■■2章-狂王は思案する、弟子は城と馬車に心躍る-■■①
少し体調を崩していて、昨日あげられませんでした。軟弱者じゃ…。
執筆にはワードを用いておりまして、少し見やすさと言う物を
ツイッターなので参考にさせて頂いて自分なりの物を模索しています。
もうしばらくのご猶予を…。
■■2章-狂王は思案する、弟子は城と馬車に心躍る-■■
冒険者ギルドから大通りをまっすぐ屋台街へと進むと、オルトックの居城が姿を現す。
冒険者ギルドへ迎えにきた4頭立ての馬車に乗り込んだマサルとリズは、
初めて馬車に乗ると言うルイが目を輝かせて、
外の様子を窺っている姿を笑みを浮かべて眺めていた。
「こういうところを見るとルイ君が、年相応に見えてほっとするね。」
「貴様たちほど、まだルイの規格外っぷりを目にしている訳じゃないからな。
妾には見たまま可愛らしい童にしか見えん。
それでルイ、初めて乗る馬車はどうじゃ?」
流れる景色を「おおぉぉ」と「あっ!」などと声を
出しながら夢中で見つめていたルイは、リズィクルの声に我に返り振り返る。
心から初めて乗る馬車を堪能しているのだろう、笑みが咲きほこっていた。
「楽しいし、興味が途切れませんっ!!なんと言っても便利です!
自分の足で歩いていないのに、こうして進んで行く感じに、
感覚がまだ慣れませんけど、最高ですっ!!」
「そうかそうか、それは良かったな。
しかしこう言った馬車が一般的だと勘違いされても、
大人になって常識知らずと思われてもかまらんからな。
これはあくまでも、王であるマサルのために用意された高級な馬車。
王族や貴族が乗る物だ。冒険者や商人が使用する物は、もっと粗悪な物が多い。」
成人後、冒険者になり馬車をルイが使う際に、
余計な嘲笑を受けたり苦労する事がない様にとリズィクルが馬車の違いを口にする。
「一般的な馬車は。えらく揺れるし、椅子が硬い物が多いからね。
慣れないと一刻も座っていると身体中痛くなっちゃうからね。
ルイ君が、もし旅する時のために、レオンに師事して自分で
馬車を作って用意しとくといいかもしれないよ。
きっと役立つ時がくるし、何よりいい経験になるさ。」
「それはいい考えだ。後学のために一度利用するというのも
良いのかもしれんが、妾はどうもあれは慣れん。必要に迫られたのなら
仕方ないが、あの様な物は乗らないで済むのなら乗らんでいい。」
その提案にリズィクルは大きく頷き、難しい顔をする。旅していた当初、
硬い座席と揺れに苦労を強いられた事を思い返しているのだろう。
マサルも彼女と同様に慣れる事が出来ず長距離移動の際は辟易とした経験がある。
「僕とリズは特に馬車移動が苦手でね。
レオンに我儘を言って快適な馬車を作ってもらったんだよ。
そう言えばあの馬車、居城の屋敷に仕舞ってあるんじゃないかな。」
「馬車を作るですか…レオンさんすごい。
機会があったら是非作ってみたいですっ!!
それに師匠たちが乗ってた馬車も見てみたいですっ!!」
ルイは武器や防具だけではなく、馬車まで作ったと言うレオンに素直に驚嘆した。
そして彼に師事して行けば、いずれは馬車を自分で作れるかも知れないと胸を躍らせる。
「あの者は、楯職としての実力はもちろん大陸全土に知れをたっとるが、
一部の者には天才鍛治師レオン・ルクシウス・オーペルとして知られている。
実際、ハンニバルの高ランク冒険者たちも、挙ってレオに作成依頼する程だぞ?」
「一度、あれを見につけたらとてもじゃないけど他の装備は見につけられないよ。
僕なんか今だに愛用しているよ。」
マサルの言葉に、リズィクルは「当然、妾もだ。」と頷く。
ルイは2人の反応に、ひとり色めきだつ。
それと同時に思い悩む。
鍛治を覚えて自分でも作ってみたいと思う一方で、
レオンの作る物を見につけてもみたい。
葛藤に顔を歪めているとマサルが声をあげて笑いだす。
「あはははっ!!いいんだよ、そう悩む事はいい傾向だね。
ルイ君らしくて素晴らしいよ。」
「あはは…先生は本当に僕の心が透けて見えているですね。」
「なんだ、妾を置いて2人で楽しみおって。」
マサルが突然笑いだしたかと思えば、
ルイがそれに応えて苦笑いを浮かべる様子に、
リズィクルは少しだけ頬を膨らませて抗議する。
「心を覗いた訳ではないよ?ルイならば、きっとレオの装備を
身につけてみたいと思うだろう。でも、自分でその粋の物を作ってもみたい。
そんなところだろうと予測しただけさ。」
マサルの言葉に「やはり、ばれている。」と頬を掻く。
リズィクルもマサルの解説で何故ルイが苦笑いをしたのかがわかり、
ルイの向上心とその可愛らしさに頬を緩める。
「まだ、ルイ君は少し鍛治を教わっている段階だと聞いてるけど、
レオはそのうち錬金術も伝えると言っていたよ。覚える事が多くて大変だね。」
その聞き慣れない言葉にルイはまた喜色を浮かべる。
そんなルイの頭に手をのせ、リズィクルは錬金術を優しく解説する。
錬金術とは掘り出された金属から、不純物を取り除き純度を増したり、
または別の金属と融合させ合金を産み出すために使用される。
扱う金属に対し造詣の深さや練度の高さよって優劣が大きく変わるとされる。
各属性に存在する付与術と呼ばれる炎や風、または腕力や速度などを
付与する魔法、魔術を装備や魔道具に組み込む際に錬金術を使用するため、
鍛治職人、皮職人、木工職人など様々な職人にとっては必須技術と
されているため、比較的一般的な技術として広まっている。
「…と言う訳だ、錬金術の手腕はそのまま職人の腕に直結する。
当然レオの技術は高い。それを学べるのだ。ルイは恵まれておるな。」
その言葉を受け、ルイは改めて思い知る。
自身のこの環境が如何に恵まれているかを。
エドガーはその多岐に渡る卓越した戦闘技術を。
レオンはその技術によって産み出さる最高峰の職人としての技術を。
ルーファスは自身では遠く及ばない陰行や歩法、あの家族すら超越する技術を。
マサルはルイでは触れること出来なかったであろうその広大な知識の世界を。
リズィクルに至っては自身が、夢にまで見た魔法の世界を。
これだけの師匠だけでも凄まじさに目が眩む思いをしていると言うのに、
その上師匠達が仲間と口にする、
まだ顔も知らない2人からも自分は師事する事が出来る。
向上心の高いルイがこの事に高揚しない訳がない。
「その顔は、妾でも察しがつくな。くくくっ、誇るがいい我が弟子よ。ルイの師たちはそれだけの価値がある。」
リズィクルが笑みを湛えてルイの頭を優しく撫でる。ほほ笑みながら2人を見つめ、小さく欠伸をしたマサルが、のんびりとした声音でルイに声をかけた。
「……楽しい馬車の旅は一旦終了ようだね。ルイ、到着だよ。
ここが辺境都市ハンニバルの領主が住まう城だ。」
その言葉が届いたかの様に馬が短く嘶き、馬車がゆっくりと停止した。
御者が扉を開けリズィクルが降り、マサルがそれに続く。
幼いルイに配慮し手を差し伸べた御者に「大丈夫です。」と笑顔で伝え、
ルイは軽く跳躍して馬車から下りる。
御者は良くできたとそんなルイに笑顔で拍手を送ってくれた。
ルイはそんな御者に少し照れ笑いをして頭を小さく下げる。
そして顔をあげ絶句した。
眼前に広がる要塞の様な出で立ちの城門と城壁。その凄まじい迫力に身が震える。
仇花やオーリに手を引かれ連れて行ってもらった屋台街から、
何気なくこの城を目にした事はもちろんあった。
だが、それとは明らかに印象が違う。
高く積まれる石材の加工の妙なのか、堆く積まれたそれは隙間1つ見当たらない。
力強い意匠の施された城門は、どんな侵略を持ってしても
打ち貫かれる想像が出来ない程どっしりとルイの前に立ちはだかっている。
惚けたままただただ眺めているルイは、不意に頭に手を置かれ我に返った。
「そんなに驚いた顔をしてもらえると、なかなか嬉しいものがあるな。
どうだルイ、立派な城壁と城門であろう?これもお前の師が手掛けたものだぞ。」
リズィクルの優しい声音から再び聞き捨てならない言葉が飛び出す。
「それだと僕たちがレオに押しつけたみたいに聞こえるじゃないか。
そこ居られる美人魔族様は、その膨大な魔力に物を言わせてたった1日で
この城濠が作りあげた。」
「そんなことを言うなら、必要な素材たちは、貴様らが周辺の魔物を
殲滅する勢いで狩りあげたお陰ですぐに集まったからな。
素材が集まったはいいわ、当時貴重だった食用の魔物の肉とんでもない量に
なってしまって、そっちの保存や加工の方が手間だったくらいだ。」
「簡単な家屋や、馬車程度なら手伝えるけどこれほどの建造物になると
レオに任せないと足でまといになるのが目に見えてたからね。
僕たちなりに頑張っただけさ。
それでも三日程でレオが形にした時は心底驚いたもんだよ。」
2人が笑みを浮かべ懐かしそうに口にするその内容にルイは呆然とせざるえない。
そして、改めて師匠たちの活躍によって、
産み出されたという目の前の城壁を見渡し「…これを三日で。」と独りごちる。
漸くそこである事に思い至り、恐る恐る言葉にする。
「…ここの開拓を慈王デオスタ様から、依頼された冒険者って…もしかして。」
ルイのその言葉にリズィクルは思わず顔を顰める。マサルも若干呆れていた。
「あやつらは、ルイを強くする事に夢中になり過ぎてる節が見受けられるな。」
「そのようだね…困った者だ。まあ、過去の事だから
そんなに難しく捉える必要はないよ。ルイ君が気にしなければならないことは、
ただただ健やかに立派に育って行くことだけだよ。」
「違いない。」
2人が優しい笑顔でそう口にした。
我が師匠たちは、馬車だけでは飽き足らず城壁まで
容易く作り出す存在である事実にルイは嘆息する。
次々に襲いかかってくる師匠達の八面六臂の働きぶりに、
驚き疲れたルイは深く考えることを放棄する事にした。
「こ、国王陛下っ。大変お待たせしましたっ!」
「ご案内させて頂きますっ!!」
城門の横にある詰所から、4人の門兵が緊張に身体を強張らせて膝をつく。
マサルは膝をつく彼らの横を笑顔を浮かべたまま、通り過ぎる。
「案内は結構だよ。勝手知ったる他人の家だからね。」
「ですがっ。」
「そうは参りませんっ!!」
マサルの言葉に門兵たちは慌てて立ち上がり声をあげる。
そんな彼らの声をマサルは片手を軽く上げて制すと、
リズィクルに少し視線を向けて彼らに向き直る。
「君たちがリズィクル・ルクシウス・パルデトゥータより、腕利きだって言うのならご足労願うが?」
門兵たちが、リズィクルを観やり緊張に身体を強張らせ道を開けて一礼する。
彼女はマサルを睨みつけてはいるものの、抗議は視線だけに留めて歩き出した。
そんな2人に取り残されたルイは慌ててその背中を追う。
突然の国王と英雄の来訪に緊張でがちがちだった門兵たちは、
その段になってその幼き子供の存在に気づき、
呆然とひょこひょこと緊張した足取りを見せるその姿に目を奪われる。
その様子にマサルは少しだけ悪い笑みを漏らし、立ち止まって振り返った。
「門兵の君たち。勘違いして欲しくないんだけどね。
君たちにはここを守る仕事がある。
その職務の邪魔立てしたくないだけであって、君たちを疎かにした訳ではない。
気分を害したのなら詫びる。」
「「「いえっ!!決してその様な事はっ!!頭をおあげ下さいっ!!」」」
突然の国王陛下の謝罪に、門兵たちは顔を青ざめて悲鳴に近い懇願を口にする。
「…先生。門兵さんたちが一生懸命仕事しているのに、
国王陛下とは言えど、些か悪戯が過ぎます。」
マサルの悪戯めいた表情とそれに振りまわされる門兵たちを見たルイは、
それまで覆っていた緊張した空気を霧散させて、嘆息混じりにそう釘を刺す。
その変化に言われた当人は笑みを浮かべ、
様子を窺っていたリズィクルは呆れたと言わんばかりにマサルを睨みつける。
「僕の大事な弟子に、小言を言われてしまった。
ほんの悪戯心だったんだが、重ね重ね君たち悪いことをしたね。
これはリズィクル・ルクシウス・パルデトゥータの弟子でもある。
見ての通り師である私が過ちを犯そうとした場合、
苦言を呈してくれる程に優秀な子だ。君たちも覚えていてくれると嬉しい。
今後訪ねてくる事もあるだろうからね。ほらルイも、きちんと挨拶を。」
そこでルイは漸くマサルに図られた事に思い至り、胸の内で抗議する。
しかし、だからと言って挨拶を促されてしない訳にもいかないと悟り、
失礼の無い様に精一杯背伸びした言葉を選びつつ口にする
「お、オーカスタン王国国王陛下とリズィクル様を、
師事することをお許し頂いたルイと申します。よろしくお願い致します。」
その大人ぶった可愛らしい仕草に門兵たちが頬を緩ませ空気が弛緩する。
すると1人の門兵がルイに向かって膝を付き、他の者もそれに倣う。
「ルイ様っ、確かにご尊名頂戴致しました。
責任を持ってハンニバル騎士団の全てに徹底して周知致します。」
「僕はただの平民ですから、その様な事まで。」
「例えそうであろうとルイ様は、国王陛下と英雄であらせられるリズィクル様の
お弟子様です。」
「そして、何よりルイ様の先の言葉は我々を慮っての物。」
「心より礼を。」
「……ありがとうございます。」
突然の事にルイは慌てて立つように懇願するも、
彼らは頑なに首を縦に振ろうとしない。
諦めたルイは感謝の言葉を口にする。
それで漸く彼らは立ち上がり、ルイに敬礼し先へ進む様に促した。
ルイは促された先に視線を送ると、悪戯が上手く行ったとでも
言わんばかり満足気なマサルの頭をリズィクルが軽く叩いているのが見えた。
そんな彼女がルイを手招く、小走りで追いついたルイはマサルに非難の目を向けた。
「先生…ひどいです。僕が口を挟む事を狙ってああしたんですね。」
「あはははっ、ごめんよルイ君。
でも、その甲斐あってルイ君が1人で訪れても邪見に扱われる事はないだろう。
これでいつでも僕に会いに居城に顔を出せると言う訳さ。
さあ、そんな顔をいつまでもしていないで見たまえ。これが領城内だよ。」
ルイは短く嘆息し、言われるがまま視線を向ける。
一面に広がったその美しい風景に、一瞬で目を奪われ声を失した。
エドガー
「見やすくしたいんだったらよ、全部読みなおせよ。そうしたらわかんだろ。
レオン
「そうだな、熱くらいでたるんどる。




