義姉との1日目
「……よろしく…。」
彼女は俺から目線を微妙にそらし、そう挨拶した。
「俺は緑斗っていいます。よろしくお願いします。」
俺がそう告げると彼女はコクっと頷いて「彩雪お姉ちゃんです…」と顔を桃に染めて言った。それをみた俺は不覚にもドキリとしてしまった。自分をお姉ちゃんと呼んでるところがとても可愛らしかった。
「えっと、夕飯どうする?」
会話が終わってしまい気まずくなった俺はそう切り出した。これから一緒に過ごしていく以上仲良くなった方がいいことには違いない。
「わ、私が作る…。」
お姉ちゃんはそういうと、台所へと向かった。
「俺も手伝おうか?」
「だ、大丈夫。何が好き?」
「今日はオムライスが食べたいかな。」
冷蔵庫の中身を知っていた俺は、そう答えた。
お姉ちゃんは嬉しそうに「うん…作るね。」とはにかんだ。
俺はリビングで姉の料理を待っているとしばらくしてチキンライスが完成したのかいい匂いがしてきた。
時間はそんなに経っていないのでかなりの手際のようだ。
それからまたしばらくすると、オムライスの乗った皿を両手に持ったお姉ちゃんがやってきた。
「できたよ…」
緊張した面持ちのお姉ちゃんは皿をテーブルの上においた。
皿の上にある卵の上にはケチャップがかかっていたのだが、そこに「あねです」と書いてあった。
それを見た俺はなんだか嬉しくなり、「ありがとう。お姉ちゃん」と言うと、姉はまた頬を桃に染めて俯きとても嬉しそうな顔をしていた。
「妹じゃないからね…」
小さな声でそういってるのが、聞こえた。見た目が幼いのがコンプレックスなのかなって思った俺は、そこには触れなかった。
「おいしそう、いただきます。」
そういうと俺はオムライスをスプーンでつつき口に運んだ卵は俗に言うふわとろだ。なかのチキンライスも鶏肉の旨みが効いていてとても美味しかった。
「美味しい…」
あまりの美味しさに無意識に口から感想をだしてしまった。
それを聞いたお姉ちゃんは「良かった…」と言って自分のオムライスに手を付け出した。
何このめっちゃ可愛い生き物はと思った。
「こんなに料理が上手なお姉ちゃんができて嬉しい。」
そう絶賛すると。
「いつも、自分で作ってたから…」
と、そうお姉ちゃんは言った。
「俺も、自分で作ってたからお姉ちゃんほどじゃないけど、今度は俺が作るね」
そういうとお姉ちゃんは目を輝かせて
「うん、楽しみ…」
えへへ、と言いながらとても嬉しそうにしているお姉ちゃんと、俺はそれからしばらく仲良く話した。
話の内容をまとめると、お姉ちゃんは普段人見知りであまり自分から話さないけどお姉ちゃんだから頑張ろうと思って俺と話した。高校へは明日から転校してくるらしい。という他愛もない話だ。
食事が終わり、お姉ちゃんが食器を片付けている間、俺はお風呂を掃除していた。最初は不安だったがお姉ちゃんは俺と仲良くしたいと思ってくれていることがわかりとても嬉しかった。
「お姉ちゃん、お風呂沸かしておいたから、お先にどうぞ」
「ありがとう…覗いちゃメだよ…」
神様可愛すぎる姉をありがとうございます。
俺はダメのことをメという姉に悶絶しかけながらそう思うのであった。
「覗かないよ!」
と笑うと
「ほんと?」
とからかいの視線を送ってくるお姉ちゃん。
「ほら、行った行った」
と背中を押すと、お姉ちゃんは、むー。と言いながらお風呂へと入っていった。
見た目は幼いけど、俺の姉で、とても張り切っている様子に癒された。
俺はかなりの幸せものなのかもしれないと、はやくも姉にデレデレになっていた。
いけないいけないと思い俺は自分に喝をいれた。
この喝が全くはいってなかったのはまた別の話である。
お姉ちゃんがお風呂から上がってくる音がしてしばらくすると2階にある俺の部屋のドアがノックされた。
「はーい。」
俺が、そう応えてドアを開けると、髪が湿り妙に色っぽいお姉ちゃんにドキリとした。
お姉ちゃんは「お風呂…あいたよ?」と言うと、向かいの自室へと戻って行った。
お姉ちゃんとの1日目はこんな感じで幕を閉じたのであった。
短いですが、初日のコンタクトはこんな感じです。アドバイス、要望等あれば、コメントお願いします。日に日に仲良くして行きます。