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プロローグ

本質を見失うな、それはあなたの魂であり、

個人の意思に他ならない───────。

 ある日、夢を見た。


  こことは別世界で戦い続け、終わりが訪れないそんな旅路。


 仲間のような者たちも居て、一緒に戦った気さえする。



  「─んな、──────けば────に。」



「──な、事を言うな、───だろう。」


「まぁ、お前たちは、────まま───な。」



「今までずっと言いたかった事がある。聞いてくれるか?」



「なあに?」


「何だ?」


「聞かせてよ。」


 そこで、眼が覚めた─────。


 今日は学校を休んで外をブラブラしようかな。どうせみんな盲目的に勉強して盲目的に資格を取り盲目的に働いて生涯を終えるのだろう。今日は天気がいい。

 日差しは強く、蝉が元気に鳴いていた。子供は今頃学校に、社会人は会社に拘束されている時間だ。


 私は、今日退屈な人生を終わらせに"禁足地"に向かった。


「ここか、俺の墓標ぼひょうは。相応しいようなそうでないような。まぁ、どちらでもいいか。自分の人生には意味が無くてはならない。」


 私が"禁足地"に踏み込もうとした時に声をかけられた。


「君は、その程度の人間なのですか??」


 白衣姿の緑色の兎に軽口で挑発?された。


「君こそ何をしているんだ?」


「もう一度しか言わないから言わせてもらうのですよ。君はその程度の人間なのですか?」


 私は半ば苛々しながら言い返した。


「あぁ、そうだよ。そして、この生命を今日ここで終わらせる。だから、ほっといてくれ。」


「そう、じゃあ。君は君の信念を曲げない、というわけなのですね?」


「あぁ。」


 そして、私は"禁足地"と書かれた看板を無視して、

 "禁足地"に入った。


「やっぱり、あの方が仰っていた通りだ。君は矢張りそういう人間なんだね。頑固でマイペースで融通が効かなくて臆病で儚い心の持ち主だ。僕はそんな人間をこの世の誰よりも尊敬しているよ。」

「それに、"禁足地"の向こう側には僕の仲間がいるから運が良ければ、死ぬことは免れるだろう。」

「再会が楽しみだ。」


(それにしてもなんだったんだろう?あの生き物。挑発して、態と私を"禁足地"に入らせたのか?何のために?まぁ、いいか。私には願ったり叶ったりだ。)


 暫く歩くと霧がかかってきた。まるで夢の中を散歩している気さえしてくる。日常よりよっぽどいい景色だ。こういうのも悪くない。後は何らかの事故アクシデントで死ねたら都合が良いのだが。


「クソっ、クソっ。おい、お前、【本質ほんしつ】持ちか?」


 向こう側から、フル装備したボロボロの、内蔵が今にもお腹から溢れ落ちそうな死にかけの人が声を掛けてきた。


「いや、ただの高校生だけど。」


「あぁ、そうかよ!じゃあ、早く119番で救急車呼んでくれよ!仲間が今にも死にそうなんだ!向こうで大蛇と戦ってる!」


「そうか、悪いが電話は貸すからあんたがかけてくれ。」


「は?お前本気か?そりゃ確かに自業自得だけどよ。そりゃないだろ!」


「見ての通り、俺は死にに来たんだ。助かるなら勝手に助かるんだな。」


「お前なぁ!クソっ、このままじゃ、血が足りなくて死ぬ。いいから携帯を寄越せ。」


 私は目の前の男に携帯を差し出す。

「はい。因みに俺の事は内緒で頼む。計画が狂うのが苦手なんだ。」


「誰がお前のことなんか喋るもんか!」

 男は怒りながら電話をかける。


(私は今の内に、大蛇とやらと戦うとするか、武器も装備もないけれど。願ったり叶ったりだ。)


 そして歩いている内に血の海とまるで乾いた赤いペンキが緑に掠れつつも派手に擦り付けた様な後がちらほら散見された。つまり、何が言いたいかというと死体塗れである。


 私は元凶を見つめる。

「お前が私を殺してくれる蛇か、ありがたい。」


「今すぐ俺を殺してくれ。」


 幾許の猶予もなく大蛇は私に食らいつこうとする。

 次の瞬間、大蛇は、静止した。


「【魔法式フォーミュラ】『デデキントの切断デデキント・カット』」


 声の主はどう見ても小さな女の子で低い声で指から光の数式を描きながら、私の命を救った。大蛇はサイコロステーキ状になって泡を吹いている。


「怪我はないかい?隣人。」


 私はこの主の声を聞いた事がある。夢の中だ。あの人物に、そっくりだ。正夢だろうか、いや、然しそんな事があるだろうか。


「ねぇ、もし良かったらさ、その勇気を称えて僕たちの仲間になってくれないか?」


 この出会いが私の人生を大きく変える出来事になったのは言うまでもない。

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