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教会滅亡後世界  作者: 木島別弥
エピローグ
56/56

おわりに

 ここは、教会滅亡後世界。

 かつて、人々が知るべきことを教えていた教会が滅びた後の世界。


 四千年前に出現した逸脱した魔術師に勝つことができる人物がいることを誰も信じなかった。

 世界の動きをひとりで掌握した魔術師が存在したことが信じられるか。

 世界の動きをひとりで掌握した魔術師に対抗することができるか。

 世界の動きをひとりで掌握した魔術師に勝利することができるか。

 誰もその魔術師に勝つことはできないと人々は考えていた。


 魔術を教えることすらやめてしまった世界。

 誰もその魔術師に勝つことができないので、魔術を教えることをやめてしまった世界。


 それがまちがいであったことを証明したひとりの若者がいた。

 彼は一代で四千年前の魔術師に勝ち、人類があきらめていた勝利が実現できることを示した。

 彼の勝利を信じることができるだろうか。


 彼の勝利は記録され、讃えられるべきものだ。

 あの忌まわしき毒の魔術師。

 彼について語り継いでいくべきものだ。

 これはそれを記した彼の記録である。


 教会が滅んでから、彼が現れるまで三千年の時が必要だったことは、何を意味しているのだろうか。

 教会が存在するとはどういうことなのか。

 教会が滅ぶとはどういうことなのか。

 教会は四千年前の魔術師を教えるものだった。

 これから、その四千年後に現れた彼について教えるものを何と呼ぶべきだろうか。


 教会滅亡後世界の魔術師の記録。

 多くの魔術師がいた。

 ほとんどの魔術師について記録は残されていない。

 せめて、彼の記録が残ることが望ましい。


 失われていく魔術師の記録の中で、いったいどの魔術師の記録を残すべきか選ぶのは難しい。

 しかし、彼は、失われていた世界の真相にたどりついたものであるのだ。

 それを知ることだ。


 彼が誤謬の中で何をしたか。

 彼が遺跡の中で何をしたか。

 彼が贋作の中で何をしたか。

 彼が異端の中で何をしたか。

 彼が世界の中で何をしたか。


 わたしはもうこれ以上書きつづけることができない。

 文書は失われていくものである。

 失われてはならない文書を慎重に保存すること。

 それはとても大事なことである。

 どうか文書を失わないでくれ。


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