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黒髪ロリの義姉ができた話。  作者: 天りす
交流合宿編
24/24

お姉ちゃんと肝試し。

なんやかんやでやっと肝試しです。


「思ってたより怖くないか?なんで整備されてない道通るんだよ。」


「本多ビビりすぎ、でも幽霊も怖いけどあたしはイノシシとかでたらどうしようって怖さもある…。」


「ま、前のみんなが大丈夫だったんなら大丈夫だろ」


 雄人と香織と手を繋いだ姪浜さんが話している。

 彩雪姉ちゃんは俺と反対側の手を生徒会長と繋いでいる。初め生徒会長が「身長差見ると私と弟君が夫婦で彩雪が娘みたいじゃないか」とケタケタ笑ってからかっていたが彩雪姉ちゃんは怒る余裕もないようだ。

 先頭を2年生先輩男子3人が歩き、その後ろを西新と本多、前原と姪浜が続いて俺、彩雪姉ちゃん、生徒会長が後ろを歩いている感じだ。もちろん雄人と悠太は近くにいるが手は繋いでいない。懐中電灯は持っているが設置された灯りはないので先に行った組は見えない。


『ぐわぁあああ!』


「「「「きゃぁぁぁぁぁあ」」」」


 山道を歩いていると突然恐ろしい形相をした何者かが現れた。


 香織、姪浜さん、彩雪姉ちゃん、そして雄人が叫ぶ。香織は思わず後ろにいる俺に抱きつきその後ろから香織に姪浜さんがくっついている。雄人は悠太に抱きついた。彩雪姉ちゃんも生徒会長を後ろに寄せつつ俺の後ろに抱きつく。


「お互い嬉しいイベントだね」


 顔は見えないが悠太が爽やかな笑顔で言ってきた、これは絶対爽やかな笑顔だろう。


「香織、彩雪姉ちゃん、姪浜さん。先生だよお面つけた。」


「え?本当だよく見たら百均で見たことあるお面じゃん…」


 姪浜が最初に気づきそれを聞いて香織が我にかえる。


「ご、ごごごめん!」


 香織が顔を真っ赤にして離れた。

 彩雪姉ちゃんも一瞬先生だということに気がついたようだが、まだ俺に抱きついたままだ。


「いや、全く気にしてないよ」

「う、うん、それならいいんだけど…」


 香織はさっきまで怖がってたと思えないほど、物足りない表情をしていたが何か失言だったのだろうか…。


「少しは意識してくれてもいいじゃん…」


「ん?何か言った?」


「何もないよ!」


「はっはっは、青春だな。そしてこんばんは、中洲先生」


「天神君にはバレてしまったか。どうも中洲です。」


 そう言って先生がお面を外す、そこにいたのは古典の中洲先生だ。優しくて授業もわかりやすいベテランのおじちゃん先生だが授業はやはり眠い。


「いやはや、一個前の連中は全く怖がってくれなくてね。驚いてくれて良かったよ」


 中洲先生はそう言っていた。確か前の組は文系なのに理系よりも理系科目の点数がいい理数型文系集団をなのる連中だ。いわく数式は我々と対話する物語だ。と語っており将来は法的な仕事につきたいので法学部志望の文系にいるらしい。部活動として活動しておりたまたま同じクラスで集まったようだ。


「いやー、あの連中が怖がっている所が想像つかねーな」


 一貴山先輩がそう呟く。確かにまだ入学して一月と半分くらいだが彼らの表情を真顔かドヤ顔以外見たことがない。


「それでは足元に気をつけて行ってきなさい。」


 俺達はまた山道を歩く。

 しばらくたった頃だった。


「お父さん…お母さん…どこ?私寂しいよ…」


 森の中からそんな少女の声が聞こえた。


「無理無理無理無理、さっきの話のやつじゃん2人以上いたら来ないんじゃなかったの?」


「み、みんな聞こえてるよね、私だけじゃないんだよね!」


 姪浜さんと香織が抱きたあって言っている。


「り、緑斗…雄人が気絶した…」


「ええ…」


「りょーくん…だっこ…」


 彩雪姉ちゃんは人前とは思えないくらい甘えだした。


「彩雪姉ちゃん…だっこはちょっと…。」


「うう…おんぶ…」


「わ、わかった。」


 俺は彩雪姉ちゃんを背中に乗せた。


「この声は川端先生かな?あんな声出せるんだなすごいものだ。」


 すると茂みから川端先生がでてきた。川端先生はクール系美人で大人の女性って感じなのだが、性格は男勝りで男女ともに人気がある。生徒会長顧問でもあり、教科は英語だ。


「いいねえ、この班。脅かし甲斐があるじゃねーか。天神はつまらんがな。」


「はは、先生、私を脅かすには甘いですよ。」


「ちっ、つまんねーやつ、まぁいいや、西新。本多を貸せ先生がひとつ横の整備された道にとめてる車で連れて帰るから」


「先生重いですよ?」


 西新の運ぶのを手伝うという申し出に「問題ない」と答えた先生は雄人を片手で軽々と持ち上げ肩に担いた。


「お前らはこの後すぐにお風呂に行かないといけねーんだからさっさと行け」


 川端先生はそう言って去っていったので俺達は前に進むことにした。


「こ、怖かった…あれは反則だよ…あたしおしっこ漏らしそうだった…」


「み、美希!?」


 直々思っていたが姪浜は香織レベルの怖がりのようだ。


 そのまましばらく道を進むと、遠くの方に灯りが見えてきた。もうすぐゴールのようだ。

 みんなも慣れてきたのか雑談をするようになった。


「パパ…ママ…」


 背後から突然そんな声が聞こえた。その声に反応して振り向いたのは俺と彩雪姉ちゃんと生徒会長だ。前の6人はどうしたの?って感じで俺たちを見てくる。


「なぁ、今声聞こえなかった?」


「え、聞こえてないけど…」


「何怖いこと言い出すの、美咲もあたしを怖がらせる気なの?」


「私も聞こえたぞ」


 生徒会長が言った。


「りょーくん…わたしも…怖い…」


 お姉ちゃんが俺を掴む力を強める…。


「川端先生が本気で怖がらせにきたんじゃないのか?」


「そうだね。僕もそう思うよ。」


 一貴山先輩と福岡先輩がそう結論づける。


「だ、だよね…。」


 雑談する雰囲気でもなくなったので足早に合宿場へと戻った。


 みんなのいる場所に無事に戻れたことにより安心した俺だったが、目の前で生徒会長が青い顔をしている。


「生徒会長どうしたんですか?」


 俺が生徒会長に尋ねると生徒会長は合宿場の1階のロビーを指さす。


 そこにいたのは、長椅子に横たわっている雄人と川端先生だ。


 俺と背中から降りた彩雪姉ちゃん、そして生徒会長はすぐに室見先生の元へ向かった。


「せ、先生。脅かしの先生って中洲先生と川端先生の2人だけですか?」


「そうだ。怖かったか?」


「は、はい…」


「真っ青だな。先生達に伝えておこう。喜ぶぞ」


 室見先生は脅かし役の先生は2人と言っている。







 つまり最後に3人が聞いた声は…。








 ゾッとする体験だった。なるほど実際に体験すると確かに怖い…。



 余談だが、この後彩雪姉ちゃんが全然離れなくて苦労した。

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