■■2章-陽気な狂王は颯爽と現れる-■■④
ツイッターでせっかくアドバイスを受けたので、見やすさを気にしてみましたっ!!アドバイス本当にありがとうございます。修正はじめますっ!!
この世界を創造したとされる創世神ガタノスタは、自らが産み出した各種族たちが、互いを敵視し争いを繰り返す姿に思い悩み苦心した。
そこで共通の天敵を産み出す事で協調性を図れるのではと思い至り、数多の魔物を産み出す。ガタノスタの思惑通り、突如現れた恐るべき魔物たちに、人々は争う事を止め、協力して立ち向かい自分たちの生活圏を守ろうと必死になった。しかしここで、新たな問題が浮上する事になる。
魔物たちが次々と種族たちを打ち倒し、その棲息地域を爆発的に拡大してしまったのだ。このままでは魔物を除く、全ての種が全滅してしまう。その事に慌てたガタノスタは、魔物を屠ることで種族の能力が向上する様に、種族たちを作り変える事にした。
これにより、魔物との生存競争に一方的な敗北に耐え続けていた種族たちが、奪われた生活圏を徐々に取り戻して行くことになった。
彼らが手に入れたその成長する能力を"種族水準-レベル-"と呼び、そしてそれを数値化する事に成功する。その数値化とした物が"能力値-ステータス-"。そして、これがマサルの魔法により、表示されたルイの能力値である。
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ルイ
種族 人種-ヒューマン-
AGE 5歳
LV 1
能力値-ステータス-
VIT…28
STR…20
AGI…77
INT…51
MND…33
技術-テクニック-
体術/剣術/槍術/斧術/棍術/鎌術/鎚術/鎖術/捕縛術/鍛治/解体
技能-スキル-
気配察知-サ-チ-/存在遮断-ステルス-
属性-アトリビュート-
未鑑定のため不明。
特異-ユニーク-
理識-プリンシプル・ナレッジ/影隷-シャドウ・スレイブ-
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「かっかっかっ!笑うしかねーだろっ!なんだこれっ、あの馬鹿弟子っ"特異-ユニーク-"2っも持ってやがんぞっ!かっかっかっ!」
「それも、もちろん驚くけど、"敏捷性-アジリティ-"が異常数値だね。はあ…これはルーファスが気に入る訳だよ。とんでもない子だね。」
「敏捷性が飛びぬけて秀でているから、そちらに目が行きがちだが"知性-インテリジェンス-"だって立派なものだぞ。」
「んなこと言い出したら馬鹿弟子はそもそも"種族水準-レベル-"1だぞ?それで"体力-バイタリティ-""腕力-ストレンクス-""精神力-マインド-"の値が、これだぞ?化物の生まれ変わりって言われても俺は信じるぜっ!かっかっかっ!」
用紙に現れたルイの能力値-ステータス-は、目にするまでもなく皆が、ある程度高く想定したいた数値を、遥かに上回るその表示に3人を驚愕した。マサルがまっさきに確認した"種族-ストレイン-"は、きちんと人種-ヒューマンと表示されている。マサルが怖れていた"異端-ヘテロドキシー-"の文字はどこにもない。また3人が口々反応を示した、身体の頑強さや持久力を示す"体力-バイタリティ-"全身の筋肉、力強さを示す"腕力-ストレンクス-"ルイの能力で一番秀でている、行動速度や瞬発力を示す"敏捷性-アジリティ-"魔力操作、行使した際の威力を示す"知性-インテリジェンス-"魔力量と状態異常や各種耐性を示す"精神力-マインド-"。表示それら数値だが、実際は、一般的な冒険者と比べると決して高い値ではない。
むしろ低いと言ってもいい。比較対象として、ハンニバル所属の冒険者たちに一番多いCランク冒険者たち。その者たちの能力値-ステータス-は、平均で250前後、突出した値が300を超えている者も少なくない。ルイの最大値の77の3倍以上の開きがあるにも関わらず3人が驚いた理由は、厳密に言うと能力値ではなく、"種族水準が1レベルで"この数値をルイが叩き出している事にある。一般的なレベル1の平均値能力値は10程度と言われる。それが20もあれば驚愕され天才、麒麟児、異端児と持て囃される。
そう考えれはルイを"化物"と評したエドガーの言葉は的を射てるといえる。そして、この能力値は、鍛錬のみ向上させる事は非常に難しく長い時が必要と認知されており、魔物を斃し水準が1レベル上がれば、個体差はもちろんあるが最低でも各能力値が2は上がる。そのため鍛錬よりも魔物を狩った方が良いとされるのが一般的な考えなのだ。では鍛錬は無駄なのかと言うともちろん鍛錬が無駄と言う事はない。鍛錬し経験を蓄積した分、水準があがった際の上昇率に反映され、大きく能力値をあげる事に繋がる。
そのためハンニバル支部では強制と言う形を取り、少しでも生存率を高めるために訓練を冒険者たちに促している。
「ハンニバルにガキとは言え"未経験者"がいるとはな。何匹かはやっちまってるのかと思ってたがよ、かっかっかっ!成人まで魔物狩らせないって決めておいて良かったぜ。調子乗って勝手に狩りなんかに行かせてたら、あいつ死んでたな。」
「「間違いなく"酔う"(ね)」」
魔物の生息地域である魔境、魔窟などに近づかなければ危険がほとんどないとはいえ、種族水準が上がる事で能力値は飛躍的に伸びる。そのため、普段戦うことのない者ですら、冒険者を護衛依頼を出して弱い魔物を屠り5~10レベル程度まで、まとめて水準をあげる事がある。
名無しに所属し、教会でエドガーと死闘を演じたルイが"未経験者"、水準上昇をしていない者だとは考えもしなかった。そして急激な能力値の上昇はひどい酩酊状態を引き起こし、酷い場合だと気絶する事すらある。これが経験した事のある3人が話題にあげた"酔う"と言った症状だ。
酔いを経験した事がある3人には、レベル1とは俄かに信じられない異常値を示しているルイが、どれほど鍛錬してきたかこれを見れば疑い様はない。だが、その努力の対価は凄まじい反動を引き起こし、魔物を屠ったその場で、気絶するであろう事が目に浮かぶのだ。
そうなれば、斃した魔物の血の匂いにいずれ惹かれてやってくる魔物に喰い殺されてしまうだろうとエドガーは口にして笑う。しかしそれまでしきりに、笑みを湛え時には声をたてて笑っていたエドガーが急に押し黙り難しい顔をして唸り出した。
「どうした?なにか気になる事でもあるのか。」
「いや、そうじゃねぇんだけどよ。まあ、あの弟子の能力値がすげぇだろうとはもともと思ってたがよ、実際見るとよ色々思うところがあるっつーか……。」
マサルの顔をチラッと覗き見てエドガーは頭を掻く。余程、口にしたくないのだろうか。マサルも若干困惑の色を顔に浮かべエドガーの言葉を待つ。そしてエドガーは考えの整理がついたのか大きく息を吐き出して独りごちて、マサルに頭を下げた。
「だよな。やっぱどう考えてもルイのヤツには必要だな。…なあ、マサル。お前もあいつの師匠やってくれねーか?頼む、この通りだ。」
「やれとは言わないのかい?……らしくないね。エドが僕に頼みごとなんてほんとに珍しい。僕の記憶が正しかったら"あの時以来"2度目だね。それほどの想いと言う事なのかい?」
頼まれたマサルはもちろん、滅多に下げない頭まで下げたエドガーの姿にレオンも目を見張る。マサルはエドガーの真剣な目に見つめられ、初めてエドガーが頼み事を口にした当時を思い返し、浮かべていた笑みを消し去りまっすぐに見つめ返し問いかける。
「俺とレオンで育てあげる。その気持ちが萎えた訳じゃねぇ、実際おもしれぇと感じてるしな。こんな物見る前から、あいつの才能も感じる努力も認めてる。あんな小さいなりしてやがる癖に、しっかりあいつには矜持を感じる。おめぇらの前だから素直に言うが、ほんとに自慢の弟子だ。」
「態度に出てるけどね。」
「ああ、まるわかりだ。」
エドガーの独白に2人はあきれ顔で軽口を叩く。エドガーは苦虫を噛み殺したような表情を浮かべ2人を睨みつける。しかし恥ずかしかったのか少し耳が赤くなっている様に、それに気付いた2人は我慢できずに噴き出した。
「なに人が真面目に話してやがんのに、笑い転げてやがんだっ!てめぇら!この糞ったれっ!」
「あははっ、ごめんよっ!こんなエド見た事なかったからねっ…ああお腹痛い。」
「…ちっ。まあいい、気分悪くさせられたからこっちも口にしやすくなった。」
「…僕にルイ君をどうして欲しいと言うんだい?」
マサルは"気分を害す事を口にすると"エドガーが仄めかした事で、なにを言おうとしているのか思い至ったがあえてそう問う。エドガーは自身を見据えるマサルの瞳に冷たい物を感じる。横で黙って聞いているレオンも察したのだろう。少し窘める様な眼つきでこちらを見ていた。それでも深く静かに再度頭を下げ口にした。
「……お前の世界の事をルイに教えてやってくれ。」
「エドっ!お前っ!!」
頭を下げたままのエドガーにレオンは一気に詰め寄り、胸倉を掴み怒鳴りつける。激昂したレオンにエドガーは一言も発さず、ただじっとマサルの顔を見つめる。レオンの怒りは収まらない。学生の時代にエドガーとレオン、そしてルーファスは、マサルと友になった。
「異世界からやってきた勇者様。」それがどんな残酷な誘拐行為なのか、彼から聞かされた3人は激昂した。
それから異世界の話を軽い気持ちで訪ねる者たちを嫌悪した。
マサルがどれほど辛く苦しみ悲しんでいるか察しない者たちを侮蔑した
。お前もそうだったではないか。とレオンは無言でエドガーを射殺す様にただただ睨みつける。
「ありがとうレオ。でも僕は怒ってもいないし、悲しんでもいない。最後まで聞いてあげようよ。エドガーの頼みごとは、"ルクシウスの件"以来なんだ。それほどの想いで僕に頼んでいる。…そうだよね、エド?」
マサルの言葉を受けて、レオンはエドガーから離れ椅子に座りこむ。理解はしたが納得はしていない。とその背中がエドガーを非難していた。
「わりーな、相棒。……んでだ、マサル。お前に最低な事を頼んでいるのも自覚している。俺もてめぇ自身をぶん殴りたいと思ってる。だけどルイには、お前の知識が絶対に必要だ。それは俺たちじゃどうにもなんねー。俺とお前も他の奴らもマサルから教わった事は多い。それも今でも糧になっている物ばかりだ。……それを俺たちがルイに伝えればいいじゃねーか。とも、さっきまでもちろん考えてた。でも、それじゃダメだと感じた。お前が"査定-アセスメント-"したこれを見てしまったら余計にだ。……俺らが学び、手に入れた物は俺らの物だ。ルイの物にはならねぇ。あいつは強くなる、だが強さには賢さも必要だ。それはお前たちに支えられた俺だからわかる。マサルが俺に伝えた物は、俺を思ってこそ伝えてくれて託してくれた物だ。違うか?」
エドガーは真剣な眼差しをレオンに向けそう問いかける。それを黙って窺っていたマサルが静かに口を開く。
「僕にルイに対しても同じように託せと?」
「ああ、俺は賢くはねぇ。だが、俺はあいつの師匠だ。弟子のためになるのならダチからの侮蔑も軽蔑も受け入れる、そう言う覚悟で師匠になった、ルイを弟子にした。こんな頭で叶うのならいくらでも下げる。マサル、力を貸してくれ。」
そう言ってまた頭を下げようとするエドガーの肩を手で制止したマサルは、笑みを浮かべて「引き受ける。だから頭を下げなくていい。」と口にした。エドガーは顔をがばっと上げマサルを見つめる。喜んでいいのか情けないと自分責めるべきかわからないと言った顔をしたエドガーを、マサルは彼の胸に拳を軽く当て口にする。
「そんな顔は師匠に相応しくない。それに、僕もルイ君が気に入ったからね。」
「…マサルが構わないのであれば、俺から言う事はない。ルイの事を思えばいい事であるには違いないからな。マサル…すまない、ありがとう。」
そんな2人のやり取りをじっと眺めていたレオンは苦笑を浮かべて、自分の弟子でもあるルイのために力を貸してくれると口にしたマサルに礼を言う。
「その代わり条件があるんだ。」
マサルは2人にそう言って、悪戯を思いついた子供の様な顔で"ある提案"を口にした。それを聞いたエドガーは大爆笑しテーブルを叩いて大喜びし、レオンは額に手をあてて唸る。しばらくレオンはその提案に難色を示していたが、提案者のマサルとすっかりそれに同調したエドガーに押し切られ、結果的にルイのためになるならばと容認した。新たに1人増え、3人となった師匠たちの密談が終わり、"査定-アセスメント-"の用紙は、レオンが預かり、成人後に再度改めて査定した物と合わせて本人に手渡すと言う事でまとまった。
「ハィナさんに頼んできました…「あらぁ!!久しぶりっ!!狂った王なんて失礼よね?王になる前から変わってたのに!」って言ってました。……陛下?聞いてらっしゃいますか?」
3人の下に、ハィナへの伝言を依頼されたルイは会議室に戻ってきた。そして、きちんとマサルの言い付けを守り、その反応を口にした。それを聞いたマサルは、ハィナの反応が思いの外、傷ついたのかその場に突っ伏して黙り込んだ。エドガーとレオンは、その様子を笑って見ていたが、心配そうに声をかけ続けるルイにレオンはと頭に手を置き笑いかけた。
「ほっとしておいてやれ」
その後しばらく立ち直れなかったマサルではあるが「そうだ、きちんと伝えないとね。」と立ち上がり、ルイの目線にあわせて膝をつき、両肩に手をのせて笑顔で告げる。
「僕もルイ君の師匠になる事に決まったんだ、これからもよろしくね。」
「えっ?」
「あはははっ、びっくりしてくれて何よりだよっ!僕の事は、師匠ではなく気軽に「先生」と呼んでくれ。僕が先生だから、ルイ君は生徒だね。うんうんっ、いいね。もうすでに自慢の生徒だよっ!優秀過ぎて困っちゃうねっ!」
突然の師匠発言に、ルイは混乱のあまり硬直する。国王陛下と普通に話している事実ですらまだ頭と心が対応しきれていないのに、その上、ルイの師匠となると言いだしたのだ。ルイがまともに反応できる訳がない。
「ルイに断りもなく、我々3人で勝手に決めて申し訳ない。だが、マサルの教えはきっとルイのためになる。」
「と言うか…国王陛下ですよ…。」
自分のためになるとかそういう事で思い悩んでいる訳ではない。と思いながらそう告げるもレオンは笑みを湛えてルイをただ見つめている。エドガーに視線を向けるも「師匠命令だ、受け入れろ。」と憮然としている。
「僕が王様の仕事で忙しくて、こっちにいれない間は、その分しっかり宿題を出しておくから、安心したらいいよ。それに、そんなに長く王様なんてする気はないからね。……正直今すぐにでも止めてしまいたいんだよ。国の運営なんかより君の先生として色々教育できる事の方がよっぽど素敵な事だ。」
「く、国の運営の方が重要ですよっ!」
「まぁまぁ、それだけルイ君を気に行ったって事だよっ!じゃあとりあえずは、今日は食事でもしながらルイ君の話でも聞かせてよ。例えば、仇花とかダン爺とかサミュル達とどんな生活をしてたのか、とかね?」
「えっ!ご存じなんですか?」
動揺するルイを取りあえず隣に座らせて笑顔で語るマサルから、唐突に家族たちの名前が飛び出し、ルイは何度目かになる驚きの声をあげた。
「王様になる前から知り合いだよ。仇花とは今でも手紙でやりとりする事があるくらいだ。」
その後、家族の話題が出た事でマサルに対して過度な緊張を見せる事のなくなったルイはマサルに孤児院から名無しに育てられた間の話を喜色を浮かべて聞かせた。そうしているとハィナが食事を運んで現れ、シェラやタイタス、クロエと立て続けに合流し一種の宴会の様相を呈す。マサルと親しそうに会話をする職員たちの笑顔と、それに優しく笑いかけながら陽気に受け答えする王様の横顔に、ルイはいつの間にかすっかり親近感を覚える。
お酒が入りすっかり気を良くしたマサルが、ルイにかつて自分たちが仇花に殺されかけたと思い出話を始める。ルイは顔を青ざめながらもその話に耳を傾け、エドガーが陽気にどれほど仇花が強いかその話にのった。レオンはただただ渋い顔をして酒を口にする。
「僕なんかお腹1/3は持ってかれて治癒魔法の使い手でよかったってあの時ほど思ったことはないよ。いやぁほんとよく生きてたよっ!あはははっ!」
おおいに笑い声をあげてそう締めくくると、ルイだけではなくギルド職員たちもその顔を強張らせていた。興味深い話題は尽きないが、そろそろ眠たくなってきてしまったルイは、クロエとリルネッサに促され皆に挨拶し退室した。寮に戻るまでの少しの時間、ルイは先ほどまで楽しく話していた新しい師匠を思い浮かべる。
「新しい師匠か……いったい、何を教えてくれるのかな。」
何かを学ぶと言う事に、ここへ来て更に喜びを覚えたルイは明日からの日々に、期待を胸に膨らませほんの少し軽い足取りで去って行った。
エドガー
「おっ、やっとステータス出てきたじゃねーかっ!すげーそれっぽいっ!
レオン
「それだけで2時間悩んでいたようだぞ。とても落ち込んでいる様子だった。




