は、驚いたことにプロ級の腕前だったの。
いえ、司祭が攻撃魔法で仕留めた新鮮な食材を使った料理は、レストランで食べる味を凌駕していたと言っても過言ではない。
副会長が異国の食材に詳しかったのも大きいわね。
おかげで美味しい食材ばかりを選んで食べられた。
不慣れな旅だったけれど、初めから食事の瞬間だけはどんなときも楽しい時間を過ごしていたの。
「今日の料理は水鶏の星蜜照り焼きだ」
「は、初めてこんなもの食べた」
「こ、これは想像を超えたコクだ」
「これもさいっこぉぉぉ!」
また私たちは夜の休憩時間になると、自分たちのことを話したの。
学園に入った当初に思ってたこと。
訓練で真剣を持たされたときの冷たい感触。
初めて魔法を使ったときの爽快感。
話題はいつまでも尽きることはなかった。
いままでこんなに気の合う仲間と話をしたことはないと感じた。
見つめ合うだけでも多くを分かり合える気さえした。
私たちは時間が許す限り、いつまでもお互いに話し続けたわ。
私の寿命は残り約四カ月。
◇ ◇ ◇
そういうわけで、ようやく南の国レオニアに到着したわ。
私は三人の美少年お供に声をかけた。
「王子、レオニアの第一印象はどうかしら?」
「正直なところ、言いたくない」
「それじゃ、司祭はいかが?」
「私も言いたくないです、聖女様」
「副会長、どう思う?」
「はっはっは。みなさんが閉口されるのも無理ありません。我が国の現在の気温は、四十五度ですからな」
そう。副会長の祖国レオニアは平均気温が世界一高いのだ。
みんな暑いって言うのも嫌になっちゃうくらい暑いのよ。
そのはずなんだけれど。
「生徒会長は平気そうですな」
「そうなのよ。私は暑くないわね」
「何でですか?」
「さあ?」
「鈍いんですか?」
「おい」
「いや、うらやましいって意味です」
呪いの研究をしていることで有名な教会へと、私たちは行くことにした。
教会へ着くと、服を脱いでくれと告げられたの。
言われた通りに裸になると、女性神官に身体中調べられたわ。
「うーむ、ここでは分かりません。王城に行ってください。紹介状を書きます。我が国で一番呪いに詳しい方がいます」
「そこでは分かるのですか?」
「まだ行ってみないことにはなんとも言えません」
紹介状を持って王城をみんなで訪ねると、なぜかロイド第一王子と面会することになったの。
「アストラの聖女セレナ様。知ってるぜ、前に一度、中つ国の王城で会ったことがある。ロイド第一王子だ」
「正確には元聖女ですが、ま、それでいいですわ。そう言えば顔に見覚えがありますわ。ところで王子。何か御用でしょうか?」
「ん? 用があるのは聖女様の方だぜ?」
「と言いますと?」
「オレは我が国で最も呪いの知識がある者なのさ」
「あ、そうなんですか?」
「見えないとはあまり言われないんだがな。ところで聖女様、前に会ったときからずっと好きだったんだ。結婚してくれ」
「ええ?」
「ちょっと待て、セレナ嬢は私の婚約者だ」
「いや、ガレス王子。婚約破棄したけど」
「私は承諾してない! いまでもセレナ嬢が好きだ!」
「そ、そんなこと言われても……」
「私も生徒会長が好きです!」
「副会長、突然、何を言い出すの?」
「私も聖女様が好きです!」
「司祭まで何言ってるの?」
私は頬が赤くなるのを感じた。
みんな揃ってどういうつもりなのかしら。
恋愛感情がたくさん入り組んでて、何が何だかよく分からなくなってきたわ。
心臓がバクバクと高鳴り過ぎて、私はもう倒れちゃうんじゃないかと思うわ。
どっちの方向を向いても、誰かの顔があって、まともに見ちゃうとどうにかなりそうじゃないの。
しばらく収集がつかない言い合いを私たちはしてたのだけど、ロイド王子がこう言った。
「まずは呪いを調べるのが先だ。呪いがかかったままだと四カ月で終わってしまうんだぜ? しかし、呪いが解ければ時間は永遠にできるんだ」
「いや、永遠ではないでしょう。七十年くらいです」
「七十年とか十七才のオレには永遠と違いが分からんな。想像がつくか、七十年ってどんな感じか?」
「いや、つきませんけど」
それからは王城に泊まり込み、呪いについてあれこれと調べ始めたの。
あっという間に一カ月が経過した。
私の寿命は残り約三カ月。
「分かったぞ」
「呪いを解く方法が分かったのですか?」
「いや、それはまだ三段階ほど早すぎる。まだ呪いの種類の大体の推定だ」
「それでその大体はどんな感じです?」
「たぶん憑依法の一種だな。それで憑依かどうかを試してみたいんだが、それには危険性がある。前に言った除念法というやつだ。どうする、やってみるか?」
「危なくても構いません、やってください」
「いや、構うぞ、セレナ嬢。愛する人に危険な真似はさせられない」
「いえ、ガレス王子、放っておいて」
「うぐっ」
ロイド王子がセレナ嬢の頭に手を置く。
ロイド王子の手がブワっとほのかに光を帯び始めた。
除念法をするには大変な精神力がいるらしい。
ロイド王子の額には汗が滲む。
除念法をできるようになるまで、普通の人間で十年の修行が必要になる。
才能のある者だと三年だそうだ。
そこをロイド王子は一年で習得した。
彼はこの国一番の天才なのだ。
ドォンという重い音が鳴り響き、ロイド王子の手が強烈な光を放った。
その瞬間、セレナ嬢の身体から強力なオーラのようなものが発せられる。
「こ、これは……すごい力が身体から溢れ出てる」
「聖女様、そのオーラを制御できるか?」
「できないとどうなる?」
「できないとヤバいことになる」
「やってみるわ……」
セレナ嬢から吹き出るオーラは静かに減衰して、やがてわずかとなった。
「そのままの状態を維持しろ!」
「わかったわ」
副会長がブルっと小さく身震いをした。
セレナ嬢を中心として冷気が発せられている。
「何だ、これは?」
「ふん、これが呪いの正体だ。凍える呪いだぜ。こんな強力な呪いは見たことがない。何キロにもわたって影響が出てるみたいだ」
あとで分かったことだが、セレナ嬢を中心として半径十キロにわたって、発した冷気で気温が下がっていた。
「涼しくなったのはありがたいな。ちょうどいい気温だ」
ガレス王子が言う通り、半径十キロ以内の気温は四十五度から二十五度まで下がっていた。
レオニア国では突然気温が快適になったことで、上を下への大騒ぎだ。
聖女への感謝の祈りを捧げる者が続出している。
「いや、これから忙しくなるぞ、第二段階に入る」
「次は何をするんですの?」
「冷気の濃度には方向によって偏りがあるはずだ」
それから二週間、セレナ嬢は国の東端から西端まで移動した。
三角法で呪いの発生源を推定できた。
それによって得られた結果は……、
「呪いはアストラ国の中心からかけられている」
「中心っていうと具体的にはどこですの?」
「学園が候補にあがった」
「学園なの?」
「いや、もっと詳しく調べたら違った。王城だ」
それを聞いたガレス王子はガタンと音を立てて、支えを失ったように倒れた。
「ガレス王子! 大丈夫?」
「大丈夫だ。それよりも呪いをかけた犯人が分かった」
ガレス王子は血の気の引いた顔でつぶやいた。
その姿は生気が抜け落ちたようだった。
「それは誰なの?」
「アストラ国王、私の父だ」
◇ ◇ ◇
セレナ嬢の寿命は残り約一カ月。
ロイド王子はそっとセレナ嬢の頭へ手を添えた。
「それじゃあ、呪いを返すぞ。いいな?」
「ええ」
セレナ嬢の呪いを解く手段は、呪いをかけた本人に呪いを返す方法だった。
これによって、彼女の呪いは解かれるはずだ。
ガレス王子は呆然として立っている。
ロイド王子はガレス王子をちらりと見てから、右手に力を入れた。
ロイド王子の手がいままでにない強い光を放った。
パリンという乾いた音が響いて、セレナ嬢の身体が割れたのかと勘違いしたほどだ。
呪いというものは目に見えないが、固い殻にたとえられることもある。
その殻が壊れたということなのだろう。
セレナ嬢からあれほど出ていた冷気が、少しずつ発せられなくなっていく。
しばらくすると、溢れていた冷気が完全に止まった。
どれくらいの時間が経っただろうか。
レオニア国の王城にいつもの暑さが戻ってきた。
人々は暑さに閉口しつつも、セレナ嬢の呪いが解けたことを喜んだ。
その中にいて、ガレス王子だけが放心したように動かなかった。
◇ ◇ ◇
大陸の南端から遠く離れた北端の土地でのことだ。
アストラ国の王城では異変が起こっていた。
国王が突然苦しみだしたのだ。
「ぐぁあぁぁぁ! なんだこれは! 余になにが起きておる?」
「恐らく、呪いではないかと思われます……」
「呪いだと? そんなバカな。呪いを警戒して余は最近、誰とも会っていないではないか!」
「……そうなれば、陛下に呪われた者が呪いを返したのではないでしょうか?」
「呪い返しだと? なぜだぁぁぁあぁぁぁ! そんな強力な呪術師など我が国にはいないはずだぁぁぁあぁぁぁ!」
「ならば異国の呪術師でしょう。だから呪いは万全ではないのでやめたほうがいいと、前々から忠告していたのです」
「くそぉぉぉおぉぉぉ! 死にたくないぃぃぃいぃぃぃ! 助けてくれぇぇぇえぇぇぇ!」
王城に国王の叫びは何時間も響き続けた。
やがて逆に静寂が訪れると、今度はいつまでも静けさに覆われた。
呪いによって数々の人間を殺してきた国王は、呪いによって自らも最後を迎えることになった。
こうしてアストラ国は王が不在となる。
その後、第一王子であるガレスは王位継承を放棄する。
そして王子の身分を捨て、公爵となった。
唯一の王位継承者であったガレスの、この行為によって、王家は崩壊、王位継承権はセレナ公爵令嬢へと移ることになる。
そして新たにセレナ女王が誕生するのである。
その傍らには四人の麗しい美少年が並び、女王を支え続けた。
「今日も美味しいものが食べたいわね」
ここまで読んでいただきありがとうざいます。
何点でも良いので☆マーク評価、ブックマークなどをして頂けるとむちゃくちゃ励みになります!




