表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コキ使われて追放された元Sランクパーティのお荷物魔術師の成り上がり〜「器用貧乏」の冒険者、最強になる〜  作者: LA軍@呪具師(250万部)アニメ化決定ッ
第1章「なんか追い出されました」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/240

第24話「なんかダンジョンに潜ることになりました」


 ゾロゾロゾロ……


 列をなしてダンジョンに続く入り口に殺到していく冒険者たち。

 その雑踏は、まるで安売り商店に向かう買い物客のようだ。


 しかし、そんな生易しい場所であるはずがなく、

 その先には最強最悪のダンジョン『地獄の釜』があるのだ。


 だが一獲千金を夢見て、

 己の技を磨きに磨いてきた冒険者からすれば、「最強最悪」な~んていう脅し文句なんぞ「箔付け」程度にしか捉えられていない。

 今日も今日とて、どこかで死者が出るのは分かりつつも、ダンジョンを護る衛兵はと言えば、

 感情らしい感情を見せずに、冒険者を整理しながら死地へと送り込んでいく。


 とてもやる気があるようには見えず、

 その顔は事務的そのもの。


 はたから見ていてもわかる。冒険者の顔など覚えても無駄だと言わんばかりだ。

 まーそれはそうだろう……今日、冒険者の顔を覚えても、

 ───明日は帰ってこない。な~んてのは日常茶飯事だ。


 だから、

 街に利益のために、我は、ただただ…命知らずを死地へと送り出す作業員であれ───と決めているらしい。


 とはいえ、彼らも人間。


 まったく冒険者に関心がないかと言えば───そうではない。


「おいっ! さっき入っていったの「豹の槍(パンターランツァ)」の連中だよな?」

「おう。相変わらずの美人コンビ。羨ましいねー」


「───リズたん、ハァハァ」


「そうか? なんか物足りない気がして素通りさせちまったよ」

 ポリポリと頭を掻きながら衛兵はダンジョンの先を覗き込む。

 生暖かい空気が溢れるそこからは、微かに人外の叫び声と、冒険者らしき絶叫が聞こえる。


 おーくわばらくわばら……


「そりゃ、あれだ……ほら、あの足手まといの───」

「ん? 器用貧乏か?」

「そう、そいつだよ! ───なんでもクビにされたらしいぜ」

「っかー…そろそろだと思っていたけど、やっぱりか! ってことはジェイクの野郎が女の子を独り占めかー」


「───リズたん! ハァハァ」


「へへへ、ちげぇねー。奴隷のアサシン一人だけじゃ満足できないってな」

「いやいや、あの聖職者ともヨロシクやってるってもっばらの噂だぜ」


 ゲハハハハハ! と下卑た笑いを上げる衛兵の前に、


 ず~ん、立ち塞がる大男、

「冒険者パーティ「奴隷の輪(スレイブニール)」だ。通るぜ」

 ぬぅ、っと現れたのは、禿げた中年の冒険者。

 そいつが衛兵の前に立つ。


「うぉ───……べ、ベンか!?」

「ゲ…………って。おいおい、もう奴隷の補充終わったのかよ」


「リズたんー!! ハァハァ」


「「うるせぇ!」」


 そう、ベンもなんだかんだ言ってここいらではとても有名だ。

 事務的な対応をしている衛兵をして顔を覚えるほどには……


 もっとも、

 パーティとはいえ──ベンのそれは毎回メンバーが変わる。

 だが、逆にそれが異様でもあり、畏怖のそれでもあった。


「んだぁ? てめぇらに関係ないだろうが」

 ほら退けよ。と───、衛兵を無造作に押し退けると、ベンは先頭に立ってズンズンと進んでいく。

 その後を、暗~い顔をした二人の奴隷が付いていった。


 一人は───


「え? あれって……き、器用貧乏?」

 衛兵の呟きを聞きつけたビィトが顔をあげて見返してくるが、その目には覇気がない。

 その後ろに従うのは、簡素な装備を身に着けた小汚い少女。


 何を言うでもなく、ビィトは鎖を曳かれて馬のように様にベンについていくしかできない……

 しかして、その姿を衛兵は茫然と見送るだけだった。


 …………


 ……


「なにがどうなってんだ?」

「さぁぁっぱり?」


「リズたそ───」「「うるっせぇ!!」」






 街での噂もすぐにここに伝わってくるのだろうが、今日……今、この瞬間には、ビィトの処遇はまだ衛兵には知れていなかった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お読みいただき、ありがとうございます!


⇧ の『☆☆☆☆☆』評価欄 ⇧にて


『★×5個』で、応援いただけると嬉しいです!



新作だよ!
⬇️ 新作 ⬇️

異世界サルーン
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ