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教会滅亡後世界  作者: 木島別弥
教会遺跡篇
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広報準備室

 居住区の奥には、広報準備室という部屋があった。不思議な部屋だ。さまざまな実験器具が置いてある。地球儀や天球儀がある。破れた世界地図がある。

 そして、腐敗した神官がいる。

「ここは人々に世界の構造を教える部屋かな」

 ベイケがいう。

「ここでは世界はどんな構造をしていると教えているんだ」

 ミシアが腐敗した神官に聞いた。

 腐敗した神官が動いて答えた。

「かつて、この部屋では世界は千年たったら滅びると教えていた。しかし、数百年たって、世界より先に教会が滅びた。我々は教会滅亡後まで生きのびた。そして、千年たったが世界は滅びなかった。次の千年で滅びるだろうというものがいたが、次の千年がたっても滅びなかった。今では教会滅亡後三千年だ。まだ世界は滅びない」

 それを聞いてベイケがくいついた。

「あなたはギルベキスタに会ったことがあるのか」

 確かに他の三人もそれは知りたいことだった。

「ある。少しだけ。恥ずかしい話だ。あまり聞かないでくれ」

 腐敗した神官が答えた。

「我々は何も知りませんでした。そうギルベキスタに伝えてくれ。謝罪しかない」

 腐敗した神官がいう。

 いったい教会が滅びる時に何があったのだろう。

 なぜ、この神官たちは腐敗していくのに死なないのだろう。ベイケが考えるには、それはこの神官たちの個人の魔力によってなのだが。なぜ、腐敗してでも生きつづけるのだろう。この腐敗した神官たちの意志は何を求めているのか。

 四人はそっとその部屋を出た。


「世界の始まりってどうだったのだろう」

「それはギルベキスタでも知らないだろうね」

「世界の終わりは」

「それもギルベキスタだって知らない」

「きみは世界がどう始まったと考えているんだ」

「魔力の始まりが世界の始まりだ」

「魔力はどのように始まったのか」

「わかっているのは、ギルベキスタ以前には世界を個人で掌握した魔術師は存在しなかったということだ」

「魔力は生き物は誰もが持っている。物質を動かしているのは生物の魔力だ」

「世界の始まりは、人類が誕生するよりもむかしの古代生物の魔力によって物質が動き始めたんだろうね」

 ミシアとベイケの対話だ。腐敗した神官は壁に背を付けて座りながら、「ああ、おれたちはそんなことをずっと考えていたんだ。おまえたちもか」と考えた。久しぶりに良い客が来た。腐敗した神官は二人の対話が聞けて感動した。その腐敗した体から涙が流れている。


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