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アン・ファミーユ(家族とともに)第2部  作者: 湖灯


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【運命の仕事③(Work of destiny)】

 次の日から本格的な作業に取り掛かった。

 厳しいけれど目の前に案件がありながら、右往左往しているだけの日を費やしてきた支局の人たちに土日の休みは無い。

 先ずはコンセプトをハッキリさせ、それに基づくプレゼンテーションの作成。

 土曜日の午前中に皆で話し合って現実味の高そうな、それでいてコンペに受かりそうなモノを考えた。

 決まったコンセプトは『Urban Warfare(市街戦)』

 この市街戦で“状況判断”や“射撃能力”、迅速な“行動力”を高めて“生き残る”為の訓練システムを身に着ける。

 コンセプトが決まった後、チームを営業と開発の2つに分けた。

 営業チームは、これによって“何が、どう変わるのか”と言う事を具体的にプレゼンテーションに描き、開発チームは“何を、どうするのか”知識と技術を操り実現化する。

 営業チームのプレゼンテーションが、より具体的になってきた頃、開発チームから待ったが掛かる。

「ちょっと待ってください、サラ部長!」

「なに?」

「そのように複雑な構成は難し過ぎます!」

「レーザーを使用するのなら、まだ何とか成りますが、実弾を使うなんて無茶過ぎます!」

 複雑な構成とは、市街地のルートや使用者のレベルによっていくつものパターンやタイミングに分けられるシステムで、そのパターンは1等の宝くじに当たる確率より低い。

 だが、この構成は序の口であり、将来的にはC4Iシステムの採用予定も入れている。

 そしてレーザーを使用しないのは、より実戦に近付けるため。

 レーザー光線は目標に向けて直進するが、実際の銃弾は重力には逆らえず距離によって放物線を描く。

 初速の早い自動小銃であれば市街戦のような接近戦で距離を気にする必要は先ず無いが、拳銃を使用する場合は距離を気にする必要がある。

 それにレーザーを使わない理由は、銃弾を発射する際の反動。

 レーザー+空砲でも疑似体験は出来るが、反動は極めて少ない。

 私自身体験したのがビギナーズラック(初心者の幸運)。

 銃の初心者は、左程体に余分な力を入れずに撃つことがある。

 いわゆる自然体で、これは理想の撃ち方だから、必然的にターゲットを正確に捉えていれば命中率は高くなる。

 しかし実際に銃を撃ってみると、物凄い反動が体を襲って来る。

 確りした射撃姿勢が身についていないと、数発撃っただけで体中の筋肉や関節が痛くなり的に正確には当たらない。

 例えば脇や肘の閉め方やグリップの握り方、トリガーを引く指の掛け具合ひとつでも基本姿勢から崩れていれば、確り狙って撃ったつもりでも弾は的を外れる。

 要は、日頃の訓練が身についているかが試される。

 外人部隊側からは“サバゲ―みたいな”と言う文言が添えられているが、歩兵にとってエアガンで行うようなサバゲ―は意味が薄い。

 特にフランス外人部隊のように常に激戦地で戦う部隊では、常に実践を強く意識した訓練が必要になるはず。

 開発チームの苦言に、営業チームが妥協案を出そうとしたのを制して、上記の理由を述べたあと一言だけ付け加えた。

「これは夢のようなプロジェクトだけど、夢だけど夢じゃなかったと言えるように頑張ろう」と。

 営業チームのプレゼンテーションはルーシーたちに任せて、私は開発チームの方を手伝うことにした。

 いくらプレゼンテーションと言っても、それを裏打ちする技術が伴わないと只の“絵に描いた餅”と言う印象を相手に与えかねない。

 当然、主催者側も技術的なことも聞いてくるのは確実で、その時にバタバタしてしまっては折角のプレゼンテーションが台無しになってしまう。

 かと言って、あまり専門的な技術系の話をまくし立てても、専門家ではない依頼主側は訳が分からずツマラナイ思いをしてしまう。

 ツマラナイ思いをさせてしまうプレゼンテーションは、魅力的な提案とは見なされずコンペで落選してしまう可能性が大きい。

 プレゼンテーション前日に、みんなから発表者になるように頼まれたが私は部外者だからと言って断った。

 この案件はフランス支局の案件で、本来なら西欧支部から誰か応援に駆け付けるのが筋で、東欧支部の私が前面に出る訳にはいかない。

 何故西欧支部がこの案件を無視しているのはある程度予想が出来る。

 それは外人部隊の案件だから。

 もともと西欧支部はNATO(北大西洋条約機構)にベッタリで、一応フランス陸軍の配下にあるとはいえ得体のしれない外国人の混成部隊などを相手にしてはいられない。

 もっとも、これは外人部隊側にも問題がある。

 外人部隊の訓練は非常に厳しく、彼らは同じ普通科のフランスやドイツの兵士たちよりも屈強で勇ましい。

 だが、彼等は時として無秩序で野蛮な態度に出る。

 いかに精鋭部隊だからと言っても、その辺に居る反社会的組織の人たちのような態度を取る人たちと、進んで関わり合いになるのは誰も好まない。

 特にエリート意識の強い人間ともなれば、なおさら。

2022年9月21日、東海道新幹線の愛知県にある豊橋駅で、線路内に立ち入った人が液を通過する新幹線にはねられ死亡する事故が有りました。

そして同じ日の夜、東広島市のJR山陽線西高屋駅―西条駅間で、女子中学生2人が列車にはねられ死亡しました。

2人は同じ公立中学校に通う13歳と15歳の姉妹で、線路上に抱き合うように蹲っていたそうです。

愛知県の事故の詳細は、身元も判明できない状態らしく、自殺に至った経緯は不明です。

でも東広島市の事故に関しては、嫌なニオイがしてなりません。

嫌なニオイが「いじめ」なのか「虐待」なのか「その他の何か」なのかは分かりませんが、2人を死に追い込んだのは間違いありません。

どうして、こんなことに……。

いつから、こんなことに……。

両親、友達、先生etc、家族(※)以外の誰か1人でも2人の心の支えになっていてあげたなら、この様な痛ましい事故は起きなかったでしょう。(※高校より前の世代では、家族が完全な味方である事が分からなく、敵だと思ってしまうことがあると思います)


「タイムマシンが有ったら、どこに行きたい?」という事は誰でも何回も聞かれたことがあるでしょう。

もし私が今タイムマシンに乗って時間を移動できるなら、姉妹が電車に跳ねられる前の時間に行きたいです。

私には何もできないかもしれないけれど、とりあえず自殺を止めて話を聞いてあげて、共に解決策を考えてあげたい。

孤立していると思うと“うつ”になってしまい、自殺しやすくなる。

何もできないかもしれないけれど、真摯に話を聞いてくれる人や、共に考えてくれる人さえいれば自殺も防ぐことが出来ると思います。

生きる事の素晴らしさは、なにも楽しい事ばかりではありません。

苦しいこと辛いこと痛いこと痒いこと嬉しいこと悲しいこと楽しいこと美味しいこと切ないこと誰かを好きになること綺麗な景色をみて感動することetc…その全てが生きていることの素晴らしさです。

もっともっとみんな長生きして、いっぱい生きて欲しいと私は思います。

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― 新着の感想 ―
[一言]  このプロジェクトはナトーちゃんがテストされた場所ですね。  なんと、あれもサラちやんが関わっていたんですね。  可愛そうな現実です。  汽車に轢かれて死のうなんて考えつくのは、それ程辛い…
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