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アン・ファミーユ(家族とともに)第2部  作者: 湖灯


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【ミランを勧誘①(Recruit Milan)】

 イワンはザリバンの戦闘員として長く戦場を駆け回っていたにもかかわらず、射撃の基本とかコツというものを全く知らない。

 よくもこれで今まで生き残れたと、感心してしまうレベル。

 そういえばアフガニスタンで民兵たちと戦ったとき、激しい銃撃戦だったにも関わらず誰も敵の弾に当たる者がいなかったのを不思議に感じたことを思い出した。

「いいか、銃を撃つとき。特に小銃のような長物はいくらフロントとリアサイトを合わせても、構えが確りしていないと狙いには当たらないぞ」

「そんな馬鹿な」

「そうは言っても、さっきから全然当たっていないじゃないか」

「そ、それは、この銃がイカレテいるからじゃ……」

「いいから先ず基本をやってみよう」

「今更、基本?」

 イワンは少し嫌がったが、まるっきり基本がなっていなかったので修正する


 先ず小銃の基本は構え。


 ・グリップを握る方の利き腕は、確り脇を閉めて肘が開かないようにする。

 ・銃床は肩の前面に確りと押し当てて、銃床に頬を押し当てて顔と銃を一体化させる。

 ・ハンドガードを支える方の手も肘は開かない。

 ・両目の高さは常に水平になるように心掛け、決して顔を傾けない。

 ・ターゲットに狙いを定めるためには、フロントサイトに目の焦点を合わせる。

 ・トリガーを引く指は浅くも深くもなく、必ず指の第一関節より先の腹の中央かやや関節部よりの部分で、銃に対して真っ直ぐに引く。


 この辺りが、銃を撃つための基本姿勢。


「あれっ!? 当たんねぇぞ……」

「姿勢を替えたからと言って直ぐに的に当たるとは限らない。先ず大切なのはその基本姿勢を身に着けることだ」

 各国の陸軍歩兵部隊では、各種状況に応じた射撃姿勢に対して、この基本姿勢がキチンと身に付くまで徹底的に訓練が行われる。

 いつも同じ条件で撃つから、自分の癖も分かり、修正することも出来る。

 繰り返しているうちに、的に当てるためのコツというものが掴める。


 イワンにしばらく基本姿勢を崩さないように指導しながら、向こうで射撃をしているミランに注意を向けていた。

 きっと子供の頃から狩猟に連れて行ってもらっていたのか、基本はある程度出来ている。

 弾が命中する割合も、そこそこ高い。

 と言っても、このくらいの射撃の腕前なら海兵隊の中にも結構いる。

 なにも特別ではない。

 けれどもミランは素人だ。

 遊びでここまで出来ているということは、ちゃんとした指導を受けさせればかなりの伸びしろが期待できる。

 グリムリーパーに対抗できるような狙撃手にまでは成れないだろうが、その戦いに負けて死んでいったジョン曹長やローランド中尉くらいにはなれる可能性を秘めている。

 大きな体格の割には、格闘技の素質は余り無いかも知れないが、事前にナトーの関係者を調べたところ彼は優れた外科医であることは分かっている。

 これからCEOへの階段を上り始めるサラの傍に置いておく人間としては、攻守揃ったまさにうってつけの人材。

 グリムリーパーの疑いのあるナトーの素性を探っていたが、これはとんだ拾い物になるかも知れない。


 それから何回もこの射撃場に訪れ、少しずつミランに話しかけ、友達になった。

 あるときミランに聞いた。

「君のように優秀な経歴を持った外科医が、何故将来が約束されている大学病院を出てこんな土地で働いているんだ」と。

 ミランは言った。

「大学病院での主な仕事は新しい技術や対処方法の研究。そのためにエリートと呼ばれる最高のチームが他所の病院から送られてくる、対処方法の難しい患者を“いわば実験台”として手術を行い、医療技術を進化させる責任を担っている。とても大切な仕事だ」

「それが分かっていながら、何故……」

「でもね、こういった戦争や紛争で医療が崩壊した地域では、もうホンの少し何かが普通に出来たなら救われたはずの命が毎日消えているんだ。俺はね、そんな命を少しでも助けたい。それは医療に携わる者にとって、大切な事だろう?」

「たしかに、その通りだと思うけれど、需要と供給のバランスは考えないのか?」

「需要と供給?」

「そう。君や赤十字のスタッフが、どんなに頑張っていても、戦争や紛争が続く限り医療を必要とする人たちは増え続ける」

「たしかに」

「例えば戦争による軍人と民間人(非戦闘員)の犠牲者の割合というのは第1次世界大戦で約50%、無差別都市爆撃が行われた第2次世界大戦では約60%と、実際に戦っている兵士の数を上回るようになっているんだ。これが民間人をもターゲットにするテロや内戦ではその比率は更に高くなり、例えば1977年から1992年の15年に渡って起こったモザンビークの内戦では民間人の犠牲者比率は95%で、スーダン内線では98%にも上っている」

「調べたことは無かったが、そんなにか……」

 ミランは絶望するように頭を抱えて嘆いた。

「戦争や紛争を止めなければ、君たちは永遠に治療し続けなければならない。赤十字に従事する限り、このベルトコンベアーのような流れ作業は止まらない。そして赤十字の粗末な機材では、どんなに君が優秀な外科医であろうとも……いや、優秀な外科医だからこそ、命を救う代償として障碍を持つ人間を増やしてしまうことになる。おそらく戦争で崩壊した町に住む家を失った障碍者を返せば、それは死を待逃れたことを恨みたくなるほどの過酷な生活が待っているだろう」

 ミランは更に項垂れて、握った拳を振るわせていた。

「つまり君たち赤十字はこの地に於いて、負傷兵を治療して再び戦場に送り出していることに等しい」

ニュースを見ていたら、広島県で過失運転致死罪による執行猶予期間中の人が、大型バイクで”あおり運転”をしたり通院している病院のガラスを金属バットで割ったりしたそうで懲役1年2か月の判決を受けたとのこと。

私が驚いたのは、過失運転致死傷罪と言う事は、死亡事故を起こしたと言う事でしょう?

そんな事故を起こした人が、そのまま免許証を保有していた(?)ってこと。

免許取り消しにならないのですね(-_-;)

しかも執行猶予中に”あおり運転”だなんて性格的に運転に不向きな人じゃないですか(◎_◎;)

運転免許証を取り上げないで、こんな人でも刑期を終えたらまた車やオートバイを運転するのだと思うと、こちらの方が怖くて運転できなくなりそうです。

特に”あおり運転”をする人と言うのは重大事故を起こしかねない性格的に問題がある人でしょう?

自動車運転教習所で性格テストって入所する際にありましたよね。

まあ、これで問題があって落とされると言う事は無いと思いますが、こうしてハッキリ性格に問題があると分かった人からは運転免許証を取り上げて、運転できないようにして欲しいです。

ひょっとして2度や3度も人身事故を起こした人が居たりしたら、被害者の人や家族も浮かばれませんよね。

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― 新着の感想 ―
[一言]  後半に出てきたベルトコンベアという言葉がとてま引っ掛かりました。  とても哀しい言葉。      私も湖灯様と同意見です。  人間が作り出したものは危険と隣り合わせのものが多いですよね。 …
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