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01 夜は気を張らずにいられる
夜の街は、まるで銀河が地上に降り立ったように輝いていた。
街灯が静かに灯って、歩道を薄く照らす。
その光の中で、影が躍るように揺れる。
人の声は遠くに霞み、静寂が支配する。
夜というのは、そんな時間。
そんな夜を目の当たりにすると、私はどうにも夜に浸りたくなってしまう。
夜は気を張らずにいられる。
誰も見ていないし、ただ一人の平凡な人間としていられる。
その安心感に、浸っていたくなる。
そして、夜の空気を深く吸い込むと、心が少し軽くなった。
夜風が頬を撫でるたびに、日中の疲れが少しずつ溶けていくような感覚に包まれる。