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教会滅亡後世界  作者: 木島別弥
教会遺跡篇
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腐敗した神官

 草原の草がいっせいに風で倒れるのを見るのが楽しい。

 ベイケは戦闘ですでに教師を超えた。それは教師エンドラルドに勝ったことから明らかだ。

 手加減はしていなかっただろう。ベイケの手応えはそんな感じだった。

 もうわざわざ学校に通うことはないんじゃないかとベイケは仲間に相談した。授業を抜け出して、教会遺跡の探索に行こう。教会遺跡の探索は魔術師がするべきことであるので、大怪我で倒れている教師エンドラルドもそんなに怒らないのではないか。


 町から離れた森の中に教会遺跡がある。そこへ行こうとベイケが誘ったら、三人とも賛同してくれた。

 教会遺跡に行く途中で、また戦闘熊が出てきたから、みんな、一撃で瞬殺した。

 ベイケは毒魔術で瞬殺。

 ミシアは杖の斬撃(物理魔術)で瞬殺。

 ノアミーは雷撃で瞬殺。

 ウォブルは重力操作で瞬殺。

 遺跡調査は、教会遺跡で魔術時代の痕跡を見つけることが目的である。

 もし、教会遺跡で魔術時代の痕跡が見つからなければ、ベイケが読んだ教会史が偽書だったのかもしれない。


 教会遺跡は、塀に囲まれている。塀の一部は壊れている。

 三角の形をした建築物で、その後ろに直方体の建物がつづいている。

「さあ、みんな、この教会遺跡で魔術の痕跡を探すんだ。かつて、この教会で教えられていた教えを探すんだ。この教会で魔術師ギルベキスタと直接交渉していた場所と道具を探すんだ」

 ベイケが三人を盛り立てる。

「えええ、やる気しない」

「ベイケが一人で探せ」

「というか、さっきの説明が難しすぎてよくわからなかったぞ」

 三人が反論する。

 この三人は、教会遺跡までついては来てくれたが、遺跡の調査を手伝うところまではやる気が起きないのか。

「とりあえず、すべての部屋を見てまわろう」

 ベイケが単調にみんなを促す。三人は、ベイケの後ろをついてきた。


 ベイケが入口を開け、教会遺跡に入る。

 教会遺跡は木造建築だ。窓もあり、ガラスもある。

 腐敗した神官がいるのが見えた。腐敗した神官は、青く重い腐敗した服を着て、威厳を感じられる面持ちでゆっくりと動いていた。生きている。この教会遺跡で三千年間腐敗しているのだろうか。腐敗した神官は何をしているのだろう。ベイケは不思議に思った。

 四人とも教会遺跡に来たのは初めてだったし、そこに腐敗した神官が生きているという話を聞いたことはなかった。なぜ、それを教えてくれないのか。教会遺跡で腐敗した神官が生きている事実は、魔術が実在することの根拠になるのではないか。そのことを知れば、戦士職を選択した人たちにも、魔術が実在するものであることはすぐに理解できるはずだ。なぜ、それを教えないのだろう。

 腐敗した神官が先頭を歩くベイケに襲いかかってきた。

 ベイケはその攻撃にびっくりした。

 腐敗した神官が魔術で火炎を作り飛ばしてくる。こんなものをくらったらただではすまない。

 ベイケは火炎を毒魔術で消化した。ベイケ独自の毒魔術の応用だ。

 腐敗した神官が二発目の火炎を飛ばそうとしてきたので、ベイケは、腐敗した神官より早く攻撃を先取りして毒魔術で攻撃して、腐敗した神官を倒した。

「おおお」

 後ろで三人が驚き讃える。

「きみは物知りなうえに強いなあ」

 ミシアがベイケにそういった。ベイケはいい気分だ。


「さっきの神官は火炎魔術をギルベキスタの魔力を利用して使っていた。だから、たぶん、この教会遺跡は、魔術師ギルベキスタの教会だ」

 ベイケがいった。

「教会っていったい何なの」

 ミシアが聞くので、ベイケが答えた。

「世界は最初、ギルベキスタがいなくても存在した。今から4000年前に魔術師ギルベキスタが生まれた。ギルベキスタは一代で世界級魔術師になり、この世界の動きのほとんどを掌握した。その偉大な魔術師ギルベキスタを讃えて、ギルベキスタについて教えていたのが教会だ」

「教会滅亡後というのは」

「それは3000年前のこと。魔術師ギルベキスタの身体はいつまでも若いままであり、1000年以上生きた。そして、教会が900年にわたり魔術師ギルベキスタを讃えて、彼について教えていたのに、魔術師ギルベキスタ自身が自分を讃える教会を滅ぼしてしまった。それがちょうど今から3000年前のことだ。その後の3000年間は、魔術師ギルベキスタについて知ることができない悲しい時代がつづいたんだな」

 それがベイケの知る教会史だ。


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