紙飛行機を飛ばしてみよう
ここに一枚の折り紙がある。
これで何かを作ろう、と誰かが言った。
紙飛行機を作ろう、と他の誰かが言った。
紙飛行機って何?と他の誰かが言った。
紙で折られた飛行機だよ、と他の誰かが説明した。
どうやって作るの?と誰かが質問すると、
こうやって折るのさ、と誰かが作ってみせた。
その場に居合わせた人は、一斉に紙飛行機を折り始めた。
金、銀、赤、青、黄、緑、黒、白。
そこには、色も大きさもバラバラな折り紙がたくさん積まれている。
あるひとりは20センチ四方の白い紙で、紙飛行機を作り始めた。
このサイズで折れば、飛ばしやすいし、遠くまで飛ぶ紙飛行機が作れそうだ。
あるひとりはそれより少し大きめの赤い折り紙で、紙飛行機を作っている。
この紙飛行機なら、面白い飛び方をするかもしれない。
あるひとりは紙飛行機より紙風船がいいと言って、黄色の折り紙を折りはじめ、
あるひとりは折り方がよく分からないと、緑の折り紙の前で呆然としている。
白い折り紙で最初に紙飛行機を作った人が、折り紙の折り方が分からない人達の前にやってきた。
自分の作った紙飛行機を元の一枚の折り紙に戻して、彼らの前で同じものを作る。
折り紙にはもう折り目がついているから、簡単な作業である。
紙飛行機の作り方が分からなかった彼らは、ひとりひとり、作り方が分かった順にその場を離れていく。
あるひとりは金の折り紙を手にして、紙飛行機を作り始める。
あるひとりは銀の折り紙を手にして、同じように紙飛行機を作り始める。
黒の折り紙を手にしたひとりは、カッコいい紙飛行機を作ろうと試行錯誤し、
青の折り紙を手にしたひとりは、綺麗に飛ぶ紙飛行機を作ろうと思案している。
そうして出来上がった、沢山の紙飛行機。
みんなでスタートラインに並び、一斉に飛ばす。
上手く飛んでいく紙飛行機もあれば、回転しながら墜落する紙飛行機もあるようだ。
紙飛行機は何度も飛ばすことができるので、みんな紙飛行機が着地した地点まで拾いにいく。
スタートラインから、何度も飛ばし直すものもいるようだ。
それぞれが思い思いの作業をし、自分で作った紙飛行機を持って転げ回りはしゃぐ者達もいるようで、そこでは大混乱が起こっているが、皆楽しそうに笑っている。
あるひとりが作ったのは、そんな紙飛行機の中のひとつ。
スタートラインから飛ばすものの上手く飛ばなかったので、再び、今度は力を入れず、そっと宙に放つ。
紙飛行機は宙を滑り、先ほどの到着点より少し先に着陸した。