神の悪戯
カクヨムで連載中の小説ありますので
そちらもぜひ見てくださいね。
俺は自宅には戻らずに電車に乗っていた。
あの街には居たくなくて
どこでもいいから何処かへ行きたかった。
昔の事が走馬灯のように、頭の中に流れる
桧山七瀬…。 山下由紀…。 木村美月…。 そして春山沙耶香。
4人が4人とも俺を騙していたなんて
浮気に嘘の告白。
「俺、騙されすぎだな………。」
呟くけど虚しいだけで、死にたいとさえ少し思ってしまう。
電車の窓から見える景色は海だった
暗い中でも月の光を反射する海を見て
「ドラマとかだと、こういう時は海を見にいくんだよな。」
なんて考えた俺は次の駅で降りた。
改札を出ると海が広がっている…ということも無く
少し歩き海に着くと、海岸へと降りていった。
(ドラマだと叫ぶんだけど……どう考えても近所迷惑だろ。)
俺は担いでいたギターを下ろして海岸に座り
今日の事を、また思い出していた
そういえば
もう一つ、考えなきゃいけない問題があったんだった。
沙耶香をゲーセンで見かける少し前
バンドの練習を始めようとした時に
バンドメンバーのヒカルとタイシが話し始める
「アキト。悪いんだけど俺達バンドやめようと思って……」
ヒカルの言葉に驚きを隠せず聞き返す
「な、なんで!?」
聞き返されたヒカルは口を閉じてしまうが
タイシが理由を説明する
「アキトにはもっと上を目指して欲しいんだよ。ほら、前の合同ライブの時にブレイカーズのギターやらないかって誘われてたじゃん。他にもMITSUYAのヴォーカルにも誘われてたし……。」
「前に話しただろ?その話は断ったって!」
「それじゃダメなんだよ!俺もタイシも、アキトの影で甘い汁を吸ってるだけなんだ。お前はもっと上に行ける。俺とタイシはお荷物だ!!」
ヒカルの言葉に息を呑む
「俺は3人で……これから3人でメジャーデビューしたいんだ!!」
「アキトは優しいな。けどさこのままじゃメジャーデビューできないことぐらいわかるだろ?俺とヒカルの実力はここで限界なんだ。あとは俺らの夢をアキトに託すよ!」
「ヒカル……。タイシ……。でも俺は…。」
「でもは無しだ。俺たちはテレビの前で応援してるから、頼んだぜリーダー!」
「じゃあ、最後に俺達レビテーションのデビュー曲でも演奏して終わりにしようぜ!!」
俺は涙を堪えて、声の限り歌った。
レビテーションはインディーズでは高く評価されていたが
良くも悪くもそこまでだった。
海岸に座りながらギターを取り出す
「お前らの夢叶えられそうにないかも知れない……。」
バンドの解散と同時に恋人の浮気
精神に大きなダメージを受けた俺は
取り出したギターを弾くことができなかった。
何時間たっただろうか?
海岸に倒れるように寝ていたら声がかかる
「あの〜?大丈夫ですか?」
俺は顔だけ上げて相手を見る
灯りもない海岸なので顔はハッキリと見えないが
声で女性だと理解する。
「大丈夫です。すみません寝心地が良くて」
「そうですか。誰か倒れてるのかと勘違いしました。」
「いえ、俺が紛らわしかったですね。申し訳ないです!」
「うふふ♪気にしないでください。それより、これってギターですよね?弾けるんですか?」
「ええ、バンドやってたんで弾けますよ。あんまり上手くないかもですけどね…」
「凄いじゃないですか!なにか一曲弾いてくれませんか?」
「はあ、でも近所迷惑じゃ……」
「大丈夫です。この辺の家って防音にしてる家が多いんですよ。ほら、海水浴客とか夜中に騒ぐ人もいるから。」
「それなら、まあ………」
♪〜
俺は有名なラブソングを弾き語りした。
「すごく良かったです!この曲は知らないけど、凄く心に響きました。好きだけど想いが伝えられないもどかしさや…………………。」
感想を絶え間なく言う、名も知らない彼女を見て
少し元気がもらえた。
「ご、ごめんなさい。なんか感動しちゃって少し喋りすぎました。」
「いえいえ、俺なんかの歌で感動してくれたのは嬉しいですよ」
「この曲が有名なのかは知りませんけど、気持ちが込められてて凄く心が満たされました。」
「ありがとうございます。そういえば名前も聞いてなかったですね」
「あ、そうでしたね。私は桧山七瀬と言います。」
桧山……七瀬…………。
「あ、ああ。俺は………」
なんでここに? いや、今は……。
どうする?素直に伝えるべきか?
考えた末
「い、イチジョウ…ハルトです。」
偽名を使った。
「イチジョウさん、歌ってくれてありがとうございました!少し前までピアノを習ってたんで機会があれば、一緒に演奏したいですね♪」
「そう…ですね、今日はもう遅いので帰りましょうか!」
「はい、本当にありがとうございました!あと勘違いしてすみませんでした。」
「ははは……では、帰りますね。さようなら…。」
なんで、桧山さんがここに?
まだ、ただの顔見知りと偶然会ったならわかるが
知らない場所で元カノと出会うって、どんな確率だよっ!
さらに、現彼女に浮気されたばかりというのも付け加える。
俺、トラックに轢かれて転生するんじゃなかろうか?
それで、女神が現れて
『ごめーん、間違えて殺しちゃった♪』とか…
俺、女神5回は殺す自信がある!
本当に、俺の女運は最悪の展開ばかりで嫌になるわ。
俺は海岸から離れた後、自宅に帰宅した。
「ただいま。」
リビングに入ると、テレビを見ている妹と一瞬だけ目が合う
「お帰り。」
そういうと妹はまたテレビを見はじめる
三条夏奈
髪は黒髪でセミロング
俺の実妹で、母に似たのか性格は大人しめなクールタイプ
「遅かったね。」
テレビを見ながら話しかけてくる
「ああ、ちょっと色々あってな…」
「色々って、春山って人と関係ある?」
「な、なんで!?」
まさか、沙耶香の名前が出てくるとは思わず、声が上擦る。
「家に来てた。いないって言ったら、しばらく家の前で待ってた。」
「そ、そうか…。ありがとな夏奈。」
「別にいい。ただ、来たから対応しただけ。」
そういうと妹はまたテレビに集中する
別に妹と仲が悪いとかはない、仲が良いとも言えないけどね
リビングでお茶を飲んだ後
俺は部屋に戻り、スマホを取り出す
「最近、充電切れるの早いなぁ。買い替えどきか……。」
スマホを充電スタンドに差し込み、ベッドにダイブする
今日は色々とありすぎた
バンドの解散
あいつらは、俺のことを高く評価してたけど
「メジャーデビューなんて無理だろぉ……」
沙耶香の浮気
なんか無視しちゃったけど
仕事できるお兄さんって感じの男だったな
それに比べて俺は………「はぁ。虚しいな」
桧山七瀬との再会
家が近所だったわけではないはず
引っ越した線もあるけど、偶然すぎるだろ!
本当の本当に、神の悪戯じゃないかと疑うレベルだ。
疲れたよパ〇ラッシュ……すごく眠いんだ…………。
俺はそのまま眠りに落ちていった。(生きてます!)
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【三条 暁人】
高校2年生 バンドではヴォーカル兼ギター
身長175㎝ 容姿は至って普通
【春山 沙耶香】
黒髪ショートで守ってあげたくなる、妹系美少女
身長148㎝ スリーサイズは76・52・79
【桧山 七瀬】
黒髪ロングの清楚系美少女
身長160㎝ スリーサイズは86・59・86
【木村 美月】
金髪でセミロングのギャル系美少女
身長157㎝ スリーサイズは89・58・85
【山下 由紀】
黒髪のショートボブの活発系美少女
身長150㎝ スリーサイズは75・52・76
【三条夏奈】
高校1年生 暁人の実妹 髪は黒髪でセミロング
母に似て性格は大人しめなクールタイプ
身長165㎝ スリーサイズは80・59・83
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