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教会滅亡後世界  作者: 木島別弥
誤謬学校篇
3/56

教師エンドラルドの驚愕

 職業選択の翌日、学校で初日の授業があった。

 四人の生徒を教えるのは、老齢の教師エンドラルドだ。エンドラルドは、長くたくわえた白髪に黒い服を着ていて、杖と書物を持ち歩くいかにも魔術師な見た目の人だった。

 ベイケは、初日から本気だった。

 ベイケの目標は、教会滅亡後世界で忘れ去られた魔術原理の解明だ。それを行うには学校の授業にただ従っていては届かない。

 初日から、教師エンドラルドに勝負を挑むつもりでいた。

 はたして、エンドラルドがベイケを指導する教師にふさわしいかどうか、生徒の方で見極めなければならない。


「質問! 先生。なぜ、嵐が発生して、作物が収穫できて、飲み水に困らないだけの雨が降るのでしょうか」

 ベイケは授業開始早々に手をあげた。

「そういう自然の現象は、実にさまざまな要因がからまって起きているので、ここで私が正確に教えることはできません」

 老齢の教師エンドラルドはゆっくりと答える。

「それはちがいます、先生。嵐が発生して、作物が収穫でき、飲み水に困らないだけの雨が降るのは、世界魔術師ギルベキスタの魔術原理が世界を支配しているからです。その世界の構造の基本を知らないで、本当に魔術師選択の教師が務まるのですか」

 ベイケがまくしたてる。

 教師エンドラルドは、ゆっくりと目を大きく開き、軽く笑ったようにも見えた。そして、頭をかかえ、時間をかけて考えて、結局は次のように答えた。

「きみはそのような魔術のことをどこで知ったのかね。ここはそういう魔術の知識が失われた教会滅亡後世界だよ」

 エンドラルドはそう答えると、ゆっくりと講堂の中の四人の生徒を眺めて、深くため息をついた。

 エンドラルドからすれば、今回担任することになった四人の魔術師志望者は、教師が知ることのできる権限によれば、あまりにも驚愕的な生徒たちなのだ。こんな四人がそろってしまって、どうしろというのかとエンドラルドは頭を抱えざるをえなかった。

 救世主候補のミシア、選良ノアミー、出生資料が改竄されているウォブル、そして、魔術師ギルベキスタの存在を知っている独学研究者のベイケ君。

「おれがどこで魔術師ギルベキスタのことを知ったのかは教えることはできません。知らない方が先生も安全でしょう」

 ベイケがいう。

 エンドラルドは心臓の冷える笑いに捕らわれる。

 教師エンドラルドは、世界魔術師ギルベキスタのことを知っていた。しかし、エンドラルドがそれを知ったのは、六十歳を超えてからだ。十六歳で知っているベイケがどれだけ逸材であるか。

 ベイケは、自分で調べてたどりついたのだろう。それなら、そこにたどりつくまでの間にさらに大量の政府が禁止している知識に接触したはずだ。

 それはとてもやっかいな問題だ。

 そして、教師エルドラルドはゆっくり話始めた。

「きみは元気でよろしい。しかし、私は今年で八十歳になります。校長先生や教頭先生よりも歳をとっているこの学校の最年長の教師です。ただ、それだけのことですが、この世界のこの時代における価値観をたくさん経験してきたのです。魔術師の授業は、とてもややこしいものですから、さっきベイケ君が名前をあげた魔術師のことを教える予定はありません。ただし、これは生徒に教えても確かであるという内容については教えるつもりなので、期待してもしなくてもいいですけど、そういう授業になることはいっておきます」

 老齢のエンドラルドが説明を終わると、

「やはり、この学校はギルベキスタについても知ることができない学校か」

 とベイケは前にある椅子を蹴とばした。

「ギルベキスタって何なの」

 ミシアがそういったので、ベイケは他の三人の顔を見た。ギルベキスタのことを誰が知っていて、誰が知らないのかを確認したかった。

 少なくても、ミシアは知らないようだ。

 そして、教師エンドラルドはギルベキスタを知っているようである。そこはベイケは注意しておくべきだと考えた。

「後で教えるよ」

 ベイケはミシアに答えた。


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