◆第12話◆「なんだかなぁ、なんでアンタがでるんだよ?(後編)」
「で、対策は?」
『はい。ギルド側で即座に委員会を設置しました。今は、ダンジョンの入り口を一時的に封鎖し、よほどの依頼や任務でもない限り、通行を制限しています。───同時に、旧王国出身の冒険者を尋問しており……』
テリスは一気に言った。
だが、ジェイクはフンッと鼻で笑うと、
「───ほう? 連中の食料を絶つわけか。……その効果が出るまでには、数か月はかかりそうだがなッ!」
外部から人員と食料が届かなければ「鉄の拳」の連中は干上がるだろう。
「悪鬼の牙城」自体は、資源が乏しい派生ダンジョンだ。
近隣の、資源が取れる派生ダンジョンに人を派遣して補給をするとも考えられるが、「鉄の拳」の人員が旧王国の特殊部隊ならば、あまり近辺の地理に明るいとは思えない。
Aランク「鉄の拳」所属の、元々の人員ならば多少は詳しいかもしれないが、いずれにしても非効率的だ。
ならば、いずれは連中の物資も徐々に先細りしていくだろう。
だが、連中は救助に来た冒険者の物資をも相当数、鹵獲している。
つまり、未だ物資は潤沢に違いない。
一方でビィト達の物資には限りがある。
ビィトが持ち込んだ物資は大半が失われ、途中で「鉄の拳」から奪った物資のみしかない。
『───えぇ。わかっています。わかっています!!……ですから、再度救助隊を編成しました。このダンジョン「地獄の釜」の地理に明るく、そして、最近Sランクに昇格したばかりで───現状ではSランクの「豹の槍」に次ぐ実力をもったパーティを送りました!』
べ、別のSランクパーティ?!
「豹の槍」以外にも、Sランクに昇格したパーティがあったのか……。
「…………………ほう?? 新進気鋭のSランクさまのそいつ等が救助にねぇ。───で、それはいつになる?」
別にテリスが悪いわけでもないだろうに、ジェイクの口調は詰るようなものだった。
『そ、それは…………。ですが、かなりの強者で編成されたパーティです。私個人的には、決して好きというわけではありませんが…………実力は本物です』
ふん、とジェイクが鼻を鳴らす。
「あーあー。もういい。ロクな対抗手段がないことだけは分かった。そいつ等を待って、こっちが干からびるのを待つ趣味はない。……俺の不手際でもあるからな。自分のケツは自分で拭うさ───」
そう言って、ジェイクは一方的に通信を遮断した。
『ちょ、ちょっと待ってください、ジェイクさん! Sランクパーティは───』
ブツ……!!
ツーーーーー………………。