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12 俺にはいい未来なんてない

 酷いことを言った。


 何も知らないのに、諦めだの、臆病だの。


 俺が何もできないことの八つ当たりだ。


 ゆ「ごめん」


 心が締め付けられるような痛みが走る。


 ゆ「ユズは学校に行ってて、人生も大方成功する」


 ゆ「俺はどうせ一生このまま」


 言葉を紡ぐたびに、胸の奥が重たくなり、自嘲の笑みが浮かんでしまう。


 ゆ「俺だって、挑戦しろって言われたら拒絶するのに、何も考えずに八つ当たりした。ごめん」


 俺だって、学校に行けばいいことがあるなんて言われたときに嫌だった。


 俺は、そいつらと同じことをしたんだ。


 ユ「ううん 私も突っかかるような言い方した ごめん」


 ゆ「いや、俺がユズの辛さを尊重してなかった」


 ユズは悪くない。


 ただ、俺がユズの言葉を嫉妬の材料にしただけだ。


 ユ「ううん。私が鬱憤をゆうやにぶつけっちゃっただけなんだよ」


 彼女の言葉に苦しさが垣間見え、申し訳なさが募る。



 ただ、さ。


 ゆ「そうだとしても、ただほんの少しありがたかった」



 ゆ「進路の話とか、俺は避けられるから 気兼ねなく言われたのはありがたかった」


 俺は不登校だからって、進路の話を避けられてきた。


 だから、嫉妬してしまったけれど、避けずにいてくれたのは、ありがたかった。


 ユ「そっか」


 その短い返事に仄かな温かさを感じる。


 ゆ「うん またね」


 誰にだって、悩んでいることはある。


 自分がどんな環境下にいたとしても、その悩みを馬鹿にすることはしたくない。



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