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ちみっこ魔王は呵呵とは笑わない。  作者: おおまか良好
■■2章-ただ守りたいものを、守れるように-■■
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■■2章-プロローグ-■■

第2章開幕でございます。

"能力値-ステータス-"とか色々やっと盛り込められる展開まで、こぎつけました…。

作者的には、やっとここからが本編です///はやく魔法名とか魔物の名前とか、

そう言うので悩みたいっす。

■■2章-プロローグ-■■


オーカスタン王国"王都リクスパスタク"中心にある、

"貴族街"と呼ばれる区画に囲まれた王城。


その王城もそれをぐるりと囲む城壁もすべて白い石材と白銀で作られた白亜の城。

"高貴たれ"建国以来王族に伝わるたった一つの訓示。


その象徴である王城の一室で、集う貴族たちの姿があった。

1人の男は円卓の一つに座し呆れた視線を周囲に向ける。

肥えた豚の様な貴族は、秋も深まってきたと言うのに滂沱の如く汗を垂れ流し、

口汚く国王を罵る。

神経質そうな貴族は親指の爪をボロボロになるまで噛み呪詛の言葉を口にする。

日和見癖のある貴族は辺りを見渡し、

落ち着かない瞳とうすら笑いを浮かべ額には汗をかいている。

戦争しか興味のない愚かな武官は、

もくもくと目の前の王国の地図に駒を置きいかに攻め落とすかに没頭する。


その他にも10人ほどの愚物どもが、

喧々諤々と夢にしても質の悪い愚かな計画を立案していく。

男は小さくとても小さく嘆息した。

あからさまに態度に出し、彼らの機嫌を損なうことは、

この男にとっても好ましくない。

じっと耐え瞑目するこの悪夢の様な茶番が少しでも早く終わる事を祈る。


「愚かな狂王が、しばらく城を開けると言うのはまことかっ?!」

「確度の高い情報だ。ハンニバルへ向かうらしい。」

「ザルコル殿の件かっ。忌々しい。」


どうにか、陛下が長期留守にするという噂の流布は、

この会合の前に間に合ったようだと安堵すると、

ともに"城を空ける"のではなく"空けている"のだの胸の内で独りごちる。


「英雄などと煽てられ調子に乗った者に、国など託されるからこの様なことになる。

 慈王と呼ばれ、民の求心ばかりに気を取られていた暗愚め。」

「然り、あとの事を考えぬからこの様なことになる。

 世継ぎのジュリアス王子に託し、我らが導いていればこの様な事にはならなんだ。」


男は眉をぴくりと動かす。

自身が忠誠を誓った王を"暗愚"と言われつい反応してしまった。

眉間に力を入れ、策を講じて悩んでいるよう装う。


しかしジュリアス王子が継いだとしても、

取り入るのも参じるのも失敗した連中がよくも言う。

真剣な表情を維持するのに一苦労しているのに、

笑わせないで欲しいものだと男は眉の皺を更に深くした。


「…ハンニバルに赴く前に、我らを締め付け身動きがとれぬ様にしたと言う訳かっ!!」


豚貴族が吠え、机に拳を叩きつける。

その姿に一瞬驚いたのか、日和見貴族がろくでもない事を口にした。


「いいのではないですか…いい機会ではありませんか。

 我々シュナイゼル王子派にとっては好機。」

「どういうことだ?」

「ザルコル殿の件、手痛い思いをしているのは、

 ジュリアス王子派の者たちも同様のはず…。

 彼奴らはザルコル殿の手にしていたパイプを利用して法国に助力を求め、

 地方貴族にも派兵の準備を水面下で進めさせている様子。

 しっかりと地盤を固めて狂王を討つ…そういう算段のはずでございましょう?」


薄っぺらい笑みを張り付け、

精一杯自分の意見を聞いてもらえる様に必死な姿で日和見貴族はそう問うた。

その意図に気付いた神経質そうな貴族が眼の奥にくらい光を宿す。


「ジュリアス王子は売国奴の手を借りる…と言う訳か。

 ひっくり返すにはいい話ではないか。

 ここでシュナイゼル王子に覚悟を決めて頂き擁立さえ叶えば…状況の打破は成る。」

「然りっ!!それはいい案じゃ。…いや、そう上手く運ぶまいて…。」


豚貴族は、高揚を隠さず神経質そうな貴族の尻馬に乗り換えたが失速する。

この集まってる連中にとって一番の問題は、

長兄ジュリアス王子と次兄シュナイゼル王子が争う訳がないと言う点に尽きる。


慈王デオスタに愛を持って育てられた兄弟は、

兄が王となるのを当然の事と思い育ち、そんな兄をまた尊敬している。

そんな兄も弟と妹であるセリーヌを溺愛し、

この2人と力をあわせて国と民を守る事を善しとしている。


そんな揺るがぬ王位継承権を持つ対立候補たちが、

ジュリアス王子を擁立しようと画策するが、これもまた立ち行かない。


何故ならジュリアス王子が現国王マサル・ルクシウス・コンドーを慕い、

教えを乞うことに満足しているのだ。

当然この場の誰もがそんな八方塞がりの中でもがいているのだ、


いくら愚か者どもとは言え、その事に思い至らぬほど愚かではない。

豚貴族も忌々しげに眉をひそめ口にする。


「シュナイゼル王子が、もう少し野心をお持ち頂ければいいのだが…。

 王子の気質的にもそうはいかん。」

「いや…、まだ噂の域を出ぬ上、口に出す事憚られたが。

 狂王が帰都するのと入れ違いにシュナイゼル王子とセリーヌ王女を、

 ハンニバルに呼ぶつもりらしいのだ。

 恐らく我らがこうしてシュナイゼル王子を擁立する気配を察して、

 愚考したのだろう…。」

「ますますもって忌々しいっ!!」


日和見貴族の目が光る。どうやらヤツもその事を聞き及んでいたらしい。

眉間を揉みしだき様子を伺っている様にも見える…。

なんの機を待っている。

男は不審に思い周りを見渡し様子を窺う。

数人が話の展開についていけないのか同じ様な行動をとっている者もいた。


「まて…王都を出るじゃと。」


豚貴族が何か感づいた様だ。小さくこぼしたるんだ身体を震わせ笑い出す。

その様子に日和見貴族がほっとした様な素ぶりを見せる。

神経質そうな男も豚貴族がやっと思い至った事が、

余程嬉しいのか笑みを深くして頷いている。


「セリーヌ王女を攫えばいいのではないか?シュナイゼル王子を立たせるどころか、

 ジュリアス王子の動きも封じられる。それが一番話が早いではないか。」


それまで地図を相手に軍議の真似事を独り勤しんでいた武官が突然口を挟んだ。

全ての者が息を飲む。

そして徐々に笑みを浮かべだす。


男は察した。

豚貴族が"同じ答え"に辿り着く前に何人かの貴族たちは答えに辿り着いていた。

そして豚貴族が思い至って発した事でわかっていなかった者たちも理解した。

だが王女誘拐など"自分の口からは"言い出したくなかったのだ。


日和見貴族の安堵も神経質そうな貴族の笑みも豚貴族に、

その言葉を言わせようと窺っていた。


そこで思わぬ伏兵の武官が口にしたのだ、

愚か者どもの一番のハードルを意にも介さず口にした武官は更に続ける。


「貴族である皆が、駆け引き好きな事は武のことしか頭に無い私でも知っている。

 だから私が代わりに口にした。

 ここで"不敬ではないか"などと茶番が続くのであれば、私は席をはずそう。

 あえて核心に触れたのだそろそろ、話を進めてくれたまえ。」


「敵いませぬな…では、ここからの話聞きたくない者は退室したまえ。

 武官殿はこれ以上の馬鹿し合いにはお付き合いできぬらしいからな。」


覚悟が決まらない数人の貴族は辺りを見回すが、誰も席を立とうとしない。

ここで席を立てば立場は悪くなり、最悪消される。

逡巡する者たちもしだいに覚悟を決め、

退室を促した神経質そうな貴族に視線を向ける。


「…よろしい。これで一蓮托生だ。勝ち馬に皆で乗ろうではないか。

 それでは王女誘拐の立案と行こうじゃないか。

 なにハンニバルは魔境だ。不慮の事故はつきものだ。」


青白くやせ細った顔を歪めて笑う神経質そうな貴族に釣られ、

豚貴族も日和見貴族も武官も。

そして追従を選択した貴族たちが笑った。

男もそれに倣って笑みを湛える。


その心中では烈火の如く怒りの炎を燃やしていた。


(この様な役目を与えた事、怨みますぞ…マサル様。)


主への恨み事を自身の深いところまで呑みこみ。

男はそこから立案にも積極的に発言する。

少しでも王女をこの愚か者たちの手に落とさぬよう。

そして自身が国王から潜り込むよう命じられた間者と悟られぬよう。


その後、計画は輪郭を帯び形作られて行く。

それが砂上ま楼閣という事に決して気付かぬまま。


男は貴族たちと共に密談が行われていた部屋を出る。


長い時間留まっていると怪しまれるための考慮だとのたまっていたが、

愚か者どもの本音は、豚貴族の邸宅で行われる酒宴に早く向かいたいのだ。


贅を凝らした食事と酒、多種多様な女奴隷。


男の我慢はまだまだ続く。

汗をかこうと懐からハンカチを取り出そうとしたところで袖のボタンが取れる。

共に歩いていた貴族の1人が「災難だな。」とそのボタンを拾い手渡してきた。


「まったくだ。…伯爵の邸宅に向かう途中、仕立て屋にでも立ち寄る事にしよう。」

「それはいい私も共に行こう。

 伯爵のコレクションは素晴らしいからな、少し色直しをしたいと思っていたんだ。」

「…なるほど。」


伯爵家の女奴隷に色気づく貴族に吐き気を覚えながらも男は、

その貴族と共に歩き去っていった。


少し間を置き、男が袖のボタンを落とした場所に"リグナット"の姿が現れた。

上質な布で作られた服に身を包む彼のその姿は、

知らない者には騎士にも貴族にも見えよう。

その手には、男が袖のボタンを"故意に"落とし隣を歩く貴族の視線を誘導した際に、

投げ渡された魔道具が握られていた。


王城の廊下を颯爽と歩くリグナットの口元には微かな笑みが浮かんでいた。


「…こうも網を張られてるんだ。そりゃ俺の動きなんて簡単に見通せるだろうさ。」


リグナットは、法国から派遣され辺境都市ハンニバルの領主オルトック伯の暗殺任務を、

今の主とその仲間たちによって阻止された。


こうして現在、主の下で諜報活動にあたっていると実感する。

彼らを敵に回して命がある自分は幸運なだけであり、

そもそも敵う訳がないのだと言う事を。


彼は、白亜の城に潜む愚か者どもに、

ほんの少しだけ同情し主の下へと向かい去って行った。


2章の下書きはおおよそ半分ほど書きあがりました。

伏線の回収忘れとか、前後での発言で齟齬がでないよう修正した後

随時あげていきたいと思います。

予定では9/13もしくは9/14から2章が終わるまでぽこぽこあげますので、ご容赦下さい。

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