【クラウディとの出会い②(Meet Claudy Omaha)】
戦いの形勢は明らかに変わった。
それまで男たちに上手く攻め込ませながら、逆に男たちを引き込んで倒していた女が男たちの接近を拒むようになった。
しかし、それで女が不利になったとは思わない。
相手の武器や出方によって戦い方を変えるのは必要な事。
むしろ変えることが出来なければ、無残な姿を晒してしまう結果になるだろう。
女は幾度となく男たちの手からナイフを叩き落とすが、それを拾う前に次の男の攻撃を受けて拾うことが出来ない。
逆にナイフを叩き落とされた男は、仲間がフォローしている間に、そのナイフを再び手に取ることが出来ている。
戦いは6対1とさっきまでより負担は少なったとはいえ、もはや女にとって優位さは感じられないばかりか6人の絶え間ない攻撃を受ける女は次第に体力を奪われている。
「ナイフに気を取られないで! 今までと同じように戦いなさい‼」
このままでは不利だと感じた私は、離れた位置から助言を与え、私も助人として参戦する。
女の戦い方の基本はおそらくレスリング。
力強いが、接近戦には抜群の強さを発揮する分、タックルが基本なので凶器には弱い。
私の基本は護身術なので、相手を制圧するほどの破壊力はないものの、ナイフなどの凶器には強い。
「なんだ、この女は!?」
いきなり入って来た私に向けて、男がナイフを突き刺そうとする。
私は素早くその手首を握ると、肘を裏側に折り曲げて男の手からナイフを奪い、それを遠くに放り投げる。
次の男は上からナイフを振り下ろそうとしたので、一歩間合いを詰めてから半身になり振り下ろす腕の肘を固めて円を描くと男はひとりでに回転して倒れ、その手首を捻ってナイフを取り上げるとさっきと同じように遠くに投げて直ぐに離れた。
体重の軽い私にとって男たちとの接近戦は不利だから、目的であるナイフを奪い終わると直ぐに相手から離れる。
ナイフを取られた男たちは、まるで流れ作業のようにあの女が倒して行く。
そうやって私たちは、残りの男たちを全員倒すことに成功した。
「華奢なくせに、無茶しないで」
「無茶はしていないわ、私はナイフに興味があっただけ」
「興味があっただなんて、アナタは相手から取り上げたナイフを全て捨ててしまったわ」
「だって、いいナイフじゃなかったんだもん」
「変わっているのね」
「アナタこそ、イラク人のくせに何だかザリバンに恨みでもあるような感じ。何故アメリカ軍じゃなくてザリバンが相手なの?」
女は汗を拭きながら、俯いて「探している奴が居るの」と答えた。
「誰?」と私が聞くと、女はキツイ目をしてグリムリーパーだと答えた。
グリムリーパーの正体と所在を知るのはザリバン兵しかいない。
だから彼等とイザコザになる。
賞金が目当てかと聞くと、女は首を横に振り腰を下ろし、地面に目を落として言った。
「グリムリーパーに母と妹を殺された」と。
グリムリーパーが民間人を射殺するなんて聞いたことがなかったのでよく聞くと、ある日彼女の住むアパートにグリムリーパーが侵入して来て、多国籍軍の兵士たちを殺した。
多国籍軍はその報復のため、グリムリーパーが居た場所に砲弾を撃ち込んだため、彼女の母と妹は巻き添えを受けて死んだ。
彼女はその日学校に行っていて、妹は朝少し熱が有ったので学校を休み、母は妹の看病のためにパートを休んだための悲劇だった。
父親は離婚して居ないため、今は施設に通いながらハイスクールに通っているが、それも来年で卒業すると住む家を探さなければならない。
「私の生き甲斐は、私から家族を奪ったグリムリーパーに復讐する事。そのためにレスリングを習った」
「でも、直接殺したのは砲弾よ」
自分が発明した精密誘導弾だと言う事は言わなかった。
「その砲弾は、グリムリーパーを倒すために撃ち込まれたもの。だから砲弾を放ったアメリカ軍に恨みはない。むしろそのようにコソコソと隠れながら300人近い人の命を奪っていったグリムリーパーが居なければ、このような事にはならなかった」
そう。
グリムリーパーさえ居なければ、友達になってくれたアメリカ海兵隊のオビロン軍曹たちや、処女を捧げたローランドも死ぬこともなかった。
そしておそらくメェナードさんは、そのグリムリーパーの消息を探すためにザリバンに潜入した。
私は彼女に、私がグリムリーパーを恨んでいる理由を伝えた。
そして一旦話しそびれていた精密誘導弾を開発した張本人であることも。
彼女は友達を殺されたのなら当然だと言ってくれた。
彼女の家族を奪ったように、私の大切なメェナードさんをもグリムリーパーは奪おうとしている。
「私はサラ。サラ・ブラッドショウよ」
「私は、クラウディ・オマハ」
「どう? 一緒にグリムリーパーに復讐しない?」
「いいけど、どうやって?」
「アナタを私のボディーガードに任命します」
「ボディーガード??」
「そう。未だ身につけてもらわなければならない事があるから、これから施設に入って習得してもらわなければいけないけれど、2人で力を合わせれば、いま目の前のザリバン兵を倒したように屹度グリムリーパーを倒すことが出来るわ」
クラウディは驚いた顔をして私を見て「サラ、アナタはいったい何者なの?」と聞いてきたので私は答えた。
「私は何物でもないわ、ただグリムリーパーに復讐したいだけの女。では今度は私がアナタに聞きます。クラウディ・オマハ、アナタは本気でグリムリーパーと戦う勇気があるの?」
クラウディは私の手を取って「もちろん。一緒に戦わせて!」と言った。
先週の土曜&日曜と書き溜めするつもりが、台風の低気圧のせいか頭が重くて全然書けなくて遅くなりましたm(_ _"m)
ところで“台風の低気圧”で体調を崩す人が多いと言う話はよく耳にしますが、気圧の影響ってどのくらいなのだろう?
気圧が低くなると血圧や心拍数が上がります。
この影響により頭が重いとか、体がしんどいとか、その影響は人それぞれ。
もともと台風は気圧が低い(低気圧)ですが、いったい低気圧って何が基準になるの?
それは基準となる値があって、その基準より低いのが低気圧です。
1013.3 hPaこれが大気圧の国際基準値です。
今回の台風11号の中心気圧が970hPaですので、標準気圧に比べると40hPa以上も低い気圧と言う事になります。
低気圧が人に与える影響は、人それぞれですが、身近なところで確実に大きな影響が出る事があります。
それは潮位です。
今回の台風の様に中心の気圧が40hPaも低いと、潮位は40㎝も高くなります。
日本の太平洋側の潮汐は概ね2mですので、大潮の満潮時は普通の状態より潮位が1mも高くなります。
その上に970hPaの気圧が通過すると更に40㎝潮位が上がります。
当然台風の風の影響で波の高さも上がりますので、台風の時は海の近くには絶対に行かないようにしましょう。




