「シオカラ節」誕生の経緯(1)
まず初めに、「シオカラ節」とは何なのか、どういう経緯で生まれたのかをご説明致します。
そもそもの発端と致しましては、あるTwitterでの発言が元になります。
私は当時Twitterで読書アカウントを作成しておりました。
作成したきっかけと致しましては、当初は読書について色々世間様から情報を得たいという陳腐な理由ではあり、勿論、この時点では昨今お騒がせしているあの悪魔的所業など思いつきもしませんでした。
しかしながら、純粋に読書好きと繋がるつもりが、勢い余って自称web小説家の方をフォローしてしまったのが皆様の不幸の始まりでした。
私も所謂「なろう」小説と呼ばれるインターネット小説の存在は把握していたものの、実は読んだことはありませんでした。
そこで、フォローのリプライが来た方から態々読んで欲しいとの返事が来たので、プロフィールのリンクを参照し、初めて「小説家になろう」で小説を読んだのです。
それまでは所謂「なろう」系と呼ばれる作品についてネット等で賛否両論が巻き起こっているのは認知しておりましたが、改めて読んでみて初めてその意味するところの一端を理解したのであります。
しかし、当時の私は、拙くも自分の面白いと思うモノを自由に表現する貴方方を概ね好意的に捉えていました。
いや、失礼。
全くの大嘘でございます。
私のTwitterをご覧頂いた方には一目瞭然でしょうが、私は当初ネカマを気取って自称ネット小説家の皆様から自薦の作品を募る旨のツイートを繰り返しておりました。
しかし、この段階では現在のような批評染みた活動を行うことは考えたこともなく、唯の『釣り』の感覚で、集まったツイートを眺めては、推薦してくれた方には大変申し訳無いのですが、
「つまんねえなぁ」
と一人ごちるだけでありました。
この時点で既に「荒らし」の素養があったのも首肯せざるを得ません。
その根底には昨今のライト文芸に対する不満がマグマの様に沸々と溜まっていたのですが、幾ら私のような取るに足らない俗物であっても分別だけは弁えていたので、皆様なりに心血を注がれた作品を「つまらん」と一蹴するという底意地の悪い行いには未だ至らず、集まった自己顕示欲の塊をちらちらと見遣っては、矮小なニヒリズムめいた穢らわしい微笑を浮べるだけではあったのです。
しかし、そんな日々を過ごす内に、どうにも我慢ならない出来事が起こってしまったのでありました。
ある日、在宅の暇つぶしで自称ネット小説家の皆様のツイートをタイムライン上で流し読みしていたところ、こんなツイートが出てきました。
「以前、小説家になろうで感想を書いたところ、『勝手に感想書かないでください』と言われました。
感想を書くのって迷惑ですか?」
これには多くの反響が寄せられており、しかもその大半が、投稿主の女子を擁護するものでありました。
「その人がおかしいだけです」
「感想が迷惑だなんでとんでもない!」
「変な人に当たりましたね、大半の作者は感想を貰ったら嬉しいものです」
中には、こんな殊勝な発言をする作者様もいらっしゃいました。
「たとえ批評であったとしても感想は励みになります」
この一連の流れを見て、この方達には一つ大きな視点が欠落していることに気付きました。
そう、書かれた作者側の視点が見落とされていたのです。
このチクリにも似たツイートについて、作者側を偏屈で他者の好意を無碍にする唐変木として一方的に断罪し、感想を書いたであろうツイート主の小娘については何ら落ち度が無いのが前提として話が進められていたことこそが、私の中で大いなる矛盾を生んだのです。
それなのに、件の作者を糾弾する自称web小説家の何たる多かったことか!
中でも多かったのは、
「自分なら感想を貰ったら嬉しい」
という意見。
一見真っ当そうにみえるのがまたタチの悪い弁で、要するに、自分の物差しでしか考えていない、ということなのです。
件の作者様がどういう感想を貰ったか、もしそれが客観的に見て至極普通の感想だったとしても、
『勝手に感想を書かないでください』
という作者の言葉に勝る真実はないのです。
そして、アマチュア文壇において作者が嫌がっているという事実があるなら、それを断罪する権利など誰にもありはしないと思えてならないのです。
そこに言及せずにサークルの姫をよしよしするのは側から見て率直に申し上げると、邪推をしたくなるほど極めて異常に映りました。
ただ、当事者の一人である件の女史については、一歩譲ってまだ酌量の余地があります。
Twitterというアプリの特性上、女史はあくまで呟いただけなのですから。
とは言っても、シオカラ節の被害者が傷を舐め合うべくTwitterで窮状を訴え、それによりPV数が急激に伸びているのを見て、
「私も被害者面してツイートしたら閲覧数伸びるかな」
と、自らの行動を棚に上げ、皮肉めいた呟きをしてはおりましたが。