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第20話「なんか疲れました」

 奴隷使い御用達の宿について、開口一番───


「あ!? おいおいおい! なに戻ってきてんだよ!」

 宿に入る直前でベンに遭遇するビィト達。


「何って……クエストなら終わったよ」

「は!? 嘘をつけ……一日で終わるわけないだろうが!」

 ベンは、当てが外れたことにも気づいていないのか、ビィトをどやしつけるのみ。


「ほんとだよ。ほら!」


 バン、と依頼完了報告書と報酬の入った袋をおしつけた。


「んだこりゃ………………マジか!?」


 依頼達成を確認するとベンが驚愕していた。

「おいおい……マジかよ」

「もうわかっただろ。とにかくエミリィを休ませてくれ」


 それだけいうと、ズカズカと部屋に入っていくビィト達。


「ち……ドロップ品はどうした?」

「しらね」


 下手なウソをつけばバレるだろう。

 ならばいっそのこと何も知らぬ存ぜぬで答えたほうがいかもしれない。

「おい! 待てコラ!」

 後ろでベンがギャーすか言っていたが、呪印は無反応。ビィトの態度は反抗には当たらないのだろう。


 多分だが、ドロップ品を巻き上げる行為は命令の範疇外なんだと思う。

 エミリィはこれまでなら、ベンに精神的にも支配されていたがゆえ、大人しくドロップ品を明け渡していたのだろうが……

 本来その権利はエミリィのもので、頑なに拒否をすれば巻き上げられることはなかった可能性がある。

 まぁ、今さらの話ではあるが、ね。

 

 ただ、これからはビィトが体を張ってベンの要求を突っぱねればいいのだ。

 それによってベンにろくでもない待遇に落とされる危険はあるが、ビィトが我慢すれば事足りるはず。


 いまだにベンが宿の外でギャーすか騒いでいるが完全無視だ。


 更なる追及を避けるため、さっさとベンの部屋に上がり込み───奥の奴隷部屋に転がり込んだ。


「はー…疲れた」

「ホントにね…」


 ドサっと小汚い毛布に腰かける。

 ビィトですら疲れたのだ、まだ小さなエミリィならその比ではないだろう。


「もう寝ようか…」

「うん……ベンさん次第かな」


 ベンはビィトの後を追ってこなかった。なんせ、外へ出るついでに出くわしたのだ。

 ビィト達のドロップ品を巻き上げるつもりが、予想に反してできなかった。


 ならば、本来の仕事に精を出すというもの。


 奴隷の売買か、

 ダンジョンの情報収集か、

 ギルドでの職の斡旋受けかは知らないが、


 夜も更けるというこの時間。今から行くというならば、実は───ベンは物凄く働き者なのだろうか?


「いや、考えるまい」

 ふわぁぁぁぁぁ……


 まだ、外からは冒険者達の喧騒けんそうが聞こえてくる。寝るには少々早い時間かもしれないが───


「お休みエミリィ」「おやすみなさい」

 狭い部屋で互いに触れ合うと、エミリィはチョコンを頭をビィトの肩に乗せてきた。


 それもこれも狭い部屋のせいだ!

 そうだ、そうに違いない。


 妙に心臓がどきどきしたが、気にしたら負けだ……負け───




 おやすみ…______







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