13 いや、まさかね⁉︎
竹でできたホウキを握りながら、静かに廊下を掃く。
「ここまで掃けたから、拭いていいよ」
雑巾で床を拭いている人に指示を出した。
「あ、ねえ。白川さん。悠夜君と同じクラスよね。机の中にこのプリント入れといてくれない?」
確か、相談室の青田先生。
「え。あの、悠夜君って誰ですか?」
ゲームのあの子と同じ名前。
でも、そんな子クラスにいた記憶がない。
「高橋悠夜君よ。まあ、学校には全然来てないけど、名前くらいは覚えといてほしいかな」
高橋、悠夜。
担任の先生からは、高橋君としか言われていなかったから名前なんて、何も考えてもみなかった。
ゆうや。
いや、まさかね。
「悠夜君。どんな子なんですか?」
「そうねえ。相談室もあんまり来てくれてないから、詳しくはないんだけど、ゲームが好きって言ってたわよ」
「ゆうや」と同じ。
だけど、ゲームが好きな子なんて、この世界に五万といるし、さすがにないよね。
その可能性を否定しようとしたが、どうしてもその名前が気になってしまう。
仮名の可能性だってあるんだし、同じ名前だからって、そんなわけ。
そう思っても、まさかという気持ちが消えず、訊いてみることにした。
 




