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教会滅亡後世界  作者: 木島別弥
贋作遺物篇
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競売場

 ベイケのもとに見知らぬ来訪者がやって来た。商事会社グラッドの社長グラッドの使いだという。

 なぜ、グラッドがベイケを知っているのかわからなかった。話を聞くと、仕事の依頼であるらしい。来週、グラッドが競売で貴重品を落札する予定なので、その貴重品の運搬を護衛してほしいということだった。

「おれ一人で護衛するのかな」

 ベイケが突然の依頼に混乱していると、

「お仲間と一緒に四人で護衛していただけるとありがたい」

 と来訪者がいう。

 それなら、魔術師選択の三人を誘うことにするか、とベイケは考えた。報酬はそれなりに高額の金銭で、悪い話ではなかった。


 ベイケも他の三人も、競売場に行くのは初めてだったので、競売場に来ると物珍しそうにきょろきょろまわりを見ている。派手な衣装をした人たちがたくさん歩いている。

「競売って何を競売するんだ」

 警戒心を持った孤児ウォブルが質問する。

「それは、グラッドさんに聞かないとわからないな。まずはグラッドさんを探そう」

 ベイケは仕事の依頼を受けてしまい、どうしたらいいのか動揺している。

 競売場の中を数時間歩きまわって、仕事の依頼に来た来訪者に会うことができた。来訪者のすぐそばにグラッド本人もいた。

「なぜ、おれたちに仕事の依頼をしたのですか」

 ベイケがグラッドに聞くと、

「私は有望な若者を見るのが好きなんだよ。きみたちは有望な若者だろ」

 と四十代の大富豪グラッドが答えた。

「今から私が凄いものを落札するから見ていてくれ」

 グラッドがいう。

 いったい何がどうして、こんなことになったのか。ベイケたちは学校に休暇届を出して正式に仕事の依頼の用事のためにここに来ている。

 大人の仕事が務まるとベイケたちが認められたのだろうか。

 ベイケがあたふたしていると、グラッドが狙っている出品物の競売が始まった。

「10万」

「80万」

「100万」

 競りが行われ、出品物の値段が数分で十倍になる。

 あまりにも凄い大金が動く競売場を四人は複雑な思いで観察している。上品な会場を装っているが、どこにどんな怪しい罠が潜んでいるのかわからない。

 グラッドが落札しようと狙っているのは、『ギルベキスタの盾』だ。ギルベキスタが使っていたといわれる聖遺物である。これを所有するものは繁栄が約束されるという。

 グラッドはこの聖遺物を手に入れて、繁栄の恩恵にあずかりたいのだろうか。

 というか、まず、聖遺物の効果を信じているのだろうか。ベイケは聖遺物の効果に懐疑的だ。

 邪魔しては悪いだろうと思って、他の三人も競売を見ながら黙っている。誰が落札するのだろう。ここでグラッドが落札できなければ、護衛の仕事は発生しないのだ。その時は報酬はもらえるのだろうか。みんないろいろ考えてしまう。

「150万」

「200万」

 競りがつづく。

 どうやって支払うんだろう。ベイケには理解できない。

 出品物が本物の『ギルベキスタの盾』であることを証明する鑑定書がついている。本物の三千年以上前の遺物なのだろうか。

「1800万」

 グラッドが強く値段を言い放った。

 すごく豪勢な依頼主だな。どんな大富豪なんだ。四人はあぜんである。

 そのまま、『ギルベキスタの盾』を大冨豪グラッドが1800万で落札した。依頼人は依頼通りに護衛の品物を落札した。この『ギルベキスタの盾』をグラッドの屋敷まで盗まれることなく運ぶことができれば、仕事は成功であり、報酬をもらうことができる。

 しかし、少なくとも、この競売に関わっている人たちは、魔術師ギルベキスタの存在を知っているんだなとベイケは思った。世間のほとんどの人が魔術を知らないくらいだから、それよりは世界について理解の深い大人たちだということだろうか。

 大富豪グラッドは、競売場で落札したことを証明して、出品物を買い取る契約書を作成した。代金の支払いは後で銀行を仲介して行うらしい。ものすごい大金で購入したものだ。みんな驚いているだろう。

 大富豪グラッドは、競り落とした『ギルベキスタの盾』をすり替えられないように警戒して、すぐに受け取ることを要求して、そのように取引は行われた。ギルベキスタの聖遺物がひとつ、大富豪グラッドの所有物になったのだ。


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