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第39話「なんかムカつきました」

 ベンとエミリィ達が隠れている地点まで戻ると──。


(やばい!?)

 サッと物陰に隠れるビィト。

 視線の先には、近くをスケルトンローマーが数体ウロウロしていた。

 やはりここはスケルトンローマーの行動範囲だったらしい。


 ここに戻るまではビィトが殲滅したこともありエンカウントは全くなかったが、別の地点からこいつらは流れて来たのだろう。


 あまり鋭い感覚器を備えていないらしく、未だエミリィ達の隠れている偽装網には気付いていないようだが、なんらかの兆候は感じているらしい。


 去るでもなく、戦うでもなく──ウ~ロウロ……。


 一方で、エミリィ達の隠れる繁みのような偽装網は、なんというか、少女とオッサンが籠るには余りに狭いソレ。


 くそぉ!

 あのロリコンがぁぁ!!


 だが、今更どうすることもできずに、ここにエミリィを残してきたことを後悔する。

 そしれその苛立ちを──。


「退けよ!!」


 バシュ、バシュバシュ!!


 石礫いしつぶてを立て続けにスケルトンローマーに放つ。


「コカカッカカカカ──かぱぁっ!」



 ギギギギギギギギギ──!!



退け、せろ! 消えろ!!」

 

 石礫の連続射撃!

 


 ガラガラカラカラカラ~……──。

 


「これで全部!」

「お兄ちゃん、後ろ!」


 突然にエミリィの声。

 慌てて振り返ると骸骨面がそこに!


 うお!


「く! 間に合わな──」


 ビシュ! ──パカァァン!


 槍を構えたスケルトンローマーに突かれようとしていたその瞬間、奴の頭部が弾け飛ぶ。

 見ればエミリィがスリングショットを構えてボルト弾を発射していた。



「あ、ありがとう……」



 思わず口をついて礼を言う。

 そして、気になっていたのだが……エミリィはちゃんと服を着ていたし、おかしな様子はなかった。


 一方でベンは──。


「おせぇぞ!!」


 何故か半裸で──顔じゅうらしている。

 物凄い不満顔だ。


「ベン──」


 その姿に不埒ふらちなものを感じたビィトは、ベンに詰めよるが、


「くっせ! 何だお前!? 近づくなっ」

「う……お兄ちゃん凄い匂い……!」


 ベンとエミリィが同時に鼻を押さえる。


 え?


「お前……ゾンビの内臓被ったような匂いしてるぞ!」

「おええええ……」

 ビチャビチャとエミリィが吐き戻す。……ちょっとショック。っていうかこの子色々出すねホント。


「あー……ごめん。グールと戦闘になって──それで……」

 経緯を簡単に説明すると、ベンは呆れ顔。エミリィはゲーゲー吐いている。


「ったく、俺の奴隷はロクなのがいねぇな!」


 コノッ! と隣でゲーゲー吐いているエミリィを──スパコーン! と、小突くベン。

 止めろと止めようとしたが間に合わず、自分の吐しゃ物に突っ伏すエミリィ。

「うえええ……」

 ドロドロの顔で涙目のエミリィ。

 だがベンは、

「ホント最悪だったぜ……オメェが遅いもんだから──」


 ゴキッと、太い足をエミリィの背中に乗せ、


「このガキの、ノミやらシラミを移されちまった!」


 あーーーーいーーーー!!


 と、全身をボリボリと掻きむしるベン。


 ……半裸の理由はそれらしい。

 なるほど、狭い場所で痒くてたまらないベンと、

 ノミやらシラミを移してしまったため、それをとがめられて、涙ながらに小声で謝るエミリィ。


 ベンの奴、

(女の子に、臭いとか痒いとか言ってやるなよ……)

 

 でもこれで、モゾモゾしていた謎が解けた。

 不埒なことでないと知りホッとする。


 ……なんだ俺──?

 なんでこんなにエミリィのことを気にしてるんだろ……。

 

 タダの奴隷だろ?

 同情して買ってしまっただけの──。


 同じ奴隷でも、解放奴隷の暗殺者リズを少し思い出した。

 彼女に同情したことがあっただろうか?


 ことさら冷たく接したことはないけれども、一線を引いて接していた気がする。


 それを考えると、今の自分がすごい馬鹿に思えてきた。


「はぁ……」

 思わずため息をつくビィトと、

 くせぇくせぇと罵るベン。それに、地面に引き倒されて突っ伏すエミリィ。


 あの様子だと、

 きっと今は……エミリィもビィト以上に酷い匂いをしているだろう。





 ダンジョン内で何やってんだかと言う場面だった。





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