★第87話★「なんてこった、殺す気かッ!」
「「ふげらぁぁぁあああああああああ!」」
バッキィィィィィイイイイイン!!
と、リスティに殴り抜かれる二人───。
ギュルギュルと物凄い回転のまま、二人が絡まった状態で窓の外に投げ出される。
そりゃあ、リスティは高位神官で、戦闘職ではない。
ないけども───腐ってもSランクパーティのメンバーだ。
そうとも。
あーみえても、リスティの膂力は並み以上ッ……!
ヘロヘロの二人を殴り抜き、窓から湖にぶっ飛ばすことなど造作もない。
って、
「「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」
抱き合う二人が絶叫しながら、地底湖に!!!
あのアリゲーターフィッシュが、たっっっぷりといる地獄の湖にだ!
「くーーーーーーーーーー」
「わーーーーーーーーーー」
「れーーーーーーーーーー」
「るーーーーーーーーーー」
「「ぅぅう!!!!!!」」
仲良く、高速回転で錐もみ状態の二人は、互いに絡み合いまっ逆さまに湖へ!
そこに、今か今かと待ち構えていたアリゲーターフィッシュが、ザバァァァァァアアン!! と水中から飛び出し二人に食らいつかんとする。
「ひぃぃいい!!」
「そっちだぁぁ!」
ガバァ!! と開いた口に対して、ビィトとジェイクが「「はぃぃい!」」と息を合わせて、足をアリゲーターフィッシュの上顎と下顎に当てて踏ん張る。
これを閉じられたら終わりだ!!
「ぐおおおおおおおおお!!」
「うひぃぃぃぃいいいい!!」
ダラダラと汗を流して、耐える耐える!!
まだ、こんなに力が出せるのかと驚くほ
程に───!
「びぃ、ビいいいいト! ま、魔法だ!!」
「は? え? この状況で何をどうしろって?!」
そんな都合のいい魔法があるか、アホ!
「バッカ! この間抜けがぁあ!!! 凍らせろ!! 今すぐ凍らせろ!! とっとと湖ごと凍らせまくれ!!」
そ、そうか!!
「お、おう! 任せろ──……手を貸せ!」
姿勢を少し入れ替えて、ジェイクに体を預けるようにして、両手を自由にすると───「氷塊」!!
「い、いいぞ! 凍ってる! 効いてる! やれ! 撃て、撃ちまくれぇぇぇ!!」
「お、おおおおおお!!」
久しぶりに聞くジェイクの指示に、ビィトは馴染み深さを感じつつも、氷塊を乱射しまくる!!
ズドドドドドドドドドド!!! と、撃ち込まれるたびに水が凍って行き、深い湖の上にアリゲーターフィッシュの氷像と不安定に揺れる氷山の様なものを作り上げた。
「うおおお……」
「し、死ぬかと思った───」
ガクガク震える二人は、ギロリと上を見上げ、
「クソアマ!」
「バカ妹!!」
「おめーらが、一番バカだよ」
と冷たい視線で見下ろされたとか、見下ろされなかったとか──────。
 




