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教会滅亡後世界  作者: 木島別弥
世界魔術篇
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魔術の家

 そして、四人は魔術の家にたどりついた。この家にギルベキスタが住んでいる。世界に溶けているはずのギルベキスタが住んでいる。

 入口を開けて、ベイケが魔術の家に入る。ギルベキスタはどこにいるのか。ギルベキスタの同居人が数人いて、彼女たちが驚いてベイケたちを見ている。

 二階から誰かが階段を下りてやってくる。おそらく、ギルベキスタだ。

 とうとう会うのだ。世界魔術師ギルベキスタに。

 四人は緊張して、ギルベキスタが階段から下りて来るのを待つ。

 観察している世界魔術師たちはどう移動したのか、すでに魔術の家の別の部屋にいる。

 ギルベキスタが階段を下りて、ベイケたちの見える部屋にやってきた。ベイケたちはギルベキスタを見る。魔術師の衣装を身に着けている。性別は男だろう。若い体を維持しているのがわかる。

 ギルベキスタはまだ黙っている。ギルベキスタの方からは話しかけて来ない。どんなことばを発したらよいのか。

 ベイケとミシアとウォブルは、魔術の契約の時にギルベキスタに会ったことがある。その時とは衣装も雰囲気もかなりちがう。ギルベキスタは喜んでいるようだ。

 ギルベキスタを初めて見たノアミーは、とても驚いている。じっくりと時間をかけてギルベキスタを観察している。忘れてはいけない人物だ。

「あなたはギルベキスタだな」

 ベイケがことばを発する。

 他の三人はベイケがギルベキスタに声をかけたのを聞き、様子を見る。ベイケがいちばん最初にことばを発した。ギルベキスタにいちばん興味があったのはベイケなのだから、そうなるであろうと思っていた通りになった。

 ギルベキスタはなんと答えるだろうか。

「そうだ」

 ギルベキスタのことばはわかりやすい単純な返事だった。

 まわりの者たちはギルベキスタの会話を注意して聞いている。ものすごく影響力の大きな人格の会話なのだ。ギルベキスタとの会話で世界の動きが変わるかもしれない。

「あなたは、なぜ、三千年前に教会を滅ぼしたんだ」

 ベイケが聞く。

 ギルベキスタは答える前に時間をとる。ギルベキスタはゆっくりと話す。

 さて、わたしはなぜ教会を滅ぼしたのだったかな、とギルベキスタが考えている。それを世界魔術師ドービーが読み取って、そっとベイケに教える。

 ギルベキスタからしたら三千年も前の話。詳しく覚えていなくても仕方がない。ギルベキスタはそれからの三千年間をとても充実にすごしていたのだ。いろいろな思い出のある三千年間のことに気をとられて、なぜ教会を滅ぼしたのかをすぐには思い出せない。

「わたしの魔力が大きくなりすぎて、世界が動く原理の探求がわたしの魔力の探求と同一視されるようになっていた。それで、わたしは自分の魔力を探られるのを防ぐために教会を滅ぼしたのだ」

 ギルベキスタがいった。

 ベイケはそのことばの意味をじっくりと考える。ギルベキスタがそう明言したからといって、それが本当に重要なギルベキスタの意思の原因だったのかははっきりしない。教会が滅んだ理由をそう簡単に結論付けることはできない。

「なぜ、教会滅亡後世界では、魔術が知られていないのか」

「魔術を好む者はそれでも魔術を調べている。問題はない。大衆に認められなくて悔しいのか。教会滅亡前の魔術師だって、大衆に認められるような者たちではなかった」

 ギルベキスタがベイケの質問に答える。

「教会の収穫はどうした」

 ベイケが慎重に質問した。

 教会の収穫が何を意味するのか、ギルベキスタに誤解なく意味が伝わるのかベイケは心配だ。

 教会が滅んだ時、ギルベキスタが奪い去った教会の収穫物、それを教会の収穫という。それをギルベキスタがどうしたのか、ずっと謎のままなのだ。

「あれは、遊んでいるうちになくなってしまったな」

 ギルベキスタが答えた。

 このギルベキスタのことばを信じるなら、教会の収穫はもう存在しないということなのだ。ベイケは教会の収穫が欲しくてギルベキスタに挑もうというのではない。しかし、教会を収穫を奪うためだといえば、限界に挑んでみたいためにギルベキスタを倒したいという本心よりも、大衆受けは良い気がした。苦労して世界で有数の強敵に挑むのは、あまりみんなは褒めないだろう。

 克己のためにベイケはギルベキスタと戦うのだろうか。

 ここに居る五人の世界魔術師の中でいちばん強いのは誰なのだろう。ベイケは、魔術師ギルベキスタ、魔術師ダイツア、魔術師ドービー、魔術師グルダヤ、魔術師アギリジアの他に月の世界魔術師ルドナルフの名を知っている。

「ギルベキスタ、おれはあなたに挑みたい。迷惑だろうか」

 ベイケがいった。他の三人ははらはらしている。相手は世界魔術師ギルベキスタだ。勝ち目はない。

「いや、かまわないぞ。時々、やって来る。わたしに挑もうという者たちが。それも人の持つ情熱の現れだろう。調整は難しいが、歓迎するべきものではないか」

 ギルベキスタはいう。

 観察しがいがある。他の四人の世界魔術師たちは思った。


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