人間のオスが嫌いな獣人と獣人の女性を好きになった人間
私の名前は【ガリア】、犬科の獣人だ
獣人には、虎科.猫科.狐科.兎科と種類が豊富だが、
私は犬科の獣人だよ
獣人のオスは皮膚も顔も完全に獣よりになるが、
獣人のメスは別だ、メスは人族と変わら無い見た目だが、
耳と尻尾だけが生えている、そこだけは人とは違っていた
私は獣戦士のメスだ
獣戦士ってのは、簡単に言えば普通の戦士と変わらない
冒険者の私は、
色んな人とパーティーを組んだりして、
依頼をこなしていた
獣人のメスは人族にいやらしい目で見られる事もある、
普通の獣人なら知らない男とパーティーを組む事は無かったけど、私は平気だった
何故なら近づこうとするオスは、
殴り飛ばしてたからね。
➖
ある日の出来事だった
私は小さな村の魔物討伐の依頼を受けた
私は村で魔物の情報を聞き、
魔物がいると言われてる洞窟に来た。
「ココかぁー」
私は洞窟の中の臭いを嗅いだ、
確かに洞窟の中から魔物の臭いがする。
「よし!」と意気込み、
洞窟の中に入ろうとすると、私の尻尾を誰かが掴んだ
キャ!!と叫び、
直ぐに振り返りオスならぶん殴ってやろうと思った
振り返るとそこには、
小さな男の子がいた。
私は拳を下ろしどうしたのか聞いてみた
「どうしたの僕?、もしかして迷子?、
ココは危険だからお家に帰りな?」
「お姉ちゃんも危険だから帰った方がいい!!
アイツと戦っちゃ駄目だ!!」
男の子はそう言った、
困ったなぁ、と思い私は周りを見渡す
臭いが急速に近づいてくるのを感じ、
男の子を抱えて 後ろからの攻撃を避けた!
「コイツは?」
目の前にいた魔物はケルベロスと呼ばれる
とても危険な魔物だった
男の子を降ろし、
ケルベロスの攻撃を剣でガードした
「早く逃げて!!」私は叫んだ
このままじゃこの子は死んじゃう
ケルベロスの力はとても強く、
私の力でも防ぎきれなかった
私は吹き飛び、近くの木にぶつかった
まずい、私もこの子もコイツに...
そう思った時だった
「やめろーー」そう男の子が叫ぶと、
魔法陣が現れ 強力な爆発が起きた!!
ケルベロスに大きなダメージを与えた事を察知し
私は剣を取りトドメを刺した
ケルベロスは倒れた
この子供のおかげで私はケルベロスを倒したんだ
人間の血の匂いを感じ、男の子を見た、
男の子のほっぺたに血が流れていた、
私は近くの切り株に男の子を座らせて治療をした
男の子は感激していた
「凄いよお姉ちゃん!!カッコいいよ!!」
「じっとして、傷が治せないよ?」
「お姉ちゃんのおかげで僕助かったよ、
お姉ちゃん見たいな戦士になりたい」
「はいはい、それより傷残っちゃたね?」
「大丈夫!男の傷は勲章なんだ!」
そうっと私は言って
子供にキスをした
男の子の顔は赤くなり私に言った
「俺はリカルド、お姉ちゃんは?」
「私はガリアだよ」
男の子はモジモジしながら言う
「俺、ガリア姉ちゃんの事が好きだ!!」
「!!」
私はビックリして尻尾をピンと伸ばした
私の顔は熱くなり、気づいたら尻尾を揺らしていた
ダメだダメだ、人間のオスなんかに興味無いし、
ましてや相手は子供だよ?
こんなん私変態見たいじゃん!
大きくなったら考えてあげるっと私は言った、
約束だよ!っとリカルドは嬉しそうだった
その後
リカルドを村に連れて帰り
私はいつものように冒険をした
➖➖
アレから10年
私は32歳になっても冒険者を続けていた
とある依頼を受け
私は辺境の地まで足を伸ばした
依頼の内容は
賢人と呼ばれる人に薬草を届ける仕事だった
賢人てのは、この世界に7人いる不老不死の人で
神と契約したとても偉い方なんだって。
私は薬草を受け取りに
小さな村に付くと
何処からか嗅いだことのある懐かしい匂いを感じた
「もしかしてガリアか?」
振り返ると、そこには武闘家の格好をした
筋肉質で人族から見たらイケメンと呼ばれる男がいた
私は誰か分からなかったけど
もしかしてと思い言う
「リカルド?」
リカルドは「そう俺だよ」っと喜び
私を抱き抱えた
昔はアンナに小さかったのに
今じゃ私の背を超えてデカクなっていた
恥ずかしいから降ろしてっと言うと
リカルドは悪かったと言いながら私を降ろす
リカルドは教えてくれた、
俺も今は冒険者をしているんだ
良かったら俺とパーティーを組まないかっと
私の依頼を教えると
リカルドも一緒について来る事になった
夜になり
賢人がいる塔に向かっている途中の森の中
私達は火を起こし、
魔物の肉をリカルドと一緒に食べた
何気ない会話をしているそんな時だった
「リカルドって何歳なの?」
「俺か?21だけど」
「若いねー、私なんて32歳になっちゃたよ」
私がそう言うと
リカルドは真剣な顔でコチラを見ながら言う
「昔言ったこと覚えてるか?」
・・・、私は固まった
氷のよう硬くなった尻尾をさすりながリカルドに言う
「え、何の事かなぁ」
「大人になったら俺の気持ちに答えてくれるって
俺は今でもガリアの事が!!」
私は「お休み!!」と大声で叫び
耳を伏せ毛布にくるまった。
もちろん覚えていた、
だけど、
まさかリカルドが覚えていたなんて思わなかった
あの時はリカルドは子供だったし
冗談だと思っていたから
私は毛布にくるまりながら
怯えていた
もし
もし今、リカルドが人間のオスの様に襲って来たら、
私は抵抗せず許してしまうかも知れない
リカルドも人間のオスだ、
ない話じゃない
私の尻尾はブルブルと震え
耳まで震えていた
でも
何処かで期待していた
恥ずかしい私がいた
翌朝
リカルドは私を襲わなかった
私は一睡もする事なく
リカルドが眠ってる隙に
その場から逃げるよう離れた
この人といると私は変になってしまうから
➖➖➖
ガリアは怯えていた
怯えながら布団にくるまり、尻尾は小刻みに揺れていた
俺がガリアを不安にさせたのかも知れない
獣人の女は
人間に捕らえられ家畜のよう売られたり
見世物にもされたりする
俺は人間の男、ガリアは獣人の女
警戒するのも当然だ
俺は軽はずみに
自分の思いを伝えた事を後悔した
怯えるガリアを見て
「ごめんなガリア」、そう言って眠った
翌朝
ガリアの姿は何処にも無かった
俺のせいだ
俺が悪いんだ
謝るしかない、そう思い
俺はガリアが行っているであろう
賢人の塔に向かった
その道中
小さな村が見えて来たので
犬科の獣人の女を見なかったかと聞き回った
酒場にいた店主が言った
「その女性なら見ましたよ、
ですが酷く疲れてたみたいで町中で倒れてましたよ?」
その女は何処だ!!っと俺は声を荒げる
店主が言うには
男達に馬車に積まれて運ばれたと言った
俺の顔は青白くなっていた
椅子に座った女と騎士の身なりの2人がいた
その女が俺に言ってきた
「ここら辺には山賊がいると聞くよ
私達はその山賊を倒す依頼を受けたんだ」
俺は山賊の事を知っているなら教えて欲しいと言った
女の名前はフレア、騎士の名前はノアと名乗った
2人は俺に教えてくれた
山賊のアジトと思われる場所は
近くの山の洞穴だと思われる
そこを奴らは寝床にしているのであろうと
俺は2人に礼をいい
直ぐにその場所に向かった
洞穴の前には
馬車が止められていた
間違いない、この中にガリアがいる!
俺は洞窟の中に入ると
直ぐに剣を持った山賊どもが出てきやがった
「おい見ろよ?コイツ武器も持たずに
俺達のアジトに侵入して来たぞ?」
「構うもんか、やっちまえ!!」
山賊の剣を俺は拳に魔力を溜めつかんだ
山賊は驚いていた、
剣を端折り、山賊を殴り飛ばした
山賊達は驚いたが
直ぐに仲間を呼び一斉に襲いかかってきた
倒しても倒しても数が減らない山賊
俺の体力も底が尽きそうになった時だった
何処からか火の魔法が飛んできて俺に言った
「コイツらの相手は私達がするよ
だから君は彼女の元に!!」
そう言って来たのは
さっきのフレアって女と騎士のノアだった。
俺は2人に礼をまた言って 洞穴の奥に進んだ
最悪の光景を見て
俺は絶望した
目の前に両足を斬られたガリアの姿があった
近くに立っていた黒いローブの男は言う
「言う事を聞かないのならお前は必要ない。
ん?誰だお前わ?」
「テメーーー」俺は全ての魔力を量拳に集めた
俺が走ると、
ローブの男は強力な魔法を俺に撃ってきた、
飛んできた魔法を俺は拳で吹き飛ばす
「なんだと!?」そう男が言い放つ
男を殴り飛ばし俺はガリアの元に向かった
薄らと目を開け
ガリアは霞むような声で俺に言う
「ごめんね、迷惑かけて」
「もういい喋るな!!」
「私ね、本当は人間のオスが嫌いで、
でも君は違ったんだよ、君は優しくてカッコよくて..」
ガリアの目は白くなり
心臓の音が止まった
俺は叫んだ
洞穴に響くぐらい大きな声で
何かを思い出し、叫ぶのをやめた
賢人様ならもしかすると
俺はガリアを抱き抱え
賢人がいる塔に向かった
塔の頂上には
無表情の眼鏡をかけた男がいた
そう
この男こそ賢人ディークだった
俺はディークに頼んだ
何でもする!だからこの女性を助けて欲しい!!と
ディークはガリアの足を見て言う
「蘇生はできるが足は元に戻らんぞ?」
「頼む!!」
「それと蘇生には大量の魔力が必要だ、
見たところによれば
お前にはとんでもない魔力を感じる、
それを代価にして彼女を蘇生する事はできるだろう」
「魔力でも何でもくれてやる」
「もう2度と魔法を使う事ができなくなるぞ?」
俺はそんな事を顧みず言っていた
彼女が蘇るなら大した事じゃない、と
➖➖➖➖
白い
何も見えない 白い場所にいる
ココは何処なんだろ?
何だか心地いい匂いがする
呼ばれてる、起きなきゃ
私が目を覚ますと
顔をぐしゃぐしゃに汚したリカルドの姿があった
「男前が台無しだよ」
私がそう言うとリカルドは抱きしめてくれた
私は幸せだった
だって
2度も私の命を救ってくれた
私の勇者様だったから
私とリカルドは結婚し
遠くの海岸沿いの家に暮らした
私のお腹には
新たな命が芽生えていた
おわり