第16ピリオド:Basket Count
フルスピードで4連続投稿いくんでそのつもりで!?
前回からかなり接戦が続いてきた。
3ピリオド終わった時点で、5点差で負けている。
75-80。
途中、最大16点差がついたが優の3Pの嵐によって離されず、追いつきムードへとなった。
「優が、いなかったら、負けてた。」
「そんな事ないよぅ。」
「いや、やっぱ優はすげぇな。」
「遥ちゃんの方がすごいよっ。12点取ってる!」
優に褒められたのか、大量得点取れたからなのか、遥の顔は赤かった。
もうすぐ4ピリオド、最終ゲームが始まる。
「俺たちが勝つぞ!」
そして、
「「「ウオォォォイ!」」」
円陣をレッドドライバー6人で組み、コートへ椎を除く5人はコートへ入っていく。
「追いついていくぞぉ!」
ベンチから、3ピリで優と交代した椎が声を掛けていく。
「パス、ちょうだい。」
海がボールを、ハイポストで要求してくる。
そして恵からのパスを受けて、相手4番、香穂と背で対峙した。
「今度は。負けない!」
「全力で来いや。」
海の押し込んでからのターンシュート、それは一番早く見破られた。
シュートフェイクから一歩踏み込んでのシュートもブロックされてきた。
かろうじて香の技術とクイックネスで勝負できたが、香にはもう1人のセンター、28番桜井瑠衣がついている。
「くっ、この。」
中に入ろうとしても、逆サイドへ走り込んで行こうとしてもボディーチェック(体全体で相手の進行を止めること)で、なかなか行かせてもらえずイライラしてた。
3ピリからずっと仕事をさせて貰えずに、さっき相手を無理矢理吹っ飛ばして動こうとしたらオフェンスファールを取られてしまいさらに動けなくなっていた。
「てりゃ」
海は何度も考えた。
どうやったら攻略できるか。
4番、香穂と正面で向き合い、そのままシュート、フェイクをかけたが引っかかってこないのを確認して、なんどもフェイクした。
(なんだこいつ、そんなフェイクかかるわけ無いのに)
フェイクだけをしてくる海に対して香穂は思った。
そのまま3秒ルールになる前までやっていた。
なんだ・・・?
そう意識が海の謎のフェイクだけにしかいかなくなった瞬間、
海が自身全力のジャンプをしてハイポストシュートを放った。
香穂の反応が一つ遅くなり、ブロックしようとした手は腕を叩いた。
海の体が少しぐらついたが、なんとかシュートは決まった。
77-80。バスケットカウント。
「ふう。」
海の体から息が漏れた。そして、
「すごいよ海!」
「ナイシュじゃんか、海。」
「海ちゃん凄かったよぅ!」
「海すごいな。」
「リーダー、ナイスバスカンじゃねーか!」
みんなから声をもらった。
フリースローレーンに行く。
グレイトバードは動揺していた。
チームの要の4番小田切香穂がまだ試合時間9分以上残っているのに4つもファールも
重ねてしまったことに。
ファール5つで退場となってしまっては、いくら他にも身長高い人がいるとはいえ圧倒的な強さや雰囲気で支配していた『中』が弱くなってしまう。
一番香穂自身が落ち込んでいた。もう積極的なディフェンスもできなくなって、ブロックも手が当たることに不安を覚えた。
最後まで頼むぜ、海。
落ち着いてね。
そんなリバウンダー2人から心を通じて声が聞こえてくる。
「ほっ。」
リングを見る。周りは静かだ。自分の鼓動だけが聞こえる。
何か安心して打ったフリースローは、もちろんリングにもネットにも触れずに通過した。
「やった。」
78-80。
「相手のオフェンスくるよ。」
恵の声でディフェンスへとレッドドライバーは切り替わった。
優のマークマンの14番、輪島有希へスローインパスが通った。
そしてドリブルで運び始めようとしてドリブルを突いた瞬間、
優が体勢を低く、体をねじるようにしてスティールした。
「ナイスカット優。」
「いくぞぉ!」
味方の声が届く前に3ポイントラインへ向かった。
輪島は慌ててコースを塞ごうとして動き始めた。
3ポイントライン前でぎりぎりコースに入り、
これなら抑えられる、
と輪島は思いそのまま正面へ。
しかしその前で優はボールをシュート体勢へと持ち上げていった。
打ち始めにシュートチェックへいった輪島。
その前にボールを放った優。
体全体で押されるように、はね飛ばされるように、優の軽い体は中に舞った。
ズシン、と背中からコートへ打ち付けられた音とボールがネットを絡ませながら入っていった音がするのは殆ど同時だった。
審判がアンスポーツマンライクファールと3ポイント成功のサインを出した。
「「「「優ー!!」」」」「優。すごい。」
会場がどよめいた。
歓声と喚声が包み込んでいった。
「痛っ・・・いよっ・・!」
優は体全体に来た痛みに絶えようとしていた。
シュート入ったかなぁ?
入ったら逆転だっ!
フリースローだもんねぇ、ここは入れるぞっ。
そう思っているのになぜか優の体は動かない。
「優、だいじょうぶ?」
「しっかり、立てるか?」
レッドドライバーだけでなく相手チームも、観客もみんなが心配した。
「立てる?」
審判の人も声をかけた。
「・・・うぐぅ・・ううぅ・・・。」
なんとか優は苦しそうに声をあげた。
「・・・7番と交代お願いしま」
審判が言いきる前に、
「・・おっけいっ!」
優が拳でコートを叩いた。
最近、かなり腹が減るようになってきた。今も腹減ったw