第7ピリオド:Fast Break
なんとか更新できました。
6月1日、月曜日。今は丁度昼休みが始まって5分ぐらい立った頃。
優たち6人は体育館の中でダッシュをしている。
昼休みということを除けばなんら部活と変わらない光景となっていた。
「ふぅ、やっと3周だよぅ。」「スピード、落とさずに。」「へばるの早えーよ!!」
体育館をステージ側、玄関側と2分割して、6人は玄関側にいる。
その玄関側コートいっぱいに大きく走っている。
みんな疲れてきているようだが、スピードが落ちてきているようには一般の人から見たら思わないだろう。
この6人、つい4月にあった体力テストでは驚異的な記録をつくりだしている。
なかには男子を負かすほどの数字をもつ人も。
一番スピードが遅い遥でも50メートル走で8.0秒だった。
ちなみに遥、握力が学年ナンバーワンだった。
話を戻すとなぜ部活に入っていない6人がこう走っているかといえば、全員で県主催の市民バスケット大会に出場するため。
さらに発案者の椎が、どうせやるなら優勝しよーぜぃ的な事を言ったから。
みんなで話し合ってまず、走る力(スピードと持久力兼ねて)をつけようということになった。
でひとまず全力で5周走り切ることを目標にして今実行中という訳。
「はふーっ、ちょっと疲れちゃったっ。」「何言ってんだよ。これからだろーが。」
トップに優と椎がゴールする。
みんなが走り終わった後、つかの間の休憩を取り海と遥は香からセンタープレイの技術を教わることにして、椎と恵は1対1をやって残りの優は3ポイントシュート練習をしている。
「ゴール下まで押し込むのはいいけどよ、それからゴールだけ見てちゃダメなんだぜ。」
香がセンタープレイについて説明している。他の2人よりいろいろと動きがうまい。結構参考になる。
「ターンをしてそのままシュート、じゃなくてゴールとは別の所へシュートフェイク、」
実際に香がやってみせる。
「マークマンがブロックしよーとすんのをかわして、一歩ゴールに踏み込んでシュート。ぜってーブロックされねぇよ。」
海にボールを渡す。そして香を背にゴールの近くまで行く。そのままターンするが香の教えに習ってリングより少し右へ打とうとする。香がブロックしようとジャンプした事を確認してから踏み込んでシュートした。
「相手なんかゴールに背、向けてっからリングの正確な位置なんてわかんねえからよ。」
「なるほど、頭いいな。」「私もやってみる。」
今度は遥が挑戦してみる。
椎が抜いていく。ドリブルしているとは思えない速さ。
そこに恵が追いつく。クロスオーバーして逆方向へ抜こうとするが恵がコースに入り抜けない、いやむりやり突破しようとして恵と激突。
恵を押し倒してしまった。
「痛たた、やっぱり抜くのはすごいんだよ、でも抜いた後が肝心。相手が追いかけづらくさせるコツがあるんだよ。」
「コツってあんの?抜いてもすぐにいつも戻られちまうしよー。」
「抜いた後に、ディフェンスの真後ろラインに入ればいいよ。」
つまり一本道を想像した時に途中にある障壁=ディフェンスを避けて=抜いて、
また元の道に入ればディフェンスはただ真っ直ぐ追いかけたのではオフェンスの進むコース正面に入ることが難しくなる。
試合中とかでよくあるファールの1つだな。
「あんま気づかなかった。」
そう言って恵に向かって歩き椎が恵の横をすり抜けて、また元歩いていたコースに行く。
「こうすると付いていきたいディフェンスがよくファールをするよ。」
一言付け加えてまた1対1の実践練習を再開した。
回転がかかったボールをミートキャッチし、その時にシュートフォームを作っておく。
そしてシュート、のフェイクを1つおいて再びボールを上へ持って行きショット。
スナップがかかってリングを通過したボールはまた自分の所へ帰ってくる。
またキャッチしてシュート体勢、それからドライブしコーンが置いてあるフリースローラインまで行ったらストップしジャンプショット。
なんとか入ったが、一回リングのつなぎ目に当たって上へ跳ねてから入る。
「ふぅ、ストップはきついなぁ〜。」
優が息を整えながら言う。
「今まで3ポイントしか打ってなかったよぅ。」
優の3ポイント率はほぼ100%に近い。マークマンの外し方もうまいので試合中にはそれなりに打てた。
しかし3ポイントかパスか、の2択しかあまり考えてなかった。
先日に、
「優はシュートだけじゃなくてドライブも覚えた方がいいと思うよ。」
恵にこう指摘された。
恵ちゃんはいろいろ凄いなっ、みんなのこと把握しているし。私もなりたいな!それが優の本心だった。
それぞれの練習が終わる頃には昼休み残り20分になっている。
恵と香が入ってからは後に昼食をとるようになった。
もう片付けしまいと食べる時間がない。
最後に全員でストレッチをし、着替えて4組に集まる。
「そういえば大会に参加するチームってどれくらい?」
「分かんねーけど20ぐらいは集まるんじゃねぇか。」
「今度総合体育館に行ってみっか。」
「結構、遠いの、かな?」
「今度調べておくよ。今週の末に行ってみよ。」
恵の提案で明水市総合体育館に行くこととなった。
そうこう話をしてるとチャイムが鳴りだした。
「やっべっぞ、じゃーな!!」
「また、放課後。」
と、他のクラスへ戻っていった。
「大会って始まるの何日だっけ?」
「あのチラシに7月28日からだってよ。」
香が席を立ちながら言う。
「あと約2ヶ月ってことだねっ!」
これからもよろしくお願いします。