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【バラク小隊③(Barack Platoon)】

「ひゃ~なんともまあ鮮やかなもんだな。俺たち相手だから強いのかと思っていたけど、訓練されたアメリカ兵相手でもまるで赤子の手をひねるように。いや、たいしたもんだぜ。しかし、どうして最初から襲わなかったんだ?」

「整列させるためだ」

「整列!? そりゃあ、いったいどういう事なんだ?」

「さあな。分からないなら、隊長に聞いてみるといい。さあ、装備を頂くぞ」

 ワザと答えを言わずに、倒したアメリカ兵の服を脱がして、持って来た縄で縛っていた。

 奴らの装備を剥がしながら、階級章をチェックしておいた。

「隊長、いったいどういう事なんです?」

「さあ。本人ではないから本当の意図は分からないが、万が一にも相手に武器を使わせないため。じゃあないのか」

「使わせないため?」

「壁沿いに向き合う形になれば、撃ち殺したい奴が仲間の前に立っていても、銃弾は突き抜けて仲間に当たってしまうから簡単には撃てないだろう?」

「なるほど、考えたものだな」

 イワンが納得する。

 渡した装備は後から合流してきた3人に装着させて、私たち3人は偽のアメリカ兵に倒したアメリカ兵の御守りをさせて先に進む。

 ニカーブを着たまま、似たような手口で次々にアメリカ兵を倒して行く。

 彼らはだいたいが2~3人の小編成で待ち伏せていたから、こうして格闘戦で一瞬に倒せばなんの問題もない。

 彼らの作戦に最も重要なことは、銃声。

 銃声の出所に集結さえすれば、効率よく我々を片付けることが出来る。

 日本の古いコトワザに“If the pheasant does not cry, it will not be shot(キジも鳴かずば撃たれまい)”と言うものがある。

 つまり我々は鳴かないので、彼らの罠にかかることは無い。

 これで23人のアメリカ兵を倒し、同じ数の偽アメリカ兵がカルサイ達のアジトの外周を囲んでいる。

 次は円の内側に居る、カルサイのアジトを見張っている分隊を叩かなければ。

 残るアメリカ兵は7人。

 他の者に預けた無線機のようなものは、アメリカ軍が使用する携帯型軍用トランシーバーの通信を妨害する装置。

 もし通じたとしても、仲間には返信ボタンを押して口で「ザー」っと雑音風の音を立てて時間を稼いでおけと指示しているから当分持つだろう。

 問題なのは、アメリカ軍がこのような状態をいつまでも放置しないと言う事。

 妨害電波の発信源は特定され、必ず対応される。

 奴らがそれに気付いて対処する前にカルサイ達を助け出さねばならない。

 私はとりあえずファルージャに居る即応部隊、SEALsシールズのブラックバーン少佐に携帯電話でCIAのコードNoとバラクの確保を伝え、迎えに来るように依頼した。


「一体どうしたんだ!? どのチームも応答しないじゃないか!」

「妨害電波です」

「妨害電波? ならバンドを変更して呼び出せ!」

「ローバンドに変更してみましたが、こちらも駄目です」

「糞ったれ! 奴らの中に海兵隊に詳しい奴が居やがる……上空のブラックホークにチームの安否を確認させろ。まあ銃声が聞こえないから心配ないとは思うが、それから本部に電波妨害機の特定と削除を依頼」

「了解しました」


 カルサイが逃げ込んだアジトに最も近い位置に居るのは、この作戦を指揮している小隊本部。

 ここには無線機があるのでトランシーバーのように簡単には通信妨害は出来ない。


「中尉、ブラックホークから通信。チームは、そのままの位置で待機しているそうです」

「だろうな。で、本部は?」

「タカダム空軍基地よりEH-60A(UH-60を電子戦用に改造したタイプ)とSEALsシールズ5名を乗せたブラックホークの2機が、これから飛び立つそうです」

「何分かかる?」

「20分以内には到着するとのことです。それからSEALsのブラックバーン少佐から、ハンヴィーとトラックで捕虜を迎えに来るとのことでした」

「捕虜を迎えに来る? ……まだ、カルサイを捉えたわけではないが。よし、分かった」


 はるか上空で、高みの見物をしていたUH-60が急に旋回しながら高度を下げてきた。

「お、おいっ、バレちまったのか!?」

「安心しろ、まだバレてはいない。そうだろうBM」

 パイロットの顔まで見えそうな低い高度に慌てるイワンをバラクがなだめる。

「ええ、おそらくトランシーバーが使えないので、外周に配置した仲間の状況を確認する目的で低空飛行を始めたのだと思います。ですから何も慌てる必要はありませんが、仲間にはゴーグルをしてヘリが近づいてきたら軽く手を挙げて挨拶くらいはするように伝えておいてください」

「でもヘリが近づいたら、顔までは分かんねえかも知れねえが、体型とかでバレちまうんじゃねえのか?」

「海兵隊の歩兵はラマディ―キャンプ、UH-60はファルージャの傍に有るタカダム空軍基地、余程個人的に接点がない限り確認するのは服装と装備くらいなものだから大丈夫だろう」

 万が一知り合いが居たとしても誰がどこに居るなんてことはお互いに知るはずもないし、低空飛行をしているヘリのクルーは何時どこからRPG(対物ロケット弾)が飛んでくるか分からないからノンビリ確認している余裕はないはず。

 こっちがヘマをしない限り怪しまれることは無い。

 問題はこの後に来るもの。

 トランシーバーが使えなくなり仲間の安否をヘリに確認させていると言うことは、既に次の行動に移ったと言う事。

 妨害電波の事は察知したはずだから、場所を特定するために電子戦用のEH-60の手配はしているはず。

 そうなれば、追加の支援部隊も出動して来るだろう。

 SEALsやデルタコマンドは即応部隊として常時タカダム空軍基地に待機しているはずだから、ヘリが飛び立てばここまで約20分で到着するはず。

 こいつ等が到着する前に撤収しなければ、形勢は逆転してしまう。

 腕時計のタイマーを15分にセットして、急いでアメリカ軍の小隊本部へと向かった。

夏バテが酷い・・・

お仕事は毎日クーラーに当たっているような、暑さとはほぼ無縁の仕事で、お盆休みはコロナが怖くてずっと家に居たのに何故??

最近はトマトやキュウリを毎日食べているのに、やはりスイカを食べなくては駄目なのかな・・・

でもスイカを食べると、お手洗いが近くなるんだよね(;^_^A


皆さまも夏バテには気を付けてくださいね♡

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― 新着の感想 ―
[一言]  メェナードさんの作戦、上手く行くといいですね。  隙の無い描写が緊迫感を際立たせて、次は何をするのだろうと、期待していまいます。  めちゃくちゃ面白くなって来ました。゜+.゜(´▽`人)゜…
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