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コキ使われて追放された元Sランクパーティのお荷物魔術師の成り上がり〜「器用貧乏」の冒険者、最強になる〜  作者: LA軍@呪具師(250万部)アニメ化決定ッ
第3章「なんてこった、仮免許でダンジョン」

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第57話「なんてこった、門番だ(前編)!」

「てめぇら……! ただで済むと思うなよぉぉお!!」


 ビィトとエミリィが牙城内へ進むとき、背後から怒鳴り声が響く。

 振り返らずともわかる。


 ビィトが倒した「鉄の拳(アイアンフィスト)」のリーダーが意識を取り戻していたのだ。


 ほとんど捨て台詞だろうが、あまりいい気分ではない。


 だが、エミリィには気に障ったらしく、(襲われそうになった手前当然なのだが……)──嫌悪感丸出しで「あっかんべー」と挑発している。

 

 って、君ぃ……。

 エミリィちゃんが舌出しても可愛いだけだよ?


「相手にしなくていいよ。あいつらはもう終わりさ──」


 ビィトか、あるいは「豹の槍(パンターランツァ)」の面々が地上に戻って報告すれば彼らに居場所はなくなる。

 すぐに指名手配され、ダンジョンから上がった瞬間に『御用』となるわけだ。


 もっとも、ビィト達や「豹の槍(パンターランツァ)」が無事に戻れたら──の話だが……。


 いや、戻りを考えている場合じゃないな。

 ジェイク達を捜索しなければ……!


 生きていてくれよ。

「さぁ行こう────ジェイクたちが待」

「──お、お兄ちゃん…………!」


 あ、


 わ、忘れてた──!


 怯えた声を出すエミリィに合わせるように、恐る恐る顔をあげるビィトの目の前には────。


「ぐるるるるるるるるる……」

「ふしゅー……ふしゅー……」


 デェン!!──と巨大なオーガの御姿が。


「やっべ……」


 そうだった。

 悪鬼の牙城の門番──。


 レッドジャイアントオーガ&ブルージャイアントオーガ。


 通称、『赤鬼』と『青鬼』がいた。


「こ、こここ……こんなに、大っきいなんて──」


 エミリィは顔面蒼白。

 今にも洩らしそうに、ガタガタ震えている。


 そして、その様子に気付いた赤鬼がニィと笑い、舌なめずり。

 青鬼は、ビィトをさも旨そうに見つめている。


「こ、こいつらが最初の難関……牙城の門番だ!」


 ビィトがそういうが早いか、

 「ぐるぁぁああ!!」

 「しゅうぅぅうう!!」と、唸り声をあげて二匹の鬼が突っ込んでくる。


「クッ!」


 ビィトは恐怖で硬直しているエミリィを抱えると、横っ飛びに飛んで初撃を躱す。


 異なる武器を持った二匹。

 コイツらは再出現(リポップ)するたびに武器が変わるから傾向が立て(がた)いんだッ!


 ぐるるぁぁぁぁぁあ!!


 巨大な金棒を持った赤鬼が、渾身のフルスイング。

 バゴォォオオンッ!!! と正面扉を半壊させんばかりの一撃。

 実際、扉が半分吹っ飛んでいった。


 そこにすかさず、トゲトゲのついた刺股(さすまた)を構えた青鬼が突っ込んでくる。


 こいつ等────!


「連携されるとヤバイ!」


 はぁぁあ……───石礫!!


 高圧縮する暇もなくあり合わせで速度重視でぶっ放す!


 ぱかぁぁあん! と空中で激突しあっさりと割り砕かれるも、刺股の軌道が僅かに逸れて──ビィトを掠って後方に着弾する!


 ズドォォオン!!!


 巨大な質量によって床が爆発!

 その余波で牙城の床がめくれ上がり、破片が降り注いだ。

 

 ……これで一撃だ。

 たったの一撃で、これだ!


「こ、こんなの倒せないよ!」

 エミリィがビィトにしがみ付いたまま悲鳴を上げる。


 だけど、

「こんなの序の口さ!」


 来る!


 赤鬼は金棒を構えなおすと頭の上でブンブンと振り回し────インパァァクト!!


「守ったら負ける!!」


 ──ズドォォォオオン!


 そうだ! コイツら相手に守勢に回ると、必ず足を(すく)われる。

 息もつかせない連続連携攻撃はかわすので精一杯。だが、それがコイツらの狙いなのだ!

 戦いの主導権を握られたが最後──必ず、狩り殺される。


 赤鬼は更に振りかぶる。


「エミリィ! 守ってばかりじゃダメだ!」

 ───攻めるよッ!!

「でも! どうやって!」


「ふ、普段ならジェイクが一体を一撃で仕留めて──リズが体裁きで翻弄しつつ、時々必殺の一撃で仕留めてた。……あるいはジェイクが──」


 そう、ジェイクが一体か二体まとめて。

 ときにはリズが、もう一体を仕留める。


 たまに、ビィトは援護射撃を賑やかしにぶっぱなし……。リスティは防御魔法を一応かけるだけ。


 えっと……。


「さ、参考にならないよー!!」


 そりゃそうだ。

 ジェイクの火力ありきでここは突破できるダンジョンなのだから……。


 そんなやり取りの間にも、赤鬼の金棒が────着弾ッ!!


「エミリィ!」

 しまった。

 かわした拍子にエミリィを取り落とし、ビィトから離れてしまう。


 一方で、

 ズドォォオオオン! と、牙城を揺るがす一撃に、ビィトは思わずバランスを崩してしまった。


 だが、それが功を奏したらしい。


 エミリィとビィト。

 そのどっちも隙だらけだが、それが青鬼に迷いを生じさせた。


 追撃されていれば危うい場面だった。

 だが、青鬼の攻撃が一瞬遅れる。


 ど、どっちを先に殺るべきか?──と。


 馬鹿め!

 どっちを優先すべきかって?──────そんなもん、(ビィト)に決まってんだろうがッ!


 ビィトは青鬼が逡巡した隙を狙って素早く起き上がると、

「エミリィは赤い方を頼む!」


 倒さなくてもいい、一瞬だけ相手してやってくれ!


「──えぇ!? む、無理ぃぃ!」




 いいからやるの!!


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