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レッドドライブ  作者: グランドリオン
大会本番編
18/21

第17ピリオド:Seesaw Game

今日はこれで終わります。

床に手を付きながら優が立ち上がった。

「フリースローっ、だねっ。」

フリースローラインへ歩いていく。

「無理、しないで。」

海がそっと声をかける。

「うん。」



ボールをもらってからすぐに打った。

いつものように綺麗には入らず、リングの縁に当たってなんとか入った。

「ふぅ。」

シュートを決めてもう一回のオフェンスへと動いた。

アンスポーツマンライクファールを捕られると相手にフリースロー+相手のスローインから再開される。

(すげぇな優は。私もいっちょやるか。)

香はさっそく動き始めた。

「恵~、パスくれ!」

恵は3ポイントライン付近にいる香を見て考える。

「分かったよ、香。」

パスが入る。

「動かせて貰えないんだったら、」

「あぁ?」

ボールと足を右へとフェイクさせる。

「こういうのはどーだ?」

少し空いたスペースを使ってロングシュートを打とうとフォームを構える。

「ちっ!」

28番、瑠衣がブロックへすかさず来る。

この試合じゃ香は一本もゴール近辺のシュート以外打っていない。

ロングは入らないからだろうと思った。けどまさにロング、しかも3ポイントラインにほぼ近い

所から打とうとしている。

一本も入ってないのと一本も打ってないのとでは違う。そこからのシュートが入るかもしれない可能性だってあるのだ。

だから跳んだ。

その右横、エンドラインを割るように切り込んでくる。

「香穂、カバー行って!」

誰かの声が舞う。

5対4の状況じゃ誰かがフリーになる。今、身長もスパンも高い香がドライブしてくる。

「カバー、オッケー。」

香と香穂の一騎打ち。

コースへ入ろうとする香穂の少し横を、体をねじれ込むようにレイアップへ行く。

「チェーック!!」

声のプレッシャーにも、微妙に当たって絡ませてきた手に動じることもなく、

ボールをリングの中にねじ伏せた。

笛が鳴る。

「4番のファール!カウント!」

そして、オフィシャルからの声が上がった。

「黄色4番、5ファール退場です。」

えっ。

瞬く間に会場からざわめきが起きる。

「香穂、交代するよ!」

グレイトバードのベンチから、これまた身長180はあるかないかの78番、小泉彩香が出てきた。



くそがっ。いままで退場おろか4ファールにもなんなかったのに。なんでだよっ!

あの審判め。腹立つよなんか。

地面を踏みならした。

「香穂、交代するよ!」

彩香と交代か・・・。まーいいや。

「4番と8番、潰せ。」

耳元で囁いた。

「えっ。わざとのファールは危ないと思うけど・・。」

「自然的にやってくれ、な。」

そう言ってベンチに戻った。



「ナイシューだよっ、香ちゃんっ!」

香と優がハイタッチしようとするが身長差で、触れあわなかった。

「へへっ。」「ははっ。」

「すごいな~香は。私ももっと決めたいな。」

「頑張れよな。」

「入れてね。」

遥、海、香が話しながらフリースローレーンに行く。

「リバン頼むぜぇ!」

声を出しながら打った。

「入るって。」「入る。」

遥&海の予測入った。

「よ~し。ディフェンスいくぞ。」入れた香が声を出し意識を切り替えさせて、

「ここ守るよ。」恵が締めて、

「「「いいよ~!!」」」

チームに統率が生まれてくる。

最初会った頃には連携があまり取れていなかった。

声を出すなんてことはなかった。個人技術が集まった物だった。

だけど、

6人はただただ進んでいく。



残り時間がもう後1分、78番小泉彩香が海に対して3つ目のファールをしてきた。

香穂の作戦だった。

海はもう3つもファールがかさんでいる。

退場させろ。香穂が彩香へ言ったことはただそれだけだった。

そして、レッドドライバーがディフェンスの時だった。

無理矢理押し込んでくる彩香に対して、

「ぐっ!」

押されないようポジション取りをしている。

「たぁ!」

肘を海の顔に入れながら、彩香がシュートを打った。

笛が鳴り、

「オフェンスのファール!」

彩香が4つ目を犯してしまった。そのまま、

「いや、ごめんね~。」

彩香が海に対してうっすらと笑みを浮かべながら謝った。

その時、

「殴んなよ。」

とてもイライラしてそうな声で海が、普段言いそうにもないこと、そしてバスケの試合には似合わないセリフを吐いた。

「さっきから、痛い。」

そう言いつつ彩香に寄っていく。

「わざとじゃないってば・・・。」

「あんたも、4番も、ひどいなぁ!」

そして、強めに言って肘を腹へ入れてしまった。

「えっ。」「あわわ~。」

選手も、そうでない人も声をあげた。

本来やっちゃいけないことをやってしまった。

「4番、テクニカルファール!フリースロー!」

審判からコールされてまた会場はどよめく。

メンバーが海へ集まる。

「やっきになんじゃねぇぞ!」

「落ち着いて。」

「ごめん、なさい。」

言って、しゃがみ込んでしまった。

「プレーで返そう。ね?」

「あと一分だなぁ。フリースロー2ついれられたら3点差になっちまうじゃんかよ。」

「それじゃ、」

言いながら恵は審判の元にいく。なにか話した後、

「タイムアウト、白!」

レッドドライバーのタイムアウトコールが鳴った。

恵が戻りながら、

「作戦と休憩タイムを取ろう。」

人差し指を立てながら言った。

「あと一分で私らの夏おわっちゃうなぁ。」

香が飲み物を飲みながら、溜息ついたように言う。

「後悔しないように、今、作戦立てとこうね。」

頭の切り返しが早いな、と他の5人は思った。


たぶん、あと1、2回で完結すると思います。

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