ゴールデンウィーク
ゴールデンウィーク初日、俺は10時に目が覚めた。
予定のない学生の休日なんてこんなもんだろう。
今日はお姉ちゃんと一緒に宿題をして遊ぶという計画をたてている。俺は顔を洗うとリビングにでた。
プクーっと頬を膨らませた。可愛らしい小さい女の子が待っていた。もちろんお姉ちゃんだ。
「りょーくん遅い…」
むーっと、お姉ちゃんは怒っていた。
「ごめんごめん。普段のくせでついつい。」
「罰としてお昼ご飯は、カレーライスのカレー抜き…」
「それ、ただのお米じゃん!」
「お米は単体でも美味しい…」
「どうか!ルーを!ルーをお恵みください。」
俺が必死に頼むとお姉ちゃんは「ふんっ」と可愛らしくいって
「りょーくん次第です。」
と譲歩してもらった。これは頑張るしかない!
「りょーくん次第で、塩がかけれます…」
「塩かい!」
午前中から楽しく話していた。ちなみにりょーくんおは俺のことである。「りょくと」とは言いにくいらしく、りょーくんと呼ぶことになった。
俺達は早速宿題に取り掛かることにした。
宿題をやり始め1時間と少し経った、お昼前でだんだんお腹空いてきて集中力が切れだした。
ふとお姉ちゃんの方から視線を感じたので、そちらを向くと
「じーっ。」と俺の方を見ていた。
「どうしたの?お姉ちゃん」
「わからないところあったら言ってね。」
「うん、ありがとう。お姉ちゃんも自分の作業に集中していいよ?」
「問題ない。終わった。」
「ええ、まだ1時間半しか経ってないよ?俺、5時間は使いそうなんだけど…」
「お姉ちゃんは、弟より頭いい…」
「お姉ちゃん頭良かったの!?」
お姉ちゃんはムッとなった。
「小さいから馬鹿にしてた…?」
「いいえ、全く考えたこともありません。とても美しい顔をしていらっしゃるので頭脳明晰だと思ってました。」
これ以上、お昼ご飯にペナルティを課せられるのはたまったもんじゃないので、褒めて照れさせて話を逸らす作戦へとでる。
するとお姉ちゃんは顔を桃色にして俯いた。
「でも、カレーライス、ご飯とカレー抜き塩あり…」
「あれ?俺のお昼塩だけになってない?」
「人間、塩分と水分さえとればしばらく持つ…」
「恐ろしいこと言ってる…」
その後きりのいい所で宿題を一旦終え、俺達は昼食をとることにした。
優しいお姉ちゃんは、何だかんだでカレーライスに唐揚げをトッピングしてくれた。
最初はからかって塩だけの乗った皿を持ってきたのだが、俺が戸惑ってる様子を見て楽しそうに笑ったあとちゃんとしたカレーライスを持ってきてくれた。
からかわれた反撃で、「イタズラして笑ってるお姉ちゃんちっさ可愛くて妹ができたみたいだった。」と言うとお姉ちゃんは、頬を膨らませてカレーライスの上に乗っている唐揚げをさらっていった。
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「はっはっは、お姉ちゃん。残念だったな!喰らえ、ウルトラアルティメット必殺技!10捨て3枚からの※都落ち!」
「ひどい。信じてたのに…りょーくんはずっと大貧民だって…」
「え、そんなこと思ってたの?お姉ちゃんの方がひどくない?」
「お姉ちゃんは最強。」
「都落ちしたけどね!」
「夕飯抜き…」
「全部抜かれた!」
食事をしたあとの午後、[大貧民オンライン]というスマホアプリゲームで、俺とお姉ちゃんは大貧民(大富豪)をしていた。アプリには5個ハートがあり、1回遊ぶとハートが1つ消え、5分に1つハートが回復する。俺とお姉ちゃんは5個と回復分で7回戦った。
結果は恥ずかしながら、お姉ちゃんは大富豪6回で最後は大貧民。俺は大貧民6回で最後に大富豪になった。2人とも富豪と貧民にはノータッチの結果となった。
その後もいろんな遊びをした。
ジェンガ
「お風呂のお湯抜き」
「ええ、シャワーだけ!?」
マ〇オカート
「敷布団、マットレス抜き」
「掛け布団あるなら余裕だぜ!」
UNO
「掛け布団、枕抜き、タオルケットだけ」
「何その優しさ!?」
と俺がからかったり、勝負に負けたりしてお姉ちゃんにいろいろなペナルティを課せられた。
最後にしたのは将棋だった。将棋はかなり得意であったが1時間の死闘の末、お姉ちゃんに負けてしまった。
「最後の罰ゲームは…」
そういうとお姉ちゃんはいきなり顔を真っ赤にして下を向き…
「ひざまくら…」
と言った。
「え?」
膝枕と聞こえた気がしたが、本当にお姉ちゃんがそう言ったのか確証が持てず思わず聞き返してしまった。
「だから、ひざまくらっ!」
お姉ちゃんは耳まで真っ赤にしてそう言った。
「う、うん。わかったよ」
そういうと俺はソファに綺麗に座って、膝をとんとんと叩いた。
お姉ちゃんは頬を膨らませた。
「ぎゃくっ!こういうのはお姉ちゃんがのせる方なの!」
大変ぷんすかしてた。
「わかったって!怒んないで」
「もうっ」
というとお姉ちゃんは俺の隣に座って膝をすっと撫でた。改めて考えると女の子の膝枕は人生初である。やばい…めっちゃ緊張する…。
「おいで?」
お姉ちゃんが頭を載せるように促すので俺はゆっくりと横になり、少し狭くて柔らかいお姉ちゃんの膝に頭を乗せた。
お姉ちゃんは満足そうに、「よしよし、いい子だね」と微笑んで、あまりの居心地の良さに俺はついに眠ってしまった。
目が覚めるとお姉ちゃんが、俺の顔を見つめて頭をゆっくり撫でていた。普段の容姿の幼さとは違う大人っぽさを感じ、俺の眠気は吹き飛んでドキドキした。
なんか恥ずかしくなったので起き上がる。
「お姉ちゃん、今何時?」
「7時半だよ?」
「1時間半も寝てたの?」
「可愛かったよ」
ニコニコとからかいの視線を送ってくるので、もちろん反撃する。
「お姉ちゃんの方が可愛かったよ」
するとお姉ちゃんは顔を真っ赤にして「ご、ご飯用意してくるっ!」と言って去っていった。
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