08 勝負の日
いよいよ勝負の日。
煌炎を取るガチャを引く。
廊下を歩く間も、ほんの少しだけテンションが上がる。
期待と不安が胸をよぎる。
家に着いて、深呼吸をしてからスマホを開けた。
「やっほ」というスタンプを送って、ゆうやからの反応を待つ。
心臓がドキドキしている。
ゆ「やっほ」
ユ「じゃあ、ガチャ引きますか」
ゆ「うん。そうだね」
指先が画面に触れた瞬間、音もなく光が躍り出した。
不安と期待が交錯して、鼓動が跳ね上がる。
「来い」
両手の指を絡めて、力を込めて祈る。
だけど、出ない。 失望が胸を締め付ける。
でも、まだ50連目だから、大丈夫。
そう言い聞かせていくうちに、200連まで到達してしまった。
本当に、出ることがあるのだろうかという疑問を抱くほどに、出る気配がない。絶望感が募る。
ゆ「どう?出た?」
ユ「200連、引いたのにまだ出てない」
ゆ「マジか」
ゆ「まだ50連くらい引けるし、きっと出るよ」
やっぱり絶対って言わないんだなと、少し寂しい気持ちになる。
ユ「ゆうやは出たの?」
ゆ「まだ 今、150連」
ユ「230連 私もまだ出ない」
緊迫感が募る中、希望というべきか焦りというべきか、緊迫感を切り裂いていく光。
ゆ「俺、出た 190連」
今、私、250連だよ。
190連で出ることあるのに、250連で出ないことあるの。
つくづく運が悪いな。
ユ「おめでと」
ゆ「うん。ありがと」
ゆ「俺もユズの方も出るの祈るよ」
それでも、絶対という言葉は使わないんだなと俯瞰的に思う。
ユ「ありがと」
ユ「250連行ったけど、出ない」
ゆ「コイン、後どのくらい残ってる?」
ユ「609」
ユ「あと2回か 絶対出るように祈るから頑張って」
絶対出るではなく、絶対出るように祈る。
そこにゆうやの嘘はつかないけれど、真剣に応援する優しさを感じて、嬉しかった。
確証なんかないし、出る確率だって変わってない。
その事実を理解してはいるけれど、「出る」という、確信が喉を突いた。
スマホ画面が光って、「煌炎 獲得」の文字が表示される。
取れたんだ。
嬉しい。 喜びがあふれる。
ユ「出たよ 251連」
ゆ「よかった おめでと」
ユ「マジで嬉し~」
ユ「ゆうやもおめでとうね」
ゆ「うん。ありがと」
ゆ「煌炎の育成も頑張ろう」
ユ「うん 育成をいっぱいして強くさせよう」
ユ「ありがと またね」
ゆ「またね」