表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/100

【バラク小隊②(Barack Platoon)】

「私が行きましょう」

「BM! いけねえ、死んじまうぜ」

 イワンが止めようとする。

「一人ではいかない、みんなで行く」

「で、でも、みんなで行ったんじゃ敵の思うつぼだって言ったじゃないか」

「確かにそうですね。しかし、敵が時間をかけてくれるのであれば話は別です」

「別とは?」

 今度はバラクが身を乗り出して聞く。

「敵が時間の猶予を与えてくれるのであれば、私達もその時間を有効に使わせていただきましょう。幸い、ここはアパートですから、時間を空けて少しずつ人を出せば怪しまれることはない」

「確かに! アパートだから、一斉に出なけりゃ問題ないってことだな。そして、どこかで落ち合う! アンタ最高!」

 イワンがポンと手を打って喜ぶが、バラクは心配そうに聞いてきた。

「しかし、武器はどうする? 武器を持ちだせば、必ずどこかの検問で誰かが引っかかる。1人でも捕まれば、たとえ白状しなくとも、反撃の手が伸びていることは敵に察知され警戒は一段と厳しくなるだろう。そうなればバラバラに行動している我々は、集合する前に個別に敵の仕掛けた網に掛かってしまうのではないか?」

「武器を持ち出す必要はありません」

「ちょ、ちょっと待てよ。丸腰で、どう戦うつもりなんだ!?」

「丸腰ではありませんよ」

「はあ??」

「まあ、付いて来て下さい。……おっと、私達の部屋にある箱を持って行きましょう」

「箱って、お前が作っていた得体のしれない通信機か」

「そうです」

 アパートに居た仲間を集めて作戦の打ち合わせをして、先ずは私が目的地に向けて出発した。

 通信機は他の者に預け、近くの高いビルの屋上に設置してスイッチを入れるようにしてもらった。

 ニカーブを被り、顔を隠している私の姿は人の目を引く。

 しかも服はアバヤと呼ばれる同じ黒色のロングドレス。

 ここが厳格なイスラム原理主義のイランであれば左程目立たないかもしれないが、イラクでしかも男性となれば目立ちすぎる。

 ガヤガヤと人が行き交う大通りを避けて、人通りのない裏通りを進む。

 アメリカ兵の姿は見えないし、気配もない。

「おい、どこへ行くつもりだ。チョッと止まれ!」

 ヒッソリとした建物の陰から、3人のアメリカ兵が出てきて通行を妨げる。

 手を挙げて驚いたポーズを取ると銃を向けられ、もう一人の奴が服の中に武器を隠し持っていないかチェックする。

 チェックされても、当然武器は持ってきていないから見つからない。

 次に壁の方に向けられて両手を腰の後ろにホールドされそうになる。

 両手を後ろから掴まれる。

 悲鳴を上げると、アメリカ軍兵士たちが「ニカーブなんか着て俺たちを驚かせやがって」「悲鳴を上げて、コイツおカマじゃねえのか」と揶揄ってくる。

 ナカナカ上出来。

 シナリオ通り。

 後ろ手に取られた右手を、脇を閉めて肘を軸に思いっきり前方向に、まるで軽く手を上げるように曲げてから空手チョップをするように降りぬくと簡単に右手の拘束が解けた。

 そのまま左回りに体を回転させ、半身になる前に掴まれた左手をこちらからも掴み返して、自らの回転運動を軸にして相手を壁に叩きつける。

 壁に打ち付けた奴の背中に自分の背中を合わせて、回し蹴りで小銃を構えていた奴の銃を叩き落として、そのまま後ろ回し蹴りを首に打ち込むと奴は木こりに切り倒された木のように背筋を伸ばしたまま倒れた。

 3人目の奴が銃を構えようとするが、後ろ回し蹴りで高く上げた足を強く振り下ろし、相手の利き腕ごと銃を蹴落とす。

 素早く奴の後ろに回り込み、腕を首に巻き付けた。

「何人いる?」

 緩く締め上げながら、相手に聞く。

「い、言うものか……」

「ほう、ナカナカ素晴らしい。しかし言わないと仲間が死にますよ」

 締め上げられた奴が太もものホルスターから抜いたSIG SAUER P320M17(拳銃)を、その手を包み込むように握り、倒れて伸びている仲間に向ける。

「よ、止せ!」

 当然握った手を解こうとする力より、握る力の方が強い。

 トリガーから離そうとする指を、上から少しずつ押す。

「や、止めろ‼」

「人数を教えたところで、仲間たちは死なない。だが教えなければ仲間だけでなくお前も死ぬ。そして仲間を殺した犯人に仕立てることも出来るんだぞ」

「ひ、卑怯者め……」

「卑怯かどうかは、死んだ者では判断できない。言わなければ皆殺し、言えば全員助けてやる、さあ、どうする?」

「な、仲間を助けると言う保証は……?」

「アラーに誓って」

「……1個小隊だ」

「安く見られたものですね」

 首に巻いていた腕に力を入れる。

 拘束されたアメリカ兵の腕がダラリと下が。

「いいぞ!」

 仲間を呼ぶと、バラクとイワンが現れた。

空を眺めるのが好きです。

もちろん夜空も。

だいぶ前に、生まれて初めて“火球”を見ました。

オレンジ色に光る火球は私の少し目の前にある空を、時々破片を散らしながら飛んで行き、そして消えました。

最初は、訳が分からないで、玩具のコーナーで売っている“打ち上げ花火”かと思っていましたが、それにしては高度がもう少し高いような気がしてネットで調べてみたら“火球”と言う言葉が出てきて。

そこから『火球ネットワーク』というサイトを見たところ、同じ時刻に近畿から中京地域に掛けて同じ火球を見たという情報が幾つも書かれてあり、私もやっと火球を見たことを知りました。

火球はナカナカ見ることは出来ませんが、最近は人工衛星が多くなったせいか、日の出前1時間から、日の入り後1時間後まで前後で人工衛星がよく見ることが出来ます。

人工衛星を発見するコツは、なるべく街灯などの明るいものを見ないようにして暗さに目を鳴らすことと、なるべく天頂を広範囲に見ることです。

天頂から逸れれば逸れるほど、人工衛星が反射する光度は暗くなりますので見つけにくくなります。

夏の夜は、くれぐれも蚊などによる虫刺され対策をしておきましょうね。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  私、「鐘楼の白い鳩が飛ぶ時」を読ませて戴いてたので、なんとなあく、メェナードさんの作戦が解ったような気がしました。  楽しみです❗ヾ(≧∀≦*)ノ〃  ジャンジャン、面白い発想で書かれて行…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ