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アン・ファミーユ(家族とともに)第2部  作者: 湖灯


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【イランで暴漢に襲われる②(Attacked by thugs in Iran)】

 多人数の敵と戦う方法のひとつが、囲まれないこと。

 すでに囲まれているが、車を背にしているから大丈夫と言った考えは危険だ。

 何しろ車を乗り越えて後ろから攻められれば、相手が格下の人間でも相当なダメージを食らうことになる。

 では車に上って敵と戦うか?

 これも違う。

 四方から敵に囲まれた状態で、いつ足をすくわれるか分からない。

 足をすくわれて倒されれば、もうお終い。

 では車を離れて、広いところで戦うか?

 いや、まだ敵の実力を知らない以上、自ら敵の前に全周をさらけ出すのは危険この上もない。

 では、どうする?

 僕なら……逃げる!

 もっとも手薄と思われる小柄な男と背の高い男が並んでいる方向に駆け出し、背の高い男が身を挺して行く先を止めに掛かってきたタイミングで僅かに彼を避け、代わりに渾身のラリアットをかけて倒して通り抜けた。

 後ろを振り返ると残りの6人が追ってくるのが見えたが、車越しに僕を取り囲んでいた円の状態から1本の線に変わったため、その線を繋ぐ1人1人の点は大きくばらつくこととなっていた。

 予想通り小柄の男は足が速く他の仲間から突出して、今にも僕に追いつきそうな勢い。

 だけど僕よりは遅い。

 追いつかれているのは、相手を誘う為にワザとスピードを調整しているから。

 いまにもタックルされれば転んでしまうというタイミングと、狭い通りを曲がるタイミングを上手く合わせて、曲がった途端に2本の腕を組んで1本にして体を回転させる。

 そして小柄な男が角を曲がった時に、1本にした腕の先端を相手の腹部に打ち込むと相手は“うっ”と一言漏らしたあと、僕の腕を中心にして派手に前転して倒れた。

 相手の状態を一瞬確認してまた走り出したときに変なことに気が付いた。

 それは胸のポケットに何か紙を入れていること。

 そういえば背の高い男の胸のポケットにも何かカードのようなものが挿してあったような気がしたが、いまは確認している場合ではない。

 2人倒したとはいえ、まだ5人残っているし、まごまごしていると新手が登場するかも知れない。

 とにかく今は敵同士の距離を開けさせて、1人1人を速やかに且つ確実に倒さなければならない。

 次の角を曲がったところで、さっきと同じ方法で1人倒し、そのまま進むと追ってくる敵が2人になっていた。

 “残りの2人は諦めたのか?”

 いや違う。

 地理に詳しい彼らは2手に分かれたに違いない。

 逃げる僕を挟み撃ちにする作戦なのだが、この状況は逆に有難い。

 僕は逃げるのを止めて、追ってくる2人に向かって行った。

 挟み撃ちにして4人で攻撃するつもりでいた2人が、僕の行動に一瞬面食らった表情をした。

 これでこの対戦は僕の勝ち。

 戦いの最中で一瞬でも戦いから背を向けてしまえば勝ち目はない。

 これは、どんな相手でも同じ。

 相手が迷いから回復する前に攻撃を仕掛けるため、またその迷いを長引かせるために全力で相手との距離を詰める。

 さっきまでの逃げていたスピードよりも速いスピードで近づいて来る僕の姿に、彼らの迷いは更に大きくなる。

 僕はその隙に乗じるように、一切スピードを緩めることなく手前の男の腹部をめがけて頭から突っ込んでいくと見せかけて最後は前方宙返りをして背中から相手に突撃してなぎ倒した。

 頭から突っ込まなかったのはフェイントのためと、万が一相手がボクシングの心得があった場合にアッパーカットを食らう可能性があったから。

 それにダメージを受けたくなかったことも大きい。

 全力疾走のまま突っ込んだので、相手と相手が何もしなくても、当たる頭部や肩の一部分には相当な力が掛かる。

 アドレナリンが出ている今の状態なら何ともないだろうが、あとになって痛むのは困る。

 なにしろ明日が平穏な日になるのかさえ分からないのだから。

 それに比べて背中は固くて頭や肩に比べて当たる面積も広くとれるので、かかる力を分散させることが出来るし、僕は100mを11秒で足ることが出来るので時速33キロの速さで投げられた95㎏(僕の体重)を正面から受け止めることになるのだから相手はほぼ交通事故に会ったに等しいダメージを食らうことになる。

 案の定相手は大きく倒れ、僕はそのクッションの上で回転して起き上がると、振り向こうとするもう一人の顔が僕と正対するよりも早くその高い鼻柱に回し蹴りを当てて吹っ飛ばした。

 時間にはまだ少し余裕が有ったので、僕を受け止めてくれた男の状態確認をする。

 一応転倒する際に激しく後頭部を地面に打ち付けないように、首に手をまわして起こしておいたので間違いはないだろうが、万一しくじっていた場合は直ぐに病院に運ばなければ取り返しのつかないことになってしまう。

 脳震盪の怖いところは打った時のダメージではなく打った後のダメージで、その時何ともなかったと思っていても脳内出血が起こっている場合もある。

 一応後頭部の打撲がないことを確認してから胸のポケットを見ると、やはりカードが入れてあった。

 カードに書かれていたのは1文字だけ、アルファベッドの“I”。

 もう1人の男のポケットにも同じようなカードが入っていて、こちらの文字は“A”だった。


 先に進んで後の2人を倒したとき、手加減して倒した男からカードの意味を聞いたが彼は何も知らなくて、ただ依頼主に全員胸のポケットにカードを入れておくように言われただけだと言っていた。

 謎めいた事を仕掛けてくるだけあって、依頼主の素性や特徴なども彼は知らなかった。

 ただ、依頼主はどこからか見張っているらしく、逐一携帯で僕の居場所を教えて来たそうだ。

 倒した7人全てのカードを持って車に戻った。

 また誰かに狙われるとも限らないので、一旦街を出てからカードを確認した。

 集まったカードの文字は、J、Z、N、J、RとAが2枚。

 いったいこのカードに記載された文字に、なんの意味があるんだ……。

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― 新着の感想 ―
[一言]  久々メェナードさんのアクションシーンですね❗  o(>∀<*)o  アクション映画をよく観察しているのですか❔  読み処たっぷりで堪能させて戴きました。  メェナードさん、カッコいい❗❗゜…
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