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教会滅亡後世界  作者: 木島別弥
教会遺跡篇
13/56

礼拝堂の遺跡

 さらに教会遺跡の調査はつづく。

 大きな教会の礼拝堂があり、そこがこの教会の建物の中心的建造物だ。

 礼拝堂にはピアノがあり、腐敗した神官が弾いていた。哀しくも感動的なすがすがしい旋律を巧みに弾いている。教会遺跡で音楽が聴けるとは運がよかった。

 礼拝堂には、壊れたギルベキスタの銅像がある。

「この銅像、要注意だから。この銅像が三千年前に教会を滅ぼした魔術師ギルベキスタの顔を正確に伝えていると思うか」

 ベイケが三人に聞く。

「少年よ、難しいことは聞くな」

 ノアミーが突っぱねる。

「ギルベキスタは、この辺り一帯を支配していた魔術師だ。その権力はあまりにも強大だった。その権力を利用しようと悪企みをするやつらはたくさんいたはずだ。世界を掌握していた魔術師が自分の銅像を本物の自分の顔そっくりに作らせると思うか。おれは思わないんだ」

 ベイケが自説を述べる。

「ギルベキスタの銅像として伝わっている銅像がギルベキスタのものではないということ?」

「そうだ」

「世界の権力者はそこまで真実を捏造したりはしないと思う。でも、一人の権力者が物質の構成まですべて把握したなら、その時、その人に不利益な銅像の顔はすべて別の顔になると思う」

 ミシアがいう。

 うんうん、とベイケは賛同者を得て嬉しそうだ。

「いやあ、でも、そこまで来ると教会遺跡自体が残ってないじゃないか」

 ウォブルがいう。

「それは、とても不思議なことだ。この教会滅亡後世界に教会遺跡が残っているのは、いったいどういう理由からか本当に不思議だ」

 異端魔術に詳しいベイケは熱く語ってしまうが、それにウォブルが反論した。

「おれは、世界はもっと適当な理由で作られていればいいんだと思うけどね」

 難しい話になりそうだ。ベイケはこういう議論は大好きなので、じゃんじゃんやりたいが、他の三人はそこまでノリ気ではないようだ。


 深い話は、ノアミーよりミシアの方が真剣に興味を持ってくれる。ベイケはそう思った。

 ミシアは救世主になりたい女の子で、ノアミーは大洪水を生きのびて人祖になりたい女の子だ。ベイケがミシアの方に好意を持つのは、顔がミシアの方が好みだからという要素がどのくらいベイケの心理に影響しているのか知りたいな、とベイケはいまいち自分でもわからない心理分析を行った。

 大洪水が起きた時にノアミーがベイケを方舟に乗せなかったら、ウォブルを方舟に乗せるのだろうか。ベイケがノアミーではなく、ミシアを選ぶということは、ノアミーが大洪水を生きのびる相手がベイケではなく、ウォブルになるということで、そうなると、ノアミーとウォブルが大洪水後の人祖となるのだ。

 しかも、その大洪水はノアミーが起こすんだろ。わけわからない女だな、ノアミーは、とベイケは思った。


 礼拝堂にもさらにもうひとりの腐敗した神官がいた。ものすごく動きがゆっくりなので、今まで死んでいるのかと思っていた。

 腐敗した神官がゆっくり椅子から立ち上がり、今、四人に襲って来ようとしているのだ。

 ボンッとウォブルが腐敗した神官の腹を重力操作でねじまげた。

「お、ま、え、た、ち、は、知って、い、る、か。み、す、て、ら、れ、た、こ、の、せ、か、い、を」

 腐敗した神官がいう。

「ちょっと、神官が話かけてくるよ。だったら、話を聞いた方がいいんじゃない。遺跡調査ってそういうものなんじゃ」

 ミシアがいう。ベイケが遅れてそれに気付く。

 ウォブルが攻撃を抑えて、腐敗した神官の足に重みをかけるにとどまる。

「わ、れ、わ、れ、は、す、べ、て、を、う、ば、わ、れ、た」

「やはり、話かけているぞ、この腐敗した神官。何年前から腐敗しているんだ」

 ベイケがいう。

 バキバキバキバキッと雷撃を腐敗した神官が放った。

 バキバキバキバキッとノアミーが雷撃を雷撃で打ち消す。

「危ないなあ。どうする。殺されるわけにもいかないぞ」

 ベイケは行動を迷っている。腐敗した神官の話が聞きたい。もし、三千年前から生きているなら、どんな書物よりも貴重に教会滅亡前の歴史を伝えるものだ。

「ぎ、る、べ、き、す、た、は、い、ま、で、も、い、き、て、い、る」

 腐敗した神官はいう。

 そして、腐敗した神官が再び雷撃を放つ。バキバキバキバキッと。

 それをノアミーがまた雷撃で打ち消す。バキバキバキバキッと。

「ノアミー、それ、あと、どのくらい持つ」

「えええ、とっくに限界だ。やっつけてくれ」

 ベイケとノアミーの行動選択の相談だ。

 ベイケは考えた。ノアミーはおそらく、まだ、充分に雷撃を打ち消せる。だが、この腐敗した神官はベイケたちに雷撃を放ってくるということは、殺しにきているわけで、万が一にも隙を見せるわけにはいかない。となると、やはり、すぐに倒すしかない。

 もっと、この腐敗した神官の話を聞きたいのに。

 どっぺり。ベイケの毒魔術が腐敗した神官を襲う。そして、そのまま倒した。

「エンドラルド先生より弱かったかな」

 ベイケは余裕のことばを吐いた。


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