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婚約破棄された令嬢はどうして腹黒王子様とイケメン騎士様たちに弄ばれてしまうのか  作者: 悠木真帆


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レナルド王子とナタリー姫の警備を終えたその日の夜、第11騎士団で酒場に集まって打ち上げを行った。


ハントとティムが早々に酔い潰れ、ライナルトは「風にあたりたい」と、ひとり外に出たタイミングで

「こっちでお話ししない?」とローベルトをカウンター席に誘う。


聞き出さないと。


カブリトのことーー


“味方だからって油断しない方がいい”というライナルトの言葉が引っかかって疑っているわけじゃない。


目撃してしまったんだ。


王宮内の人気のない廊下でローベルトと同期と思われる騎士が会話をしているところを。


「ローベルト、お前、せっかく第一王子の近くに配属されたんだ。手にかけるチャンスだろ」


「場所を考えろ!冗談でも口にする言葉ではないだろ」


「硬いこと言いなさんな。お前も第二王子派になれよ。こっち側につけばお前も出世できる。

そうしたら爵位も上がって、俺のところに奉公に来ている健気な妹を引き取ることができるぞ」


「⁉︎ 妹は、妹は無事なのか」


「人聞きが悪い言い方だ。コレンフィーネはちゃんと可愛がってやっているよ。

準男爵家は本当に大変だな」


同僚騎士はおもむろにローベルトの襟を直しながら「期待しているぞ」と意味深な言葉をかける。


それから間もなくして今日の出来事だ。


私は意を決して尋ねる。


「今日、森で摘み取ったカブリト⋯⋯どうするつもり? 毒でしょ?」


「知らないのか。カブリトは確かに葉は毒だが、根っこは解毒剤になる」


「! 解毒剤?」


「騎士たるもの常に自分を守る薬は常備しているものだ」


だからライナルトは軟膏を⋯⋯


「話はこれで終わりか?」


「いや、その⋯⋯それは」


「これ以上は無駄だな。帰る」


「ローベルト君?」


ローベルトは立ち上がりそのまま出口の方へと歩いて行ってしまう。


そしてローベルトへの疑念が晴れぬまま翌朝、事件が起きてしまう。


レナルド王子が決まった時間になっても起床してこないので

心配したメイドは私たち第11騎士団のところにやって来て相談。


嫌な胸騒ぎを覚えた私はライナルトと一緒にレナルド王子の寝室に入り様子を確認する。


「王子、入るぞ」


「失礼します」


部屋に入ってすぐ漂う香りに鼻が反応する。


甘い香り?


そう思った矢先、飛び込んできた光景に思わず悲鳴をあげてしまう。


「きゃあああッ」


レナルド王子がベッドの近くで倒れている。


私の悲鳴を聞いたローベルト、ハント、ティムの3人が入ってくる。


ローベルトは入ってくるなり窓を開けて外の空気を入れる。


「王子の意識がない。運び出すのを手伝ってくれ」


ライナルトはハントとティムの3人で王子を担ぎ上げて部屋の外へと運び出す。


ローベルトが窓から離れると、窓際には花が飾られていない花瓶がひとつ置いてあった。


医務室に運ばれたレナルド王子は治療の甲斐もあって意識を取り戻す。


「どうやらみんなに心配をかけさせたようだね」


よかった。いつもの飄々とした王子だ。


医師の話だと遅効性の毒にやられたようだが1日安静にしていれば命に別状はないとのことで私たちは胸を撫で下ろした。


しかし王子暗殺未遂の噂は瞬く間に王宮に広まった。


「園遊会が近いというのに困ったものだ」


「護衛の騎士団がありながらなんという不始末」


王宮内からさまざまな声が聞こえた。


「クソ、俺たちがついていながらこんな」


「ハント、毒が相手なら僕たちだって戦えないよ」


「だけどよぉ。ティム」


「とにかく犯人を見つけましょう。このままだと第11騎士団の面目が立ちません。

ライナルト騎士団長!」


「ローベルト、マスター、頭を使う仕事はあんたらに任せる」


「ちょっと待って!」


「ティム、ハントは俺と鍛錬だ」


「はい、はーい」


「おっしゃ!体動かさねぇとむしゃくしゃが晴れないと思ってたとこだぜ」


「王子が危険な目にあったのよ。無責任じゃない!」


ライナルトにつかみかかろうとする勢いの私をローベルトが手を差し出して静止する。


「これが騎士の戦い方です。私たちは剣で戦い、剣で主君を護るのが私たち騎士の役目です」


「だったらローベルト君はいいの!」


「私は事務方希望ですから根っからの騎士ではありません」


ライナルトは何考えているの。1番犯人に近いローベルトと犯人探しなんて。


「ローベルト君、袖口が黄色いけど大丈夫?」


「朝食のとき、マスタードをうっかりつけてしまっただけです」


絶対ウソ。


ローベルトの袖口の黄色い汚れを見つめていると王子の寝室の花が飾られていない花瓶が頭をよぎる


「花粉⋯⋯」


私がボソッとこぼした言葉にローベルトが「!」と反応する。


ローベルトはすぐさま話題を切り替える。


「マスター、これから園遊会の準備会議があります。そろそろ行かないと遅刻ですよ」


「そうだったわね⋯⋯」


園遊会の準備会議ーー


園遊会の警備計画や催し物を考える会議だ。


主は文官貴族や政府の要人が集まる場だが第11騎士団の私たちもレナルド王子の警備計画のため呼ばれている。


私はローベルトと一緒に参加。


会議場の席につき定刻を待っていると。


まねかねざる客が会議場に入ってくる。


トラヴィス・グラントロス第二王子だ。


場内がざわつき出す。


逆だった金髪にギザ歯、胸許をはだけさせた赤のワイシャツに黒のパンツという派手な姿。


テーブルの上に腰をかけて、到底、王族とは思えない立ち振る舞い。


「貴様ら全員集まっているな。俺様から提案がある。園遊会の催しは毎年固っ苦しい。

見ていて退屈だ。大道芸人たちを呼んで盛り上がる会にしたい。

それに花街から妓女をたくさん呼んで酒を飲めば派手に振る舞うことができるぞ」


全員困り果てた顔。


「どうだ。いい提案だろ」


担がれた神輿が思い上がって口を挟んできたということか。


取り巻きたちは第二王子のご機嫌を損ねずにどう立ち回るつもりだ?


しかし、どこを見渡しても第二王子派の貴族は困った顔で汗を拭うばかりだ。


会議場はヒソヒソと話し合う声だけが響く。


そのとき、扉が開いてティムに肩を抱えられたレナルド王子が入ってくる。


「トラヴィス、あまりみんなを困らせちゃいけないよ」


「兄貴ッ!」


レナルド王子は息苦しそうに話を続ける。


「園遊会は王族の品格を臣下に示す場だ。その場で品位を欠く行動をしてはいけないよ」


「そんなことは兄貴に言われなくてもわかっている」


「だったらなぜ彼らが決めることに口を挟んでいる」


「俺はただこいつらが困る顔が見てみたかったんだ」


なんて身勝手な理由!


「大切な会議の場を乱したこと、弟に変わり兄である僕が謝る。すまなかった」


レナルド王子が頭を下げると会議場内から拍手が湧き起こる。


役者が違っていた。


レナルド王子が再び頭を上げると、彼は意識を失うようにまた倒れてしまう。


会議場内が再び騒然とするも、この日、レナルド第一王子の株が上がったことは間違いない。

































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