表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/45

03 罪悪感と逃げ

 部活を終えて、家へ帰宅した。


 靴を脱ぎ棄ててリビングへと進む。


「ただいま」と小さく呟いても、返事がないことは分かり切っている。


「どうせ。もう、母は私なんか関心はない」


 中学受験で、北川東中に落ちた私なんかに。



 現実から逃れるために、机の上に置いてあったスマホを開いた。


 スマホを握りしめると、冷たいガラス越しに映る自分の表情が少しぼやけた見えた。


 タップ一つで現実と仮想の間の戸が開く。


 画面が光を放ち、カラフルなロゴが現れて、私の推しキャラ・澪音れいんがスマホから顔を出した。


 少女育成ゲーム。



 これが親に見つかったら、もっとしつぼうされてしまうことはわかってる。


 だけど、この苦しい世界とは別のところにいけるという快感にどうしても抗えない。



 ゲームが起動されると、自動的に流れてきたガチャをタップして漫然と回していく。


「コインゲットか」


 いいことであるはずなのに、自然とため息がこぼれてしまう。


 宝箱を空けたり、キャラを育成したり、フレンド申請を送ってみたり。


 何も意味のあることはしていない。


 だけど、まだゲームの中の世界に居たかった。



 フレンド募集欄を淡々とスクロールしていく。


 すると、アイコンが澪音になっている人がいた。


 澪音は人気がないということはないが、メジャーというわけではない。


 アイコンにしている人を見たのは、数えるほど。


「ゆうや」


 アイコンをタップして、フレンド申請をタップした。



 玄関から鍵を開ける音が聞こえて、私はスマホを閉じた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ