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42 ユズのように
胸を高鳴らせながら、送信ボタンをクリックした。
「結果発表は1月の初旬か」
その頃には、ユズの受験が2週間後に控えているのかと思うと、緊張が蘇る。
「受賞できることを信じて待とうか」
「そうだね」
「俺も、通信制でいいから高校行ってみようかな」
ユズが帰った後、小さく口に出して心が跳ねる。
言葉にした瞬間、胸の奥で何かがはじけるような気がした。
自分の未来の少なからず希望を感じた。
これまで閉ざされていると思っていた自分の未来の扉が、少しだけ開いた。
ゲームのことについてもっと深く学んでみたい。
一緒に戦ってくれたユズのためにも、進んでいきたい。
自分の人生に希望を見いだせなかった俺に、大事なものを気付かせてくれた。
「ユズはすげえな」
遠く前を走って行くユズの背中を想像して、俺もそうなりたいなと思う。
ユズは俺の目標。
ユズのように、自分の信じる道をまっすぐ進んでいける人間になりたい。
 




