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アン・ファミーユ(家族とともに)第2部  作者: 湖灯


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【妹、ナトー・エリザベス・ブラッドショーの秘密①(Sister, Natow Elizabeth Bradshaw's Secret)】

「はいコレ」

「なんですか、これは?」

「コロコロに決まっているでしょう」

 サラが持ってきたのは、粘着テープで小さなゴミを吸着して取る粘着クリーナー、リントローラー(lint roller)通称コロコロ。

「これで、何をするんですか?」

「このマニュアルによると洗濯する前に衣服にコロコロを掛けて予め剥がれやすいゴミを除去することによって洗濯乾燥機のフィルターの目詰まりが軽減され、そのぶん早く乾燥するから電気代の節約になるそうよ」

「電気代かぁ……そう言やぁ最近高いからなぁ」

「あと追記として、コロコロを掛ける事で、ポケットの中のスマホやボールペンなどの有無も同時に確認できる。と有るわ」

「なるほど、そういうことか」

「さあ、一気に片付けるわよ!」

「OK!ボス」

 2人で全ての衣服にコロコロを掛け、それを洗濯乾燥機に放り込み、出来上がった順にアイロンをかけたところで一旦休憩。

 スシ・ショップでデリバリーを頼み、日本とは一風変わった寿司ではないsushiを食べてからアイロンがけの終わった物にタグをつけてナイロンに包んだあと、コロコロの使用済みテープとフィルターに付着したゴミを袋に詰めた。

 それからクリーニング済みの製品を、元々の行先だったクリーニング店に届けて終了。

「このゴミは、どうするんです?」

「勝手に捨てて帰るわけにはいかないでしょうから、持ち帰るのよ」

「まさか、カリーニングラードまで??」

「当たり前でしょう!」

 私はゴミ袋をカールに持たせて、一緒にプライベートジェットに乗り込みカリーニングラードまで帰った。

 カリーニングラードの事務所に戻り、カールに溜まっている報告書を今日中に書き上げておくように言い残して、私は一足早くクラウディを連れてマンションに戻ることにした。

「あれっ、そのゴミは捨てないんですか?」

 車にゴミ袋を持ち込もうとしたときに、クラウディが私に言った。

「これはゴミではないの」

「えっ!?」

 不思議そうに袋の中身を見るクラウディに、「これはお宝よ」と告げた。

 マンションに戻ると、そのお宝の詰まった袋を開けて作業を開始した。

 もちろん一緒に早退したクラウディにも手伝ってもらう。

「いい、このコロコロのテープとフィルターの中から銀髪だけを集めて頂戴」

「銀髪って、白髪の事ですか?」

 白髪と言われて、ほんの少し癪に障ったが、そうだと答えた。

 もしかしたら妹の物かも知れないモノを、白髪とは言われたくはなかったから。

「髪だけですか?それとも縮れているものも含みますか?」

「全部よ!」

 分別作業は深夜まで続き、やっと数本の銀髪の採取に成功したが、何故か縮れているモノは1本もなかった。

 “もしかして私の妹は、えていないの??”


 次の日は民間の研究所に赴き、採取した銀髪のDNA鑑定を依頼した。

 結果は1週間後に分かる。

 昼に出社すると眠そうな顔をしたカールが報告書の束を持って来て、ゴミは捨てたのか?と聞いて来たので「今朝捨てた」と答えると「律義なもんですね、まるで日本人みたいだ」と言った。

 日本と言われて、メェナードさんと最後に行った日本旅行を思い出す。

 また一緒に日本に行きたい。

 でも何故メェナードさんは、最後の旅行先に日本を選んだのだろう?


 そして丁度1週間後に銀髪のDNA鑑定結果がデーターで送られてきた。

 結果は予め調べておいた私の物と同じ親からの遺伝子データーが混じったものだった。

 つまりN・E・Bの正体は、私の妹。

 ナトー・エリザベス・ブラッドショーと言うことになる。

 ナトーは、やはり生きていた!

 胸が熱くなるほどの喜びが込み上げる。

 ナトーは、やはり生きていたのだ‼

 私は、独りぼっちではなかった。

 チャンとナトーと言う妹が、そう!家族が居てくれた‼

 喜びがまるで満ち潮のように心を満たしたあと、徐々にそれが引き潮に変って行くのを感じた。

 ナトーはパリをテロから守るためにPOCの元幹部だったジュジェイを殺し、コンゴではDGSEのエージェントを使って私の親友を殺害させた……。

 そしてメェナードさんは、ナトーの存在を知っていながら、私にずっと隠していた。

 “何故?”

 そして何故ナトーはイラクを出て、このパリに……いや、外人部隊に居る?

 模擬市街戦のプログラム構成も知らないナトーが、何故初体験でインポッシブルクラスをクリアすることが出来たの?

 ナトーを育てたハイファとは一体なの者だったの?


 ナトーの育ての母親の事は、まだPOCの研究生だった頃に知っていたが、あくまでもナトーが普通の子供だと思い込んでいて深くは調べていなかった。

 しかしナトーは普通の子供ではなかった。

 まだ二十歳にもなっていないのに、既に外人部隊の1等軍曹。

 しかもリビアではDGSEのスペシャルエージェントと協力して、ザリバンの現地司令官であるバラクを殺害してザリバンのリビア進出を阻止している。


 ナトーが自分の妹だと分かったが、彼女には謎が多すぎる。

「クラウディ! 直ぐにイラクに飛んで、この女の生い立ちを調べて頂戴!」

 私はクラウディをイラクに向かわせることにした。

 メェナードさんはイラクで働いていて、私のためにナトーを探しているうちに私に隠さなくてはならないナトーの事実を知ったに違いない。

 イラクに行けば、必ず何かが掴めるはず。

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― 新着の感想 ―
[一言]  なるほどですう。  目的はDNAだったんですね。  とうとうナトーちゃんに辿り着いてしまいました。  とても喜んでいるサラちゃん。  でも頭が良すぎるから、新たな疑問が。  ドキドキしま…
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