31 上手く変われない
夏休みが終わり、新学期が始まった。
だけど、人間は晴れ晴れしいくらいに、一朝一夕には変わることはない。
変わりたいと思っても、現実はそう簡単にはいかない。
妹にだって、たまに劣等感を抱くし、母親とのことも未だに逃げてしまう。
苦手でもできるって言って、人に頼らないし、人の顔色も窺ってしまう。
誰かに認められたいっていう気持ちは消えてくれないし、本当の自分をうまくさらけ出せない。
素の自分を見せようとしても、堂々としているように見える方法とかの嫌な豆知識を使ってしまう。
自分の感情に正直に生きたいと思っても、言えずにいることはたくさんあるし、先生に対して異論があってもいい顔をしてしまう。
周囲の調和を優先して、自分の意見を呑み込んでしまうこともある。
全然、変われない。
それでも、日々の積み重ねが少しずつ変化を生み出していく。
人にされたお願いをおかしいと思ったら、断ることはまだ難しいけど、一緒にできるようになった。
勉強での間違いを恥ずかしいものではなく、活かせるものとして冷静に捉えられるようになった。
昨日よりも今日、今日よりも明日と、わずかな前進がやがて大きな違いとなる。
焦らず、あきらめず、自分を信じて歩み続けることが真の変化への道。
8月の模試の結果が前回から2ポイント上がり、69。
未だに努力圏だが、着実に上がっていることに嬉しさを感じる。
何も考えずに無邪気に笑える人のことが羨ましかった。
でも、それは自分にはできない。
それでいいし、嫌に考えてしまうのが自分だ。
けれど、その上で得られるものがきっとある。




