第15ピリオド:Unsportsman Like Foul
連続投稿いきます。
「第10回明水市民バスケットボール大会の女子決勝戦を行います。試合開始は9時です。」
コートの中央で主催の人だろうか、アナウンスが入った。
「選手の皆さんはアップを開始してください。」
10分間のコート内でのアップタイム。
「よっし、アップ始めようか?」
「うん。」
レッドドライバー6人の最後の試合が始まる。
「試合開始します!」
センターサークルの中に海と、黄色のユニフォームの相手『グレイトバード』4番、小田切香穂の2人が入った。
「「よろしく。」」
互いに握手を交わした。そしてジャンプ体勢を構えて、
「たあぁ!」
ジャンプボールへと跳ぶ。
「よし。」
相手17番、若石絵美へ渡った。そしてそのまま、
「良子!」
「ほいさぁ!」
88番、瀬川良子へパス。
「88番のチェックオッケー!」
椎がディフェンスしようとする、その一瞬前に、
「ふっ。」
スリーポイントラインより1メートル離れた所から3Pシュートを放った。
「えっ!?」
椎の驚きの声と同時にネットを絡ませながらリングに入った。
「よーし、ナイシュー!」
相手チームが開始早々の3点で湧き上がっている。
それに対してレッドドライバーは呆然としていて3秒ぐらい、普段冷静な恵も、動かなかった。
はっと意識を戻して、
「一本確実に取っていこう。」
恵がみんなに指示する。椎と2人で運んでハーフラインを過ぎた途端、
相手が2人がけのプレスディフェンスをしてきた。
「うっ、苦しい。」
恵はボールを取られないようピボットを駆使していく。
「恵、ボールくれ!」
フリーとなった香へパスが出される。
そのままシュートを打とうとしたが、相手4番、身長が180はある、がブロックしに来た。
フェイクで交わし中へドライブしていく。エンドライン沿いにドライブしてカバーディフェンスが来ないようにする。そしてゴール下にいる海へパスして2点取ろうとしたが、
「ていっ!」
どういう訳か17番にスティールされてしまった。
「はあぁ?」
香が疑問の声を挙げる。17番は今まで逆サイドで遥のディフェンスをしていたのではないか?
17番がいままでいた場所とゴール下は3メートルぐらいある。
この距離でどうやってパスに対して反射して、しかも奪い取れるのか?
...やっぱり決勝戦ともなると格が違げぇんだな。
改めて相手チーム『グレイトバード』の凄さを思い知った香だった。
「香穂ー!」「おう。」
相手がわずか2秒でフロントコートまでボールを運んでしまった。
「はい!」
88番良子がまたスリーポイントラインでパスを受ける。
「同じ事2度もさせっかよ!」
椎がブロックに跳ぶ。しかし交わされてしまい、香の戻りが遅いためフリーな50番、倉谷和美にゴール近くでシュートされてしまった。
慌てて戻ってきた香がチェックした時にはシュートが入った後だった。
「くそっ。」
床を足で踏み鳴らした。
試合開始から悪い流れのままになっていることに対してイライラが溜まっていたのがつい表に出てしまった。
「香、ドンマイだって。」
遥や恵が声をかけた。
「やっぱり強えぇな。」
そう言って前へ走っていく。
「一本、取り返していこう!」
恵が自分たちのペースを立て直す。
相手のディフェンスはやっぱり強い、どこもパスが通るようなところがなかなか見つからない。
すると香が、倉谷を背にしてポストプレーのポジションを取った。
「中、パス!」
あまりの大声に一瞬固まったがなんとかパスが入った。
もらってから、力強くドリブルしながら相手を無理矢理押し込んでいく。
ゴール近くまで押し込んでから素早く右足を軸にしてターン。そのまま相手をねじ込む形でシュートを打とうとする。
しかし今回は相手もデカい。
香がシュートしようとするボールと倉谷の右手が触れあった、だれもがブロックされると思った。
ベンチにいた優も思った。
触れた瞬間に残像を残すぐらいのスピードでボールを下げ、右手にボールを持ち、そのままかいくぐるかのようにループショットを放った。
同時に2人の体がぶつかりあってファールが起きた。
「ぐお!」
香は倒れながら、ボールがリングを通過するのを見た。
バスケットカウント、この試合初得点。
「ふう。」
香はフリースローボールをもらって一呼吸、さらに一呼吸ついて、打った!
「リバウンドォ!」
相手チームの声が響くが、意味無かった。
当然のように入った、3点プレイ。
「うっし、お返しが出来たぜ。」
ここからレッドドライバー、本調子発動!
執筆終わったのに、なかなかサブタイトルが決まらないから投稿できない(汗