合宿の班
新キャラ3人の登場です。
6限目が始まり、担任の室見先生が教室に入ってきた。室見先生は体格のいい体育教師だ。怒ると怖いがいい先生である。
「おーい、お前ら、楽しい楽しい合宿の話はじめっぞー。」
そういうと室見先生は合宿の概要について話し出した。
ざっくり説明するとこんな感じだ。
〇1年生と2年生の合同班で協力し合い行動する。
〇文系クラスが前半山で後半海。(我が校では1〜4組)
〇理系クラスが前半海で後半山。(我が校では5〜8組)
〇2日目の午後に文系と理系はそれぞれの場所を入れ替わる。
〇部屋は1、2年(もちろん男女も)別。
〇スケジュールはパンフレット参照。(イベント多数あり。)
今から俺たちに必要なことは同クラスでの班を作ることである。男3女2、もしくは女3男2で班を組むことになった。
「じゃあ、班の組み方はお前らに任せる。決まったら俺に報告しに来い。」
先生の合図で教室はざわざわと班を作り出す。
「りょーくーとぉー!俺と組もうぜ!」
雄人が俺に声をかけてきた。
「わるい、パス」
「なーんーでーだぁよーぉ!どぉしてなんだぁぁあ」
藤原〇也かよ。
「何か気持ち悪かったから」
「ひでぇな」
「まぁいいよ、残りの人達どうする?」
「どうすっかな」
俺達は当たりを見回す。それぞれの生徒が同じ班になりたい人同士で固まっているようだ。
「あの…緑斗くん、私達2人を入れてくれないかな?」
香織がいつも香織と仲のいい姪浜さんを連れて俺に声をかけてきた。彼女、姪浜美希はバレー部でボブカットのボーイッシュな女の子だ。顔立ちも整っていて男子にも人気だが、それ以上に女子からの人気が高い。
先程、香織と姪浜さんのペアはたくさん勧誘されていたはずだ。
「お、香織、いいの?」
「うん、緑斗くんと本多くんの方が気分が楽だしね」
「わかるわかる。他の男子はめっちゃ構ってくるから大変。」
香織に姪浜さんも同意する。
「前原達が入るのはいいけどよ、お前らいつの間に下の名前で呼び合うようになったんだ?」
雄人そう言ってニヤリと笑う。
「それそれ、確かに!あたしも思った!ねぇねぇ香織ちゃん、気分が楽以外の目的があったりしてー」
姪浜もニヤニヤと香織の横腹をつつく。
「そ、そそそんなことないよ?!」
香織は顔を真っ赤にして目に見えるように慌てていた。
「何があったんだよ〜」
雄人も俺の肩を揺さぶってくる。
「何も無いよ!」
雄人が鬱陶しくなった俺はそう言うと、香織は少し悲しい顔をして、さらにそれをみた姪浜と雄人は「ハハーン」という顔をした。
「そんなことより班どうする?あと男子か女子1人欲しいところなんだけど?」
「なぁ美咲、俺もその班に入れてくれないか?」
声をかけて来たのは学年の王子様、西新悠太である。意外な客に俺達は驚いた。西新悠太は金髪なのにまったくチャラさを感じずスポーツ万能、学力も県内トップの物語の世界から引っ張ってきたようなやつだ。
「もちろん、いいけどみんなは?」
「おい俺は全然いいけど、緑斗、俺の時と対応全然違うじゃないか」
雄人は俺の肩に手を乗せて体重をかける。
「うん、私も大丈夫だよ」
「あたしも」
「みんなおっけーだって。じゃあよろしくな西新」
「あぁ、ありがとう」
西新が一瞬暗い顔になっていたのが気になったが、俺達の班はこれで完成した。
その後先生に報告に行くと、残り時間少ないから班ごとで自己紹介でもしてろと言われ、とりあえず自己紹介をした俺達はすぐに雑談をはじめた。
まぁ、雄人と姪浜のコンビが俺と香織をからかい、西新が笑うといった感じだ。それなりに楽しく、6限はすぐに終わった。
時々、西新の目が怖かったのが気になった。よく噂で西新は香織のことが好きだと聞いたが、それが原因だろうか?
西新と香織、美男美女でお似合いだ。でも2人が付き合うとなると複雑な気持ちだ。なぜだかはわからないがあまりいい気分じゃない。
そんなことを考えていると帰宅する時間になった。
「なぁ」
声をかけてきたのは、西新だった。
「ちょっと話がある、人目につかないところがいい」
西新は「ついてきて。」と言って歩いていった。俺は何がなんだかわからず、お姉ちゃんに遅くなると連絡を入れて、とりあえず西新について行った。
連れられたのは誰もいない体育館裏。西新は一呼吸すると俺を見た。
「なぁ、美咲は前原のことが好きなのか?」
その言葉が俺に緊張感を走らせる。
「ううん、魅力的だけど俺にはもったいない相手だと思う。」
思っていることを素直に伝えた。
「そうか。」
俺の返事を聞くと西新は安堵の表情を見せた。
やはり西新は香織が好きなのだろうか。
「美咲、お前にお願いがある。」
西新は真剣な表情で俺を見つめた。
「う、うん。俺で良ければ…」
そう返すと西新は深呼吸をした。
「お前と前原を応援する!だから俺の本多への思いを応援してくれ!俺は本多雄人が好きだ!」
「ええええええええええええええええええ!」
今年1番驚いた出来事だった。
お姉ちゃん不足…次回はかわいいお姉ちゃんでます。そして衝撃の西新悠太。
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