表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アン・ファミーユ(家族とともに)第2部  作者: 湖灯


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/100

【ナトーのフランス外人部隊入り③((Natow enlists in the French Foreign Legion)】

 サオリからナトーがフランス外人部隊に入ろうとしていると連絡をもらって2ヶ月後。

 リビアの件が忙しくて、すっかりナトーの事を気にしていなかった。

 忘れていたわけではない。

 全て手を打っていたつもりだったので、自分の思った通りになると高をくくっていた。

 ナトーはフランス外人部隊には入れない。

 そうなると、また柏木サオリから連絡が入るだろう。

 すべては、その連絡待ち。

 その日ナトーのフランス外人部隊への入隊を阻止させるように依頼していた者からの連絡を受け取った時も、無事入隊を阻むことが出来てPOCの研修所入りに向けて動いているという朗報だとばかり思っていた。

 だが結果は違った。

 なんと、ナトーは思いつく限りの難関を駆使した実技試験をパスした上に、1週間にわたる幹部級の試験問題全てに於いてパーフェクトな結果を出したという。

 特筆すべきは、サラが開発した模擬市街戦のコースでインポッシブルクラスに挑戦させられたにもかかわらず、これをクリアしてしまった事。

 これまでにインポッシブルクラスをクリアしたのは、サラと外人部隊のハンス中尉しかいない。

 サラは開発者だし、力はないものの反射神経はずば抜けているから初挑戦でクリアした。

 ハンス中尉と言うのは、サラの恋人だったローランドの弟で、もとはドイツ連邦軍の特殊部隊であるKSKに所属していた。

 兄のローランドと同じように、狙撃の名手と言われた彼でさえ、このインポッシブルクラスをクリアするまでには10回以上のチャレンジを擁している。

 それをナトーは何の予備知識もないうえに、たった1回でクリアしてみせた。

 “やはりナトーは、グリムリーパーなのか?”

 “いや、サラの妹であれば、当然の結果?”

 2つの異なる考えが交錯する。

 しかし何故試験を受けることが出来た?

 予定では“門前払い”のはずだったのに。

 “柏木サオリ”

 ナトーが復讐のためにフランス外人部隊を目指しているのを知っていたのは彼女の他には私しかいないはず。

 彼女がSISCONシスコンのツテを使って、こうなる様に手を回したのは明白だ。

 これは単なる推測ではない。

 実技試験はナトー自身の運動能力と、ザリバンの少年兵だった頃の経験がモノを言うが、筆記試験は違う。

 通常の外人部隊入隊時における筆記試験は、中学生程度の学力が備わっていれば誰でも合格する簡単なもの。

 ところがナトーの入隊試験に於いて、最終的に投入されたものは幹部への昇進試験問題。

 これを一般人が合格することは無い。

 なぜならこの問題を解くことが出来るものは、既に部隊に配属されて専門的な知識を身に着けたうえで上級幹部教育課程の研修を修了した者だけなのだから。

 柏木サオリは赤十字難民キャンプ時代、勉強と称してナトーにこのような専門知識も教えていたに違いない。

 普通の子供ならワケの分からない問題に戸惑うだろうし嫌がるかも知れないが、学校に通った経験が無いナトーには、それが分からない。

 しかもサラと同様に優秀な頭脳を持っているから、修得力は常人には計り知れないほどだろう。

 つまり柏木サオリは、将来こうなることを見越していた。

 ……いや、ひょっとすると、将来こうなる様に育てていたのかも知れない。

 それならば、どうして私に教えた?


 何を企んでいるのか確かめるため、柏木サオリに電話を掛けるが電話もメールも繋がらない。

 “しまった‼”

 何の目的なのか全く分からないが、私は彼女に利用されたに違いない。

 柏木サオリは何かの目的のために、意図的にナトーを外人部隊に送り込んだのだ。


 余談だが、ナトーの外人部隊入隊に関して、ひとつ興味深い情報をもらった。

 それは彼女の入隊試験でマラソンをはじめ、格闘技や銃の扱い方や射撃精度&能力などの実技を担当したのが、亡きローランドの弟であるハンス・シュナイザー中尉が担当したと言う事。

 彼は兄同様に優れた兵士であるとともに優れた士官でもある。

 しかも兄のローランドに似てハンサムで、ローランドの様なオリンピック選手ではないもののさぞや女性にモテるだろうと思いきや、女気は一切ない。

 おそらくお兄さんから恋人の事を聞いていたに違いない。

 いつ戦地で死んでも良いように、している。

 だから女気がない。

 情報によると、そのハンスがナトーを高級レストランへ連れて行っただけではなく、レストランに行く前にボロボロで薄汚れた服しか持たないナトーに服をプレゼントしていた。

 しかもナトーを乗せたハンスの車は、女人禁制の車として有名らしく、これまでに女性を乗せたことがない。

 サラとローランドが、あっさり恋人同士になったように、サラの妹ナトーとローランドの弟ハンスも惹かれ合うものがあるのだろう。

 もしナトーがグリムリーパーだとした場合を考えると、この恋は障害が余りにも高すぎる。

 姉の恋人を射殺したグリムリーパーは、同時にハンスの兄を射殺したことにもなる。

 これが事実だとした場合、いくらナトーとハンスの恋が本物の恋だとしても、決して乗り越えられるものではない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  サオリさん侮れない人だったんですね。  ただ優しい人なだけじゃなかった。  だとしたら、サオリさんの目的は何なのでしょう❔  皮肉な運命が何も知らないナトーちゃんを巻き込んで行きます。  …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ